ジェルジ・リゲティ氏死去
12日、作曲家リゲティ氏死す。83歳。
SF映画「2001年宇宙の旅」でも使用された「アトモスフェール」(1961)で、60年代前衛音楽界に(「広島の犠牲によせる哀歌」のペンデレツキ氏と共に)トーン・クラスター旋風を巻き起こした大作曲家。
♪注:クラスターと言うのは、音階の中の#♭から1/4音までのすべての音をブドウの房(クラスター)のように重ねて鳴らす作曲技法です。念のため。
彼と同時代の前衛音楽の作曲家たちは、60年代にその先鋭的なサウンドで一斉を風靡した後、80年代以降になると・・・
1.中途半端なロマン派回帰をして呆れられる
2.頑迷に前衛に徹して世間から取り残される
・・・という二派に別れて衰微して行った。
しかし、リゲティ氏の場合は、オペラ「グラン・マカーブル」に見られるような独特のユーモア(と言うよりギャグのセンス?)が、1にも2にも堕さない微妙なスタンスを作っていたように思う。ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲あるいはハンガリアン・ロックなどは、ゲンダイ音楽だと思ってかまえて聴かずに、ロックンロールしそこなったフリージャズだとでも思って聴けば、けっこうお茶目で楽しい音楽なのだ。しかし、個人的にはやっぱり「アトモスフェール」のショックが忘れられないけれど。
余談だが、数年前に某神社(もちろん日本の)で氏とすれ違ったことがある。その時は来日しているなどとは露知らず「あれ?どこかで見たような?」と狐につままれたような気分だったが、後に京都賞だったかで日本に来ていたことを知った。しまった。本人だと知っていたら、サインでももらっておけば良かった(笑)。
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どうもはじめまして。
岩城宏之氏もお亡くなりになられましたね。
巨匠達が次々と逝ってしまう・・・。
投稿: なかむー | 2006年6月13日 (火) 15:36