ドン・ジョバンニ殺人事件(前編)
モーツァルトの3大オペラ…「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」…の中で最大の問題作と言ったら、それはもう歌劇「ドン・ジョバンニ」だ。
ダ・ポンテ脚本によるこのオペラは、放蕩の限りを尽くす色事師ドン・ジョバンニ(いわゆるドン・ファン)が、悪行の報いで地獄に堕ちる…という、喜劇とも悲劇とも付かない不思議な物語である。
そして、この作品、ひとことで言うならとても奇妙な〈殺人事件〉を描いている。なにしろ、主人公がなんと〈亡霊〉に殺されるのだから。
この事件の中心人物は、ドン・ジョバンニ。おそらく30代前後の貴族階級のスペイン人男性で、美男で金持ちで口がうまい希代の色事師。世界中を旅する自由人だが、大きな邸宅を持ち、盛大な晩餐会を開けるほどの財力を持つ土地の名士でもある。
女性を口説き、ものにするのを人生の目的としている享楽主義者にして、因果応報とか幽霊とかはまったく信じない合理主義者。自称2000人以上の女性と情交を持ち、女性であれば、若くても年取っていても痩せていても太っていても、とにかく口説いてコトに及ぶ。1日に数名の女性と関わることも珍しくないが、愛や情欲におぼれることはなく、あくまでも冷静なハンターとして自己のSEXを捉えている。
ある意味では男性なら誰でも夢見る理想の存在?であり、女性にとっても強烈な魅力的を持つ異性だが、当然モラルの埒外の存在であり、貴族の特権があるゆえに許されているが、トラブルが絶えない。
…と、そんな彼をめぐって2つの殺人事件が起きている。ひとつは、彼ドン・ジョバンニが騎士長を(決闘の末に)刺殺した事件。そして、もうひとつは、その騎士長の亡霊が石像に姿を変えて当のドン・ジョバンニを(復讐のために)地獄に連れ去った事件。この2つである。
まずは、登場人物を列挙してみよう。
♂ドン・ジョバンニ。30代?男性。貴族。
♀ドンナ・アンナ。18歳?女性。騎士長の娘。深窓の令嬢。
♀ツェルリーナ。10代?女性。コケティッシュな村娘。
♀ドンナ・エルヴィーラ。20歳?女性。ジョバンニに捨てられた女性。
♀エルヴィーラの侍女。話には出て来るが登場はしない謎の女性。
♂レポレロ。30代?男性。ドン・ジョバンニの従者。
♂騎士長。60代?男性。ドンナ・アンナの父親。
♂ドン・オッターヴィオ。20代?男性。ドンナ・アンナの許嫁。
♂マゼット。20代?男性。農夫。ツェルリーナの花婿。
■事件1〈騎士長殺人事件〉。
>被害者:騎士長。加害者:ドン・ジョバンニ。
某月某日夜、貴族ドン・ジョバンニは、知人でもある騎士長宅に忍び込み、その家の令嬢ドンナ・アンナの寝室にて同女と和姦に及ぼうとするも騒がれて失敗。逃げる途中、犯人を捕らえようと追いかけてきた父親である騎士長と格闘になり、剣で刺殺。ただし、仮面を付けていたため、犯人として特定されず。事件は迷宮入り。
*従者レポレロ氏の証言。「ええ、あっしは、ジョバンニ旦那に言われて、外を見張っていたおりました。何をって、そりゃあ、万一の時は無事に逃げ道を作っておくためです。ジョバンに旦那はいつもそうやって、かれこれ1000人では利かない女の部屋に忍び込んでおります。
でも、騒がれてコトに及ばず逃げ出してきたのは初めてでさ。旦那もヤキが回ったというか、ドンナ・アンナの嬢ちゃんは顔なじみなんで、仮面を付けずに言い寄れば、別に苦もなくコトに及べたと思うンですが、何を考えたんだか。揚げ句、知り合いでもある騎士長に犯人扱いされて、行き掛かり上、殺す羽目になってしまって。
でも、あれは〈決闘〉ですんで、殺人ではございません。騎士長自身が〈曲者め、決闘しろ!〉と叫んで剣を振りかざし、逆に返り討ちになってしまったんでさ」
*ドンナ・アンナ嬢の証言。「はい。そうです。仮面を付けた男が、私の寝室に忍び込んで参りました。顔は見ておりません。暴力に及ぶような仕草はございませんでしたが、私は許嫁がいる身でしたので、叫び声をあげて拒絶いたしました。
父は、私の叫び声を聞いて、剣を持って駆けつけて参りました。それからのことは、ああ、気が動転してよくわかりません。気がつくと、父が血を流して倒れておりました。
ドン・ジョバンニという男を知っているか?とお聞きですか。はい。知っております。父とも知己がありましたので、今回の事件については、あの方にもぜひ力をお借りしたいと思っております。許嫁のドン・オッターヴィオもそう言っております」
*ドン・オッターヴィオ氏の証言。「私はドンナ・アンナの許嫁です。騒ぎを聞いて駆けつけましたが、その時はもうすべてが終わっておりました。操を奪われたのかどうかは分かりません。本人は否定しております。
しかし、女の寝室に気がついたら男が忍び込んでいて、何もなかったと言われても、私は…。いや、私は彼女の言葉を信じております。このたびの件で彼女との婚約を破棄する気はありません。憎むべきは、乙女の部屋に忍び込んだ上、義父となるべき騎士長を刺殺した無頼の輩です」
■事件2〈花嫁拉致事件〉
村で結婚式を挙げたばかりの花婿マゼットと花嫁ツェルリーナを、貴族ドン・ジョバンニが自分の邸宅へ招待する。ところが、ジョバンニの目的は花嫁ツェルリーナ。なんと彼女を拉致し、結婚するからと約束しコトに及ぼうとするも、その時はジョバンニの妻を名乗るドンナ・エルヴィーラの登場で未遂に終わる。
その後、改めて舞踏会を開いて招待しふたたび和姦に持ち込もうとするが、これももう少しのところで騒がれてコトに及ばず、駆けつけた花婿マゼットおよびドン・オッターヴィオ、ドンナ・アンナ、ドンナ・エルヴィーラに対し、すべての罪を従者レポレロに着せて逃げている。
■事件3〈農夫暴行事件〉。
>被害者:農夫マゼット。加害者:従者レポレロに扮したドン・ジョバンニ。
