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2013/02/10

花についての短い考察

 人類の遠い始祖であるネアンデルタール人が死者に花を手向けていた、という話を聞いたのはいつのことだったろうか。

 1960年代、中東の5万年ほど前の遺跡から、たくさんの花に覆われて埋葬された遺骨が見つかった。もちろん花は原形をとどめていない。でも、花粉の痕跡で6種類ほどの花が遺体に添えられていたことが分かった。埋葬されたのは初夏。その花たちは白・赤・青・黄色といった色鮮やかなものだったそうだ。

 人が死者に花を手向けるのは、花が「ただ美しいもの」であるのと同時に、「再生」を象徴するからだろう。

 花は、春に鮮やかに咲き乱れたあと枯れてしまう。それはまるで死んだかのように見えるけれど、次の春になると再び命の花がひらく。それが、死者への「再生」の夢の象徴となるのだろう。

 震災復興応援のための「花は咲くプロジェクト」のチャリティーソングはこう歌う。

花は 花は 花は咲く

 いつか生まれる君に

 花は 花は 花は咲く

 わたしは何を残しただろう

(作詩:岩井俊二、作曲:菅野よう子)

 

 私も、妹を亡くしてから10年間、月命日に墓に花を手向けに通ったことがある。1年12回だから120回。一度も欠かさなかった。なぜだろう。 墓を花で飾りたくなるのは。

 遠い祖先がそう思ったように、「再生」と「色彩」の印を捧げたいと思うのだろうか。


 私は、作曲家というやくざな仕事を選択した瞬間から、生き延びることなど微塵も考えず音楽三昧の日々を送って来た。その兄が還暦を迎えてなお生き延びているのに、ごく普通のささやかで幸福な生活を手にするはずだった妹は、小さな息子二人を残して三十代の若さで逝ってしまった。

 2年前のあの震災では、そういった無念のドラマが死んだ人の数だけあったことだろう。

 花は咲く。

 一度は枯れたように見えても

 神は、忘れず次の年の春にはふたたび花を咲かせる。


 人がそれにならって死者に花を手向けるのは、

 あなたを決して「忘れない」ということの証しなのだろう。

         *

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ウィーン少年合唱団

http://www.japanarts.co.jp/wsk2013/index.html

5月3日(金)サントリーホール

5月4日(土)東京オペラシティコンサートホール

5月18日(土)東京オペラシティコンサートホール

6月5日(水)サントリーホール

6月14日(金)東京オペラシティコンサートホール

6月15日(土)東京オペラシティコンサートホール

6月16日(日)東京オペラシティコンサートホール

          *

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東日本大震災復興支援チャリティコンサート クラシック・エイドVol.3

http://www.japanarts.co.jp/concert/concert_detail.php?id=76&lang=1

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2013年3月9日(土)14時開演@東京オペラシティコンサートホール

指揮:梅田俊明
声楽:鮫島有美子、波多野睦美、森麻季
ピアノ:金子三勇士、仲道郁代、丸山滋
弦楽器:千住真理子、滝千春、ほか
司会:千住明、山田美也子
構成:新井鷗子
特別出演:福島県立葵高等学校、合唱指導:瓶子 美穂子

主催:ジャパンアーツ

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