ALL 吉松 CONCERT in 大阪
大阪でのオール吉松コンサート(河村泰子ピアノ・リサイタル)に出向く。作曲家や音楽祭が企画するのとは違い、演奏家が「弾きたい&聴きたい曲」を披露するという、もっとも純粋で真っ当な作品集コンサート。
そんな気迫と情熱が伝わってかホールは満員御礼の盛況。「クラシックのコンサートは初めて」という初心者から吉松マニアまで、次から次へとオモチャ箱をひっくり返したように繰り出す音楽に呆れ・・もとい、酔いしれた(ような気がする)。
冒頭ピアノソロ(プレイアデス舞曲集I-II)でさりげなく始まり、やがてギターとフルートが加わり(同III)、フルートとピアノが全力疾走する(デジタルバード組曲)までが前半。後半はギターソロ(優しき玩具)でしっとり始まり、ちょっと解説を挟んでから12年に一度しか演奏されない占星学的室内楽の秘曲(四重奏曲アルリシャ)と、泣く子も黙るトドメのロックンロール(アトムハーツクラブTRIO)で燃え上がり、アンコールはふたたびピアノソロに戻って「消えたプレイアードによせて」で静かに美しくクールダウンして終了。
クラシカル〜モダン〜ロックと振幅し変化する緩急自在の構成も良かったし、作った「製造販売責任者(?)」自身が忘れていた自分の音楽の本性に気付かされるような(笑)、楽しくも心躍らされるコンサートだった。ベーゼンドルファーのショールームの隣という立地条件抜群のホール(新大阪:ムラマツ・リサイタルホール)のせいもあって、ピアノの響きも万全。企画制作から演奏まで八面六臂の活躍をされた河村泰子さん、そして見事な演奏を聴かせてくださった演奏家(fl:中務晴之、g:増井一友、vn:友永健二、vc:黒田育世)の皆さんに拍手。
終演後、なぜかサイン会。「ピアニストのリサイタルなのに、なんで作曲家がサイン会してんねん!」という非難の目がチクチク(笑)。勢い余って、飲み会では大阪音大の作曲学生さんたち相手に「怪しい作曲道」を垂れ、純朴な目が点になるのが分かる。いかんいかん。こんな怪しい作曲家の言うことなど信じて道を踏み外してはいけないよ。信じていいのは音楽だけだ。
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4年にわたり河村泰子さんのファンをしており、一昨年は「デジタルバード組曲」(サマフェス@いずみホール)と、「ランダムバード変奏曲」(@王寺町やわらぎ会館)を聴きました。直後、相愛の今岡淑子さんも「ランダムバード変奏曲」を弾かれました(オルヒデーンクランツピアノコンサート@いずみホール)
今回のリサイタルを周囲に宣伝するよう河村さんに仰せつかっていましたが、私経由ではあまり広がらなかったようで恐縮です。
気がつくと私のすぐ後ろの席にいらっしゃったので少し緊張しながらも、アピール力に富む作品の数々、楽しませていただきました。
私は吉松さんと同世代ですが、単なるくすんだオヤジでございます。私の隣席はご自宅で黒田育世さんのコンサートを開いておられるかたでした。
御著書・CD・譜面(見るだけ)を少し買い集めていましたが、持たずに行ったのでサインコーナーにいらっしゃるのを拝見して残念でした。
河村さんはシリーズ化を考えておられるそうなので次回も楽しみです。その折りにでも名乗らせていただきますね。
プレイアデス舞曲集第3集が広く愛奏されているようですね。1月に近所で聴いたものについて拙ブログに書きました:http://nzzkn.at.webry.info/200601/article_16.html
投稿: nzzkn | 2006年6月25日 (日) 10:34
昨日のコンサート、とても楽しませていただきました。
河村さんをはじめ演奏者の方々の熱意にも感謝するところと
ともに、日本に吉松さんの音楽があることにものすごく幸せを
感じた2時間半でした。
僕は90年代半ば以降の吉松さん作品が好みですが、80年代
の珍しいものを聴くことができたのは、とても貴重な体験でし
た。
今後も、吉松さん作品の企画が続いていくことを切に願って
います。
ところで、河村さんによる吉松さん作品演奏会が続くならば、
最終公演で「交響曲4番」のアンサンブル版が聴きたいです。
3楽章のピアノによる「オルゴール」シーンを、河村さんの
ピアノで…と妄想しています。
編曲、よろしくお願いします。
投稿: 田中秀明 | 2006年6月25日 (日) 17:48
mixiの吉松さんコミュで前日に情報をいただき、万難を廃して新大阪まで聞きに行かせていただきました。ムラマツ・リサイタルホールにいく道すがら吉松さん現物といきなりすれ違ってびっくりしましたよ。関西ではそういうことがあまりないもので。
失礼ながら河村泰子さんというお名前は存じていなかったのですが、「勝ちたいんや」ならぬ「弾きたいんや」という熱意あふれる演奏でとても楽しいコンサートでした。
とくに「アルリシャ」が印象深かったです。おもちゃ箱的な賑やかさがとてもよかったし、演奏もとても丁寧で(あわせるのが難しいとおっしゃってましたが)まさしくブラボーでした。録音がないとはもったいないですねぇ。
思ったこと
・シリーズをつづけてくださるととても嬉しいです。
・最後はもちろんオケをバックに「メモ・フローラ」ですね(笑)。いちど生演奏を聴いてみたいものです。
・吉松さんには弦楽四重奏がよく似合うとおもうのですがいかがでしょう?(ある種のシンフォニストは弦楽四重奏曲でグチを言うという印象があるのですが、ベートーベンしかり、ショスタコしかり。)
・演奏会後のサイン会でちゃっかりサインいただきました。どうもありがとうございました。
投稿: 松田史生 | 2006年6月28日 (水) 19:45