花嫁ツェルリーナに手を出したことに怒った花婿マゼットが、ドン・ジョバンニを襲う計画を立てる。しかし、彼を探す途中で従者レポレロに計画を打ち明けたところ、それが実はレポレロに化けたジョバンニで、逆に袋だたきにされる。全治数日のケガ。
*村娘ツェルリーナの証言。「結婚式の後でドン・ジョバンニさんに会って、あたし、その日に彼に結婚を申し込まれたんです。でも、あたし、マゼットっていう許嫁者がいるから、どうしようかなあって悩んだの。ジョバンニさんは貴族だし、お金持ちでスマートで紳士だし、口もお上手だし。それに比べると、マゼットって田舎者だしあんまり見栄えもよくないし。
あ、でも、きっぱりジョバンニさんの申し出はお断りしました。やっぱりマゼットがいちばんだと思います。あたし彼と一生添い遂げたいと思ってます。本当です」
*農夫マゼットの証言。「結婚式の日に、新婚の花嫁を寝取られて怒らねえ花婿はいるわけねえ。で、おらは棍棒と銃を用意しただ。あいつを成敗しようとして。ところが、仲間だと思った奴がレポレロに化けたジョバンニの野郎で、おらをボコボコに殴って逃げやがった。ああ、なんてひどい奴だ!。
揚げ句、ドンナ・アンナの嬢さんやオッターヴィオの旦那たちと一緒に、ようやく奴を見つけて捕まえて、思い知らせてやろうと思ったら、今度はそれがジョバンニに化けたレポレロの野郎だっただ。もう、おら何が何だかわからねえ」
*ドンナ・エルヴィーラの証言。「私はドン・ジョバンニの妻なんです。婚姻を交わした正式の妻なんですよ。でも、彼ったら、たった3日で私の元からいなくなって、あちこちで若い娘に手を出してばかりなんです。
やっと会えたと思ったら、結婚したばかりの村娘を口説いているし、むこうから声をかけてくれたと思ったら実は従者のレポレロが彼の服を着てなりすましたんです。要するに召使いの男にあたしを押しつけたんです。ああ、ひどい人。でも、私はあの人を愛しています。どこまでも、あの人を追いかけて放さないつもりです」
■事件4〈ドン・ジョバンニ殺人事件〉。
>被害者:ドン・ジョバンニ氏。加害者:騎士長の石像。
某日夜。ドン・ジョバンニ邸での晩餐が開かれ、召使いたちやエルヴィーラ始め多くの人間が集まる中、突然亡き騎士長の石像(目撃者談)が現われる。そして、氏の悪行を非難したうえで悔い改めるように要求するが、氏は応ぜず、轟音と炎と共に地獄の入口が開き、両者はその中に姿を消す。
*ドンナ・エルヴィーラの証言。「あの夜、私は彼の屋敷に行きました。私の苦しみを伝えに。そして、あの人が私にまだほんの少しでも愛を残してくれているか確かめに。さらには、放蕩三昧の生活を改めてくれるように。でも、あの人には人間の心のかけらもありませんでした。私は絶望して、屋敷を飛び出しました。
その時です。あの恐ろしいものと出会ったのは!。真っ白で巨大で、人の形をしていましたが、人ではありませんでした。私はあまりの恐ろしさに悲鳴をあげ、後ろを振り返ることなく逃げました。」
*従者レポレロの証言。「恐ろしいことです。あの事件の日の夕方、旦那が殺した騎士長の墓のに偶然出くわしたンでさ。その時、旦那が石像に毒づいて、〈今夜の晩餐に招待しよう〉と口走ったところ、なんと石像がうなずいたンです!。ああ、恐ろしいこってす。そして、あの夜、あっしがキジの肉を食べているところに、あの石像が招待に応じてやって来たんです。〈ドン・ジョバンニ。招待を受けてやって来たぞ!〉と地獄の底から聞えてくるような声を上げて!
その後のことは、ああ、思い出してもゾッとする。あっしはすべてを見てました。石像は旦那に〈悔い改めよ〉と何度も叫び、そのたびに旦那は〈いやだ。悔い改めなどするものか!〉と応じて、ああ、素直に謝っちまえばよかったものを。石像は手を差し伸べ、旦那は豪胆にもその手を取って〈なんと冷たい手だ〉と言ったんですが、それが最後の言葉になりました。真っ赤な地獄の扉が開いて、ジョバンニの旦那は石像と一緒にその中に落ちていかれたンでさ。ああ、恐ろしい、恐ろしい」
◆事件の全容
さて、この奇怪な事件について考えてみよう。
事件1の騎士長殺人事件については、被害者:騎士長、加害者:ドン・ジョバンニ、と事実関係は明々白々である。ただし、従者および実娘の証言にもあるように、騎士長は自ら決闘に及んで返り討ちになったのであり、事件としては成立していない。
そして事件2の花嫁拉致事件。これは事件とは言えない。なにしろ貴族が村娘の初夜権を持っていたような時代である。結婚式を挙げた花嫁と花婿を貴族が屋敷に招待して、そのスキに花嫁に手を出したとしても、花婿が気分を害する以外に事件性はないと思われる。
事件3の農夫暴行事件に関しても同様で、騎士階級の者が農夫に手を上げても、事件としては処理されない。むしろ、平民であるマゼットが貴族ジョバンニに暴行を働こうと徒党を組んでいたわけで、逆に殺されたとしても文句は言えないことになる。
しかし、事件4は不可解である。事件1で殺害された騎士長の石像が、ジョバンニ氏の催す夜会に招待客として現われ、彼を殺害(正確には、地獄へ連れ去った)に及んだという目撃者たちの証言は、18世紀の迷信にまみれた時代ならともかく、現実問題としてはありうベからざる非科学的な妄想と言わざるを得ない。
そう。死者の石像が、生きた人間を地獄に連れてゆく…などということは、現実にはありえない。つまり、この事件を現実的に考えるなら、結論はひとつである。
すなわち、ドン・ジョバンニ氏は亡霊ではない生身の人間によって殺害されたのであり、その真犯人が自分の犯行を隠蔽するため、〈ジョバンニ氏は石像によって地獄へ連れ去られたのだ〉という筋書きを仕立て、それを信じさせるに至ったのである。
では、ドン・ジョバンニ氏殺害の真犯人は誰か?
