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2006年3月 4日 (土)

CD大木正夫:交響曲第5番「ヒロシマ」を聴く

Ohki

 NAXOSの日本作曲家選輯シリーズの新譜、大木正夫:交響曲第5番「ヒロシマ」を聴く。

 大木正夫(1901〜1971)は原爆を題材にしたカンタータ「人間をかえせ」が有名だが、このような交響曲が存在するとは不覚にも知らなかった。ゴジラ誕生の前年昭和28年(1953年)に書かれ、序奏・幽霊・火・水・虹・少年少女・原始砂漠・悲歌…という8つの部分から成る40分弱の大作である。

 テーマがテーマなので全編不協和音の渦巻く重苦しい音楽なのは致し方ないが、一本ぴんと張りつめた意志で貫かれていると不協和音の錯綜と怪異な音響の連続でもこうも違うのか…と思えるほど説得力がある。世の中には、不協和音でしか語れない、怪異な音響でしか描けない…そういった必然性のあるテーマもあるのだ、と改めて思い知らされる。

 決して聴いて楽しい音楽ではないし、最後に至っても救済は無いつらい音楽ではあるのだが、「ヒロシマ」という具体的なテーマを聞かなくても、この音楽の奥にある(人間への絶望と、後悔と苦悩の果てに辿り着いた)「人間への深い思い」は充分に伝わってくる。(そのあたりは、どこかショスタコーヴィチの11番や13番の交響曲と共振している様な気がする)。聴いていて、ちょっと鳥肌が立った。

 それにしても、同国の作曲家がものにしたこれほどの絶品を、今までコンサートでもCDでも聴くことが出来なかった日本のクラシック音楽界というのは一体なんだったのだろう? モーツァルト生誕250年なんかで浮かれていていいのか?

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コメント

吉松先生、はじめまして。
このCDの企画を担当した者です。
先生の日記を見つけ、迷ったのですが、あんまり嬉しくて書いてしまいました。吉松先生が聴いて下さっていると思うと、大変励まされます。今はまだ主に往年の巨匠を掘り起こすのでいっぱいいっぱいではありますが、いつかは吉松先生のような第一線でご活躍の作曲家へたどり着けるようがんばりたいと思います。今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

最近、ナクソスさんから出た大木正夫の「ヒロシマ」のCDを聴きました。
不気味な爆裂音、激しい不協和音のクラスター、不安定で気持ち悪い波状のゆらぎに満ち満ちていますが、
しかし、とても分かりやすい、何というか、ベートーベンの直系といっても良さそうなほど、
幅広い人々に訴えかけるチカラを持つ、民衆性を失わない音楽でした。
音響実験が自己目的化しているような音楽とは一線を画する、人の息づかいを感ずる音楽です。
作曲家の怒り、悲しみ,絶望がはっきりと伝わってきました。

作曲家も意識的に分かりやすい、伝わりやすい音楽を目指しているのだと思いました。
主要なモチーフはどれも単純明快で、誤解するような要素はありません。
むしろ聴き易いといっても良いくらいです。
音楽的な難解さを意識的に避けているように思われます。
汚い、濁った、あるいは実験的な音響を売りにしているわけではなく、
それらを超える人としての視点と共感が根底にあり、それが音楽的な構造を統御しているからでしょう。
その意味でペンデレッキの音響の先駆という見方には違和感があります。

なぜこのような傑作が演奏されてこなかったのか、私も不思議です。

ナクソスさんには、素晴らしい企画を感謝致します。

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