続ショスタコーヴィチの憂鬱
ショスタコーヴィチの交響曲全集としてはコンドラシンによるものが一番水準が高いと思うのだけれど、国内盤は手に入らないから音楽誌での推薦盤にしにくくて…と某所でぼやいたら「輸入盤なら手に入るみたいです」という返事。しかも、全15曲(CD12枚)で6,000円前後というから驚き。(ちなみに国内盤は15,000円ほどだった)。
しばらく前にバルシャイによる全集(全15曲、CD11枚)が4,000円台で出てびっくりしたのだが、最近はクラシックも廉価版が普及し、品数もかなり増えてきた。レアな現代物のジャンルでも1,000円前後の国内(復刻)盤が続々出て来ているし、聴き手にとっては嬉しい限り……
……ではあるのだが、作っている(作曲家の)方からしたら、一生かけて書いた15曲の交響曲が5,000円前後ということは…一曲300円ちょっと!!!。これはショックだろうなあ。
ショスタコーヴィチ先生はもうとうに亡くなっているから、CDの売り上げがどうでも関係ないだろうけれど、手軽に音楽を手に出来る廉価盤や音楽配信の流れが、返す刀で生きている作曲家たちの首を絞めているのは確かだ。
ただでさえ音楽業界の未来が怪しいのに、こんな遺産の食いつぶし&大放出叩き売りみたいな商売やってしまって大丈夫なのだろうか?
……もちろん大丈夫じゃないに決まってる。と言うより、そんなことを悩む以前に、もう既にこの業界は終わっているのかも知れないとさえ思えて来る。
現在のそして未来の音楽文化を育てるために、未知の音楽をこそ敢えて高い金額を出して買う!という気概のある音楽愛好家はいないのか?
……そう。いなかったのだ。