◆容疑者たち
まず《第1の容疑者》は、ドン・ジョバンニに父親を殺された令嬢ドンナ・アンナである。そもそも、すべての事件は、ジョバンニが彼女の父である騎士長を殺害したことに始まる。その結果が、騎士長の娘による復讐だとしても不思議ではない。
しかし、そもそも寝室に知らぬうちに仮面の男が忍び込み、手籠めにされそうになったので拒否し悲鳴を上げた…という彼女の証言は不自然な点が多い。まがりなりにも貴族の、しかも守備警護を仕事とする騎士長(今で言うなら警察署長)の邸宅である。一人暮らしの女性のアパートとは話が違うのだ。そんな家の令嬢の寝室に気付かれずに忍び込んだというのはとても信じがたい。
考えられる理由はひとつ。彼女が手引きをし、警護の者たちや召使いたちを下がらせて部屋で一人ドン・ジョバンニを待ち、コトに及んだのだ。そう考えれは辻褄が合う。では、なぜ彼女は悲鳴を上げ拒否したのか?
おそらく、女なら痩せても太ってても若くても年増でもすべてOK …というのが彼ドン・ジョバンニのポリシーながら、1回コトに及べばその女への興味は失うのが色事師の性。貴族の娘ドンナ・アンナを篭絡して抱いたところで、彼女への愛は終了した。
ところが、彼女の方はそうは行かない。婚約者がいるのに希代の美男ドン・ジョバンニに体を許してしまった。許してしまったからには彼を独占出来ると思っていたら、ジョバンニの方はあっさり「じゃ、そういうことで」と帰ろうとする。これでは何もかも失うことになる。そこで、彼女としては、「知らない男」に「むりやり寝室に押し掛けられた」しかし「悲鳴を上げて拒否した」ため「貞操は無事だった」という筋書きを作ったわけである。
逃げようとする暴漢を追いかけて…というのも話は逆だろう。帰ろうとするジョバンニを「捨てないで」と追いすがっていた、それを物音に気付いた父親の騎士長にとがめられ、とっさに名も顔も知らぬ暴漢ということにした。ところが、そのために父親は「暴漢」を成敗すべく剣を抜き、逆に殺されてしまったわけである。
この、不義密通、父親の死、下手すると婚約解消…という突然降って沸いた危機に、それまで箱入り娘で乳母日傘だった彼女は、「真実を知るドン・ジョバンニ」を消す必要に迫られることになる。
ただ、人一倍世間知らずの彼女が、ひとりで百戦錬磨の仇敵ジョバンニを殺すのは不可能。当然、許嫁であるドン・オッターヴィオをどうけしかけて共犯に巻き込むかが問題になる。
そして、《第2の容疑者》は、このドン・オッターヴィオである。
彼は、令嬢ドンナ・アンナの許嫁だが、彼女と恋愛関係にあるというより、あきらかに父親である騎士長の連れてきた許嫁者である。老練の騎士長のお眼鏡に適って「娘の婿」になったのだから、家柄も育ちもよく女性にも固い世間知らずのいいとこ坊ちゃんであることは想像に難くない。
彼ドン・オッターヴィオの方は上司の令嬢であるドンナ・アンナをひたすら大事にしたいと思っているものの、彼女の方は特に〈男〉を感じていない。そのあたりは、義理の父親が殺されたと聞いて駆けつけても、ちっともドンナ・アンナの方は反応しないことでも分かる。
そんな彼に、令嬢ドンナ・アンナは、事の顛末として「犯人は、何も知らない自分の寝室に忍び込んできて、非道にも無理やり犯そうとし、騒がれて逃げる途中で、父である騎士長を刺し殺して逃げた、極悪非道の大悪人である」…という話を吹き込む。
しかも、「どうして見知らぬ男を寝室に入れたのか?」という花婿の疑問を先取りして、「暗闇だったので、貴方だと思ったのよ」と説明しているあたりのウソのつき方も見逃せない。そして、その非道な男がドン・ジョバンニであることを徐々に臭わせてゆく。
いかに坊ちゃん育ちとは言え、彼がどこまでそんな女性のウソを信じたか不明だが、それでも、この件をなんとかしない限り令嬢ドンナ・アンナの心はどこかに行ってしまっていて、婿入りは無理なのだ。しかも、彼女が「復讐して!」と言うのだから、とにかく犯人に制裁を加えなければ男として面目が立たない。
そして、無事に復讐を果たせば、彼女と結婚し、騎士長の亡き後、令嬢と共に名家は自分の物になる。単なる婚約者のための復讐だけではなく、彼には現実的にドン・ジョバンニを亡き者にすることで利益を得ることになるのだ。殺害の動機としては充分だろう。
そして、ドン・ジョバンニと婚姻を結びながら3日で逃げられた正妻?ドンナ・エルヴィーラも《第3の容疑者》に数えられる。
彼女は、ドン・ジョバンニを追いかけまわし、彼が若い女にちょっかいを出そうとしていると「だまされるんじゃないわよ。その人は悪人よ!」と叫んで邪魔をする。ドン・ジョバンニの方はいささかうんざりして「あの女は気が触れているのだ」と説明するしかない。
ドン・ジョバンニから見れば一種のストーカーのような存在だが、彼女の方から見れば、自分を捨てた憎い男なのにあきらめ切れない…という心を抱え、復讐とも愛の告白とも付かぬ行動に駆り立てられている。
一度は、ドン・ジョバンニが自分の方からやって来て、復縁してくれるかと思ったのも束の間、それが実は身代わりに押し付けられた従者レポレロだと知り、かなり激情する。しかし、「裏切り者!悪党!」と罵りながらも、彼が暴行を受けそうになると「その人は私の夫です。許して下さい」と言っているあたり、心はかなり揺れている。
しかし、そこに殺意が忍び込んでも、彼女の不幸な状況では不思議はないと思われる。
ちなみに、事件の直前にドン・ジョバンニと会い、最後に会話を交わしたのは彼女である。自分の今までの苦しみと思いの丈を伝えるためにジョバンニ邸を訪れるが、彼はまったく心を動かさず、失望して屋敷を去る時に石像と出くわしている。そのタイミングの良さには何か作為を感じざるを得ない。
続く《第4の容疑者》は、農夫マゼットである。なにしろ彼は、結婚したばかりの新妻ツェルリーナを、ドン・ジョバンニに寝取られているのだ。
しかし、ツェルリーナ自身は、これもドンナ・アンナ同様「確かに口説かれて、抱かれてしまいそうになったけど、悲鳴を上げて逃れたの」と説明し、「あたしをぶって」と甘い声でささやいて世間知らずのマゼットをめろめろにして誤魔化すことに成功している。
ところが、その後この花婿マゼットは、村人たちを集めて「あいつに目にもの見せてやる」と棍棒や銃を集めている。これは尋常な反応ではない。農民が徒党を組んで貴族を謀殺などしたら、それこそ死刑に間違いないのだ。にもかかわらず田舎者のマゼットがそこまで激高したのは、花嫁ツェルリーナがジョバンニと密通したという明らかな確信を得てのことだろう。
おそらく、平凡な農夫のマゼットと結婚することになった花嫁ツェルリーナだが、金持ちで美男で貴族のジョバンニから「結婚しよう」と口説かれて、こっちのほうが得かも…という計算が働いたのは想像に難くない。ジョバンニには「あんな田舎者と結婚するのは気が進まない」と体を許して応えつつ、花婿マゼットには「本当に愛してるのはあんたよ」と甘い声で丸め込む。可憐に見えてかなりしたたかな娘と言っていいだろう。
とは言え、いかに田舎者の花婿マゼットでも、花嫁を寝取られたことくらいは分かる。それで「コケにされた」とキレたのが、ジョバンニ謀殺という暴挙への突進だったのだ。しかし、それも戦に長けたジョバンニの前では子供のケンカ。あっさり返り討ちになって暴行を受けている。殺意は充分と言っていいだろう。
そして《第5の容疑者》こそ、誰あろう、従者レポレロである。彼は長年ドン・ジョバンニに従者として仕えているが、旦那が2000人もの女を取っ換え引っ換え抱いているのに対して、そのおこぼれひとつない。そのうえ、不義密通罪・姦通罪・さらに殺人罪の共犯にまでされ、村娘ツェルリーナへの暴行未遂容疑では罪をなすりつけられる始末。彼には「もう付いて行けない」と感じている。
そのあたりの不満を漏らしたところ、ドン・ジョバンニから服を交換して彼になりすまして女性を抱ける機会を与えられるも、結局これは失敗。袋叩きに遭う寸前まで行ってしまう。これはもう、いくらお人好しの従者でも殺意が芽生えても不思議ではない。
実際、ドン・ジョバンニ氏が石像と会話を交わしたこと、石像が招待に応じて夜会にやってきたこと、その結果、石像がジョバンニ氏を殺害したこと、それらすべてを一連の物語として伝えたのは彼にほかならない。「ドン・ジョバンニが石像に連れられて地獄へ落ちた」というのは、彼の証言でのみ語られた「物語」なのである。また、常に彼の近くに仕えている彼には、石像の仕掛けを施すことを含めて殺害するチャンスがもっともある人物ということになる。
最後に《第6の容疑者》として挙げられるのは、村娘ツェルリーナだ。彼女は、この一連の物語の中ではもっとも無害で天真爛漫であり、ドン・ジョバンニから何らの実害も受けていないかのように見える。
もちろん、彼との浮気を花婿マゼットにうすうす気付かれてはいるが、そこに深刻な事態は発生していない。この事件の関係者の中で、唯一犯行の動機があるとは思えない人物である。
しかし、推理小説の基本を思い出してみよう。そう、〈もっとも怪しくない人物が犯人〉なのである(笑)。この法則を鑑みてみれば、該当するのはまさしく彼女ということになる。何かとんでもない〈聞いてビックリの隠された事実〉があるのかも知れない。
例えば、そう。彼女も婚約者マゼットも共にドン・ジョバンニの不義の子で、二人は義理の兄妹だったと知らされてしまったとか…(これは、あり得ないことではない。なにしろ2000人以上の女性を抱いたと豪語するドン・ジョバンニなのだ。近くの村の子供が全員、彼のタネだということだってありそうではないか)。
ちなみに、もう一人、番外としてエルヴィーラの侍女という女性もいるが、彼女が実在するのかどうかは不明である。
物語の後半で、ドン・ジョバンニはこの彼女を口説くため、従者レポレロに自分の扮装をさせてエルヴィーラに押し付け、その隙に密会した(らしい)。しかし、舞台には登場しないので、容疑者と言うよりは、何かのアリバイ工作のために使われた人物なのかも知れない。
◆容疑者たちのアリバイ
…以上、早い話が、死んでしまった騎士長を含めた登場人物ほぼ全員に、彼を殺害する動機があることになる。
となると、事件当日のアリバイがきわめて重要な問題になる。
まず、事件現場にいて一部始終を目撃したと証言しているのは従者レポレロ。ドンナ・エルヴィーラは直前までドン・ジョバンニともめており、屋敷を出る際に石像に出くわして悲鳴を上げ逃げ去っている。
そして、ドン・ジョバンニが殺害された後、司法官を連れて屋敷にやってきたのが、ドンナ・アンナと許嫁ドン・オッターヴィオ、村娘ツェルリーナと花婿マゼット、という2組の男女である。
このうち石像を目撃したのは、レポレロとドンナ・エルヴィーラの2人だが、地獄へ連れて行かれたと証言しているのはレポレロ一人。エルヴィーラは石像を見て逃げ出したため、その後の事件の顛末には立ち会っていない。
そのほかの登場人物は事件当時に屋敷にいなかったが、事件直後に屋敷にそろって現れているところから、事件現場の近くにいたことは間違いない。
ちなみに、令嬢ドンナ・アンナ、その許嫁ドン・オッターヴィオ、正妻ドンナ・エルヴィーラの3人は、ツェルリーナの一件の際に仮面を付けてドン・ジョバンニ宅の舞踏会に訪れていることから、ある種の連帯関係にあったことが伺える。
そして、ドン・ジョバンニが地獄へ落ちた…と聞かされた後の彼らの言動(オペラの終幕)だが、最初に口を開いたドン・オッターヴィオは許嫁であるドンナ・アンナに「天が復讐してくれたのですから、私を悩ませないで(結婚して)ください」と迫っている。
しかし、ドンナ・アンナはそれに対して「心が落ち着くまで1年待って下さい」と答え、彼氏をちょっとガッカリさせている。ただし、これが、父の喪に服すという意味なのか、それともジョバンニの件を引きずってのことなのかは不明。
一方、ドンナ・エルヴィーラは「修道院に行く」と宣言。これも、ドン・ジョバンニに操を立ててのことなのか、あるいはもっと別の意味(例えば罪の意識)があってのことなのかは不明。何しろ、彼女にとってはジョバンニとの一件は生涯付きまとう影のようだ。
それに対して、農夫マゼットと花嫁ツェルリーナのカップルは「さあ、家に帰って、食事をしましょ」と屈託がない。彼らにとっては、まさしくハッピーエンドだったわけだ。
最後に従者のレポレロだが、彼は「もっとマシな主人(勤め先)を見つけよう」と呟いている。地獄に行った主人には、もうまったく未練はないようだ。
さて、これで事件の全容はおわかり頂けたと思う。
以上すべての事実から導き出される
ドン・ジョバンニ殺人事件の真犯人は誰か?
意外な共犯者とその秘められた動機は何か?
220年もの間、誰にも気付かれなかった
驚愕の真相が、今明かされる!
解決編は次回。乞うご期待!
◇歌劇「ドン・ジョバンニ」、近々の上演予定
2006年6月17日・20日・23日、メトロポリタン・オペラ。東京文化会館。
2006年9月30日、10月8日、錦織健プロデュース・オペラ。東京文化会館。
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コメント
うーん、なるほど。こういう読み方があったんですね。これは、今後の「ドン・ジョバンニ」の演出の方向を根底から覆す画期的な指摘ではないでしょうか。ぜひ英語版にして全世界に公開してください。
私の記憶では、海外のオペラ劇場の新演出(現代の若者に置き換えたようなアレンジ)で、殺人事件仕立てにしたものがあったと思います。その時の犯人は、ドンナ・アンナ、ドン・オッターヴィオ、ドンナ・エルヴィラの3人でした。確かに、仮面をかぶったこの3人が舞踏会に現れる図は、レクイエムの委嘱にモーツァルトの所へやってきた死神みたいな、なんだか怪しい雰囲気ですし。普通に考えると、この3人が一番怪しいですよね。
でも、とにかく気になって眠れませんよ。早く犯人を教えてください! ^(~~)^
投稿: 古畑任三郎 | 2006/05/12 07:18
もっとも意外な真犯人と言ったらこれでしょう。
真犯人:ダ・ポンテ
共犯者:モーツァルト
あっ、正解を言ってしまったかな?(^_^;)
投稿: 明智小五郎 | 2006/05/13 09:12
ヒントです。
騎士長は殺された後「石像」になりました。
では、ドン・ジョバンニは殺された後
どうなったのでしょうか?
投稿: 探偵事務所長 | 2006/05/13 13:02
じつは騎士長さんが剣でさされただけで死んでいないというのはどうでしょうか。生きているのに石の像にばけて復しゅうするんです。ということは共犯者はオッタービオさん。この二人、騎士団の上司と部下みたいな関係で、優秀な部下を娘の結婚相手に選んだ、という感じがするので、あやしいです。
犯人はオペラのお話と同じになってしまいますけど、亡霊だということにすれば、殺人罪にならないんじゃありませんか。そのために、死んだことにして復しゅうした。違うかな。
投稿: 江戸川コナン | 2006/05/14 00:35
待って。そもそもドン・ジョバンニが騎士長を殺したのって、本当にはずみだったのかしら? もしかして騎士長の殺害が本来の目的であって、その娘の寝室に忍び込むというのはその準備工作に過ぎなかった、なんてことはないかしらね?
つまり、路上でいきなり警察署長を殺したら、それはもう殺人罪じゃない? でも、夜、娘の部屋に忍び込んで、そこの父親が怒ったうえ決闘を申し込んできたら(そして、それは騎士長の性格から充分に予想される反応だと思うの)、それを返り討ちにして殺しても「決闘の上のこと」になるでしょう?
そうだわ。最初の騎士長の事件こそ、始めから計画的な殺人だったのよ。
そう考えると、娘の婚約者のドン・オッターヴィオという人も、かなり怪しいわよね。許嫁の令嬢の部屋に夜不審者が忍び込んできて、貞操を疑われるような事件があって、しかも父親を殺されて、「ボクが守ってあげます」と言えばホロリと来るシチュエーションが出来過ぎじゃない?
もしかして、父親の反対で婚約解消寸前まで行っていて、花嫁と財産を失いかけていたのを、ドン・ジョバンニと共謀して、この事件を起こしたのかも知れないわ。彼としては、結婚に反対する邪魔な父親を亡き者に出来るし、令嬢が自分を必要とする状況を作り出すことが出来る。そして、花嫁も家も財産も自分の物にできる。一石二鳥よね。
でも、やがてその真相を知るジョバンニは邪魔になってくる。それで、石像の呪いに見せかけて殺した。犯人は、オッターヴィオよ!
投稿: Miss.マープル | 2006/05/14 10:09
うわーなんか投稿者がすごいメンツですねー !(^.^;)!
投稿: 金田一はじめ | 2006/05/14 10:20
この事件の謎のポイントは、「密室殺人」と「死体消失」ですね。
ドン・ジョバンニは自分の屋敷で石像に襲われて地獄に連れ去られ、犯人は消えているわけですから、一種の密室での犯行ということになります。そして、殺害されたのではなく「地獄に連れ去られた」ということは、死体が消失しているということです。
では、このような場合、どうやって密室や消失が作り出されるのか?と言うと、今回の事件のように登場人物が限られている(そしてその中に必ず犯人が含まれている)時は、どこかで二者が重なっていたり入れ替わっていたりするのが、推理小説の常套手段です。(実際、このオペラの中でも、ジョバンニとレポレッロが入れ替わっても相手に気付かれなかったわけですからね)
そこで、登場人物の中から、入れ替われそうな組み合わせを洗い出してみると、
1.ドン・ジョバンニ⇔レポレッロ
物語の中で実際に入れ替わっている。背格好が同じらしい。
2.ドンナ・アンナ⇔ドンナ・エルヴィラ
共に貴族の若い女性で、そもそも名前からして紛らわしい。
3.騎士長⇔ドン・オッターヴィオ
共に壮年の貴族の男性。堅物である点も似ている様な気がする。
4.ドン・ジョバンニ⇔ドン・オッターヴィオ
これも意外ながらあり得なくはない。しかも名前も同じドン。
つまり、ドン・ジョバンニは、味方側のレポレッロにも敵側のドン・オッターヴィオにも入れ替われる可能性があるということです。
そもそも1幕の最後は、みんながドン・ジョバンニだと思っていた人物が、実は扮装したレポレッロだったわけですからね。ということは、そもそも最後の幕で出てきて「主人が石像に地獄に連れて行かれた」と証言したレポレッロが、ドン・ジョバンニの扮装でなかったと果たして言い切れるのかどうか。このあたりが推理のポイントになるのではないでしょうか?
投稿: 金田一耕助 | 2006/05/14 13:27
騎士長とドン・ジョバンニが同一人物だってことは?
投稿: 明智小五郎 | 2006/05/14 18:40
明智先生。それよりボクはここのコメントの投稿者の中にゼッタイ探偵事務所の所長が怪人二十面相みたいにまぎれこんでると思います。
投稿: こばやし少年 | 2006/05/14 20:33
↑すべての登場人物を疑え。これが推理の基本です。
おっと、これも大ヒントです。
投稿: 探偵事務所長 | 2006/05/15 09:32
いろいろな探偵さんのヒントを読んでみて、
犯人は、ドン・オッターヴィオ(ダ・ポンテさんが扮装している)で、
騎士長の石像の中に入っている人物もこの人。
共犯者は、ドン・ジョバンニ(モーツァルトが扮装している)で、
死んだとされているが、実は死んでなくてレポレロさんに入れ替わっている。
なので、事件1〈騎士長殺人事件)は、二人の共謀によるもの。
そして、ドンナ・アンナさんとドンナ・エルヴィーラさんも共犯で、
ドンナ・エルヴィーラさんは、「もっとマシな主人(勤め先)を見つけよう」
と呟いているレポレロ(=ドン・ジョバンニ)さんの後を追って行く。
こんな感じです。
当たっているといいな~(笑)
投稿: ゆかたっこ | 2006/05/15 22:20
犯人は、レポレロさんだと思うな。
ジョバンニさんが殺害されたことで、最も身の上に大きな変化がおきたのはこの人でしょ? わざわざ石膏の張りぼてまで用意した計画的な殺人は、感情に走った結果ではなく、自分の人生をやり直したいという思いでしょう。
身の上相談に行っても、悪巧みに付き合わされてしまうわけですから、消すしかありません。
エルヴィーラさんに抱いていた淡い恋心と、ジョバンニに成りすまして得たチャンスが、彼女をがっかりさせてしまったことを思えば、ますます、動機は充分。
最後の顛末を微細に語れるのが彼なのは、犯人だからでしょう。
ちなみに、僕は、来週月曜日 5月22日夜7時半から、テレビ東京に出演します。「そして誰もいなくなればいい」というタイトルです。お楽しみに!
投稿: 名探偵コナン | 2006/05/16 10:34
確かに、この事件は、レポレッロという従者がポイントだとぼくは思うね。
考えてみたまえ。最後の「地獄堕ち」が犯行の瞬間だとすると、その一部始終を見ていたと主張するレポレッロが「主人(ドン・ジョバンニ)は地獄に行った」と証言する理由は2つしかない。
1.すべてを知ってウソを言っている。
2.何かの手段でそう信じ込まされた。
しかし、前者だとするには、この男、あまりにも能天気で口が軽くて信用ならない。なにしろ2幕の半ばでは、オッターヴィオほか数名の男女に囲まれて追究されただけで泣いて謝ってすべてを話してしまうような男だからね。こんな奴が220年誰にも真相を気付かれないような完全犯罪の主犯や共犯者に成り得るとは、とても思えないじゃないか。
と言うことは、論理的帰結として後者になる。つまり、レポレッロは誰かによってハリボテの石像を騎士長の亡霊だと信じ込まされ、何かの光や音の仕掛けを地獄の劫火だと信じ込まされた、ということだよ。
となると、後は「誰に、そんなことが出来るか?」ということしかない。ここまで来れば、おのずから答えは明らかだよ。ここから先はキミが考えたまえ。そして、里美ちゃんを誘ってオペラでも見に行ったらどうかね?石岡君。
投稿: 御手洗潔 | 2006/05/16 17:02
あのー、レポレロ一人じゃ確かに絶対出来ない犯行だと思いますけど、ドンナ・エルヴィーラが手引きしてたとしたらあり得なくもないんじゃないかなー。
事件の後の最後のセリフは、レポレロが「新しい主人を探す」、エルヴィラは「修道院に行く」ですよね。ドンナ・アンナとオッターヴィオ、マゼットとツェルリーナは両方ともカップルになっているのに、この2人だけ浮いちゃってる。でも実は裏でデキてて密かにカップルになっててもおかしくないような気がするなー。
つまりエルヴィラが、ジョバンニからレポレロに乗り換えたんですよー。それで、レポレロを共犯にしてジョバンニを殺させた。でもって「殺した後はこういうふうにしゃべりなさい」というのもエルヴィラがセリフを作って教えた。
そう考えれば、レポレロがウソを言ってる可能性も、共犯だという可能性もアリだと思うけどな。
投稿: Satomi | 2006/05/17 09:57
私の名は、トラウマ。サラリーマンである。
ドンナ・エルヴィーラさんが、アフリカのサバンナで、夕日を見つめながら、告白してくれた。実は、彼女が真犯人だと。レポレロとはデキていた。あの日は、ジョバンニから手切れ金をふんだくって、手に手をとって逃げ出そうと、計画した。「レポレロは悪くないんです、私が、勝手にやったんです」
涙を流しながら、ぱおーん、と雄叫び(ん?雌叫び?)をあげていました。
もちろん、私だって負けてはおれません。「ぱおーん」と、文字通り雄叫び。そにに、吉松という作曲家が通りかかり、この光景が、後の、モノオペラの題材となったことは言うまでもありません。
わかったかな?
私の名は、トラウマ。サラリーマンである。
投稿: トラウマ | 2006/05/17 22:30
ぼくは一番大穴の「ツェルリーナ犯人説」を考えてみました。
よく推理小説で「実はAとBは親子だった!」という衝撃の告白がありますよね。今回のケースは、文中にあるようにたぶん村中がジョバンニのタネで、ツェルリーナもマゼットも実はジョバンニの子なんですよ、きっと。
そして、そのことを知らずに結婚し、ジョバンニとも寝てしまった後で「実はおまえたちは両方ともドン・ジョバンニの子供で、二人は異母兄妹なのだよ」と誰かに聞かされた。これは女性としては絶対「殺してやる!」になりますよね。
でも、ただの農家の嫁である彼女には、貴族であるジョバンニの屋敷に乗り込んで大仕掛けを作って殺したりはできないから、やっぱり共犯はオッターヴィオとドンナアンナのお二人じゃないでしょうか。
投稿: Mr.ポワロ | 2006/05/18 00:16
こ、こんな怖い話だったんですか?
ドン・ジョバンニって ;(*_*);
投稿: 明智小五郎 | 2006/05/18 16:05
おー、トラウマ君、久しぶりー、元気?
もし、トラウマ君が正解だったら、オペラ、一緒に行ってあげるよ。
それとも、トラウマ君の家の近所に住んでいる、ほっそりとした美人系、でも、「子供は、燃えるごみ?燃えない?」って聞いた奥さんを誘うの?
投稿: フラクタル | 2006/05/18 18:36
ツェルリーナ萌え〜♡のファンです。
彼女ってこのオペラの中のアイドル的存在じゃないですか。
それなのに殺人の容疑をかけるなんてひどい!
あんな可愛い子が犯人だなんて、ボクは絶対信じません!
だれか、彼女の無実を証明してあげて下さい!
投稿: まぜっこ♡ | 2006/05/19 16:53
精神科の受診をお勧めいたします。
投稿: / | 2006/05/19 17:33
ツェルリーナ犯人説にはぼくも否定的な意見だね。
ただ、彼女が可愛いゆえ無実だというのはちょっと同意出来ない。通常は省略される2幕10景の異稿を見てみるとね、婚約者のマゼットが殴られたと知ったツェルリーナが、レポレロにナイフを突き付けて「あんたの主人(ジョバンニ)の心臓がここにあったら(刺してやるのに)!」とまで怒っている。この子、かわいい顔して結構激情型の女性のようだよ、まぜっこ♡くん。
なにしろ、彼女とマゼットは大地に生きる人間だからね。怒るとナイフとか棍棒を持ち出す「瞬間湯沸かし器」型の素朴でストレートな人間なんだ。だから、殺すんなら後先考えずに殺すだろうね。石像に扮装したり地獄の仕掛けをしてまで完全犯罪を成立させるような、そんな貴族趣味な殺し方なんて、考えもしないはずだよ。
だから、この二人に「殺意」はあるが、手の込んだ殺害計画の「実行」には加担していない。ボクはそう思うよ。これで安心したかね。もっとも、別の点でキミを失望させてしまったかもしれないがね。
投稿: 御手洗潔 | 2006/05/20 18:54
テレビでダ・ビンチの謎をやってたのを見ました。最後の晩さんやモナリザに、キリスト教の謎をめぐる暗号が仕かけられているんだそうです。なるほどなーと思いました。で、思ったんですけど、ドン・ジョバンニにも謎の暗号があるんじゃないでしょうか?例えば彼の名前を逆さに読むとINNAVOIG NODですよね。これって何かの暗号?アナグラム?どうせイタリア語で分からないんですけど。それに登場人物のうち、男2人がドンという名前で、女2人がドンナというのも作為を感じませんか?つまりドンが付くのが4人ですよね。ドンツク。ツクドン。これって暗号?・・・なわけないですよね。失礼しました。m(~ ~)m
投稿: 幕張のMaria | 2006/05/21 15:52
名探偵コナン君、君はまだ若い。
犯罪者だって人間だ。いろいろな気持ちがあってのこと。
それを第三者が紐解くのは、一苦労なんじゃ。
わしが怪しいと思っているのは、エルヴィーラの侍女じゃ。
わざわざレポレロを説得して扮装させてまで、言い寄るエルヴィーラを袖にして、わざわざドン・ジョバンニが言い寄った。それはなぜか?余程魅力があるのであろう。
なのになぜ、表舞台に出てこないのか?それは逆に言えば、工作の時間はたっぷりあった。
多分、侍女はドン・ジョバンニの子供を身ごもり、エルヴィーラと立場大逆転を狙った。しかし、ジョバンニは、「ん?子供?認知するよ。それだけ」と、慣れた態度で認知の手続きを進めた。侍女は納得しないわなあ。
しかし、殺意に至る心の経過がわからんのじゃよ。うーん。
これは、警視庁の捜査二課、警部補、三原紀一くんに考えてもらおう。
投稿: 刑事 鳥飼重太郎 | 2006/05/21 22:43
騎士長が殺されて石像になった、っていうのが
何かの見立て殺人ということはないんでしょうか?
♪一人の騎士が殺されて〜
恨みつのらせ石になりました〜
とかいう子守歌が村に伝わっていたとか・・・>(^o^)<
投稿: Satomi | 2006/05/22 21:06
ユージ:これって、連続殺人事件なんじゃないの?
タカ:かもな。ということは・・・
ユージ:騎士長のオッサンとジョバちゃんを殺した犯人は
タカ:ジョバちゃん言うな。
ユージ:・・・あれ?・・・同じってこと???
タカ:そりゃないだろう、ベイベー。
ユージ:じゃ、オレ、ちょっとツェルちんの所に聞き込みに
タカ:ツェルちん言うな。それに、口説きに…の間違いだろ。
ユージ:行くぜ!
投稿: あぶDEKA | 2006/05/24 12:14
ジョバちゃん・・チェルちん・・って ☆〜(^o^;)〜☆
投稿: Don Jova | 2006/05/24 15:36
ユージ:チェルちんは「あたしやってないもん」ってさ。
タカ:女の言うことを真に受けちゃいけないぜ。
ユージ:で、ドンエルちゃんも「やってません」とさ。
タカ:ドンペリみたいに言うな。女はみんなそう言うんだ。
ユージ:で、カノジョのジージョにも探り入れたんだけど
タカ:侍女だろ?あれは架空の人物だったんじゃないのか?
ユージ:それが、聞いて驚いちゃうぜ。ジージョなんだよ。
タカ:だから侍女だろ?
ユージ:ちゃうちゃう。男なんだよ。ジージョって名前の。
タカ:何??ということはジョバ公は両刀使いだったのか?
ユージ:ホモそういうことになるね。
投稿: あぶDEKA 2 | 2006/05/25 12:49
鳥飼刑事、その節は色々とお世話になりました。
私が考えるに、エルヴィーラの侍女は、実はドン・ジョバンニの娘。母親の面影を残す、彼女に、ジョバンニが惹かれたのは無理もない。実は、これは、母親の仕組んだ壮大な復讐撃(劇?どっちだ?この場合)の完成図なのです。
いろいろと調査をしていたのですが、西鉄電車が消えてしまうということで、調査は行き詰まってしまいました。
確かに、どなたかがおっしゃる通り、精神的に相当おかしいのかと思い、巷で評判の精神科医、伊良部一郎氏にかかろうと思っております。どなたか、伊良部病院の場所、ご存知ありませんか?電車から見えるそうです。
投稿: 警視庁 三原 紀一 | 2006/05/25 19:39
ねえ、ねえ、警視庁ってことは、パトカーに乗れるの?ねえ、僕を乗せてくれる? 信号無視していいんだよねえ? ぐふふ
投稿: 医師: 伊良部一郎 | 2006/05/25 22:50
やっぱり精神科の受診をお勧めいたします。
投稿: /in the pool | 2006/05/26 00:25
そうだよね。やっぱり精神科だよね。じゃ、注射ね。ぐふふ
投稿: 医師: 伊良部一郎 | 2006/05/26 11:00
いえね、精神科はともかく、私、ひとつ気付いたことがあるんです。犯人が容疑者のうちの誰かである…というのでは、意外な真犯人でも驚愕な真相でもないんじゃないか…ってね。だって、彼らが害者をやっつけたがってたことは事実だし、実際に話の中でも「殺してやる」って歌ってる。つまりこの中の誰が犯人でも、その結果に「意外!」という感想はないと思うんですよ。にもかかわらず、
ドン・ジョバンニ殺人事件の真犯人は誰か?
意外な共犯者とその秘められた動機は何か?
220年もの間、誰にも気付かれなかった
驚愕の真相が、今明かされる!
・・・って、読者を挑発してますよね。ということは、犯人はこの容疑者以外の「もっと意外な人物」なんですよ。意外と言えば、レポレロ氏やツェルリーナ嬢もそうですけど、「この人が真犯人でした!」と言われて「それは意外だ!!!」とみんなが驚くのは誰かということになると、それはもう「騎士長」しかないんじゃないかと私は思うんですがね。彼が死んでなくて実は生きてたとしたら、これはまさしく「意外」だし「驚愕の事実」ということになりますからね。
もっとも、それもこれも真相が分かって言ってるわけじゃありません。あくまでも「意外」という点だけを考えての推理なんですがね・・
投稿: 刑事コロンボ | 2006/05/26 11:49
うーん。かなり真相に近付いてきているんでしょうか?
それとも、所長がミスディレクションを仕組んでいる?
・・・もしかして今までの推理の中に図星なのがあって、
これからあわてて真犯人を変える、なんてことは・・・
ないですよね?所長V(^o^)V?
投稿: Lupin IV | 2006/05/27 16:54
↑解決編の原稿は、前編を書いた時点でアップしています。
ご心配なく。
投稿: 探偵事務所・所長 | 2006/05/28 11:49
初めてカキコしますが、色んな人が色んなことを書いているので、
どこまで本当でどこまでウソなんだか分からなくなって来ました。
なんかわけの分からないヒトも乱入してるし。
それにしても世の中にはずいぶんたくさんの探偵さんがいるんですねー。
投稿: Wolfgang | 2006/05/30 00:08
え?皆さんとっくにお気付きなんだとばっかり思ってました。
ここの投稿って全部探偵団で書いてるんですよ?
投稿: こばやし少年 | 2006/05/30 00:13
うそ!!!
それじゃあ、私以外はみんなニセモノ?
投稿: 明智小五郎 | 2006/05/30 00:17
↑そう言って驚いてるキミも偽者なんだろ?
本物は僕だけだよ。ねえ、石岡君。
投稿: 御手洗潔 | 2006/05/30 00:19
☝そう言う貴方もね。
私は最初から気付いてましたよ。
投稿: Miss.マープル | 2006/05/30 00:20
あのぉ、所長、ネタバレが始まっちゃいましたし、
犯人当てクイズも明日が〆切日なのに、
みなさん勝手な推理をコメントで書き込むばっかりで、
まともな応募がまだ1通もありません。ぐすん。
今なら濡れ手に粟でチケットをゲット出来ますので、
左上の〈ドン・ジョバンニ殺人事件捜査本部〉宛に
適当な犯人名とメールアドレスだけ書いてご応募くださいね。
早い者勝ち♡
投稿: 探偵事務所♡秘書 | 2006/05/30 10:00
明智君、今日のお昼ご飯、かぶらで煮魚。
君は?
投稿: 羽柴荘太郎 | 2006/05/30 14:01
↑これは何かの暗号でしょうか?
かぶらでにざかな
なかざにでらぶか?
ブラザかなにかで?
投稿: 明智小六郎 | 2006/05/31 00:34
暗号は日常の中にあり
真実は虚構の中にある。
初歩だよ。ワトソンくん。
投稿: Sherlock | 2006/05/31 22:04
あと28分で、オペラのチケットは僕のものだね。
誰の推理が当たっているかなんて、関係ないんでしょ?
本当は、探偵事務所とか言いながら、最初から「迷宮入り」が答えなんじゃないの? どうなの? どなの?
投稿: 医師: 伊良部一郎 | 2006/05/31 23:34
はい! ということで
そろそろ推理も出尽くしたことと思いますので、
犯人当てクイズはこれにて〆切とさせていただきます。
大勢の探偵の皆さん、ありがとうございました。
・・・でも、全然まともな応募はなかったんですけど(笑)
それでも、少しは真相に近づけたのではないでしょうか?
それでは、6月10日の〈解決編〉をお楽しみに!
クラシック音楽探偵事務所・所長でした。
投稿: 探偵事務所・所長 | 2006/06/01 00:00
ちなみに、皆さんの推理の中で犯人&共犯として名前が挙がった人物の統計は下記の通りです。
・ドン・オッターヴィオ 5(主犯3,共犯2)
・レポレロ 3(主犯2,共犯1)
・ドンナ・エルヴィラ 3(主犯2,共犯1)
・騎士長 2(主犯2,共犯0)
・ドンナ・アンナ 2(主犯1,共犯1)
・ツェルリーナ 1(主犯1,共犯0)
・ダ・ポンテ 1(主犯1,共犯0)
・ドン・ジョバンニ 1(主犯0,共犯1)
・モーツァルト 1(主犯0,共犯1)
なんとドン・オッターヴィオ氏が一番人気でした。確かに、よく考えてみれば「男」で「武器を扱える人物」…ということになると、この人しかいませんし、妥当な線でしょうか。
次点はレポレロとドンナ・エルヴィラ。この2人の共謀説は意外とあり得るような気もします。騎士長も意外と善戦しました。でも、最初から「騎士長の亡霊に殺された」という話なわけで、確かに犯人ではあるのですけどね。
投稿: 探偵事務所・所長 | 2006/06/01 15:51