島田荘司「帝都衛星軌道」
島田荘司氏の新刊「帝都衛星軌道」を読む。新作ミステリなのに名探偵:御手洗潔がまたしても登場しないのは残念ながら、物語の最後に東京の地下鉄についてボソッと書いてあるところで目が釘付けに。
いわく、東京の地下鉄と言うのは、大戦中に掘られた首都防衛用の地下防空壕や巨大地下施設や抜け穴の類いを、年月が経って崩落する危険があるので補強しながら繋ぎ合わせているだけだ…というのである。
それについては幾つか本も出ているほどの一種の都市伝説らしいのだが、高校生時代に慶応日吉校舎地下の大本営巨大地下壕を間近に見、子供のころ東京オリンピックでの首都高速を始めとする建築物の突貫工事を目の当たりにし、あるいは浄水場跡に出来た新宿副都心の地下道網を見、50年近く延々何かをほじくっている実家近くの山手通りを見ている身には、東京の地下には都民に知らされていない何かが埋まってるんじゃないか…というのは空想ではなく実感に近い。
確かに、(東京に住んでいる方以外には実感できないかも知れないが)この街の地下鉄のわけの分からない迷路のような路線網や、厖大な建設費がかかる筈なのに意味もなく奇妙な路線を増設する無秩序さ、あちこちの地下道で見かける階段の乱高下や場違いで意味不明な柱、どこに繋がっているのか分からない不思議な空洞の存在、そして年中なにかをほじくっている道路工事の多さなどなどは、そうとも思わなければ説明がつかないほどだったりするのである。
以前は、単なる都市計画の杜撰さ…という程度に思っていたが、うーん、確かにそう言われて見ると、なんか色々埋まっている気になってきたぞ。むかし、新宿西口の地下から大阪梅田の地下に抜けられる秘密の地下道がある…なんていう都市伝説があったけれど、今度ヒマな時に探してみるとしようか(笑)
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私が住む麻布は、六本木ヒルズの裏。
そこは以前、陸軍の宿舎があった。226事件の麻布連隊の出発地点となった。
今は、株式市場戦士のメッカとなっている。攻撃を受けたり、流れ弾にあたったり、なかなか忙しい。
六本木の交差点の向こう側は、防衛庁があった。現在、新しいビルを立てている。その隣の敷地は、星条旗関係。ヘリコプターがぱたぱたうるさい。その向こうには乃木神社。
何かと、勇ましいモノが集まっている。偶然ではない。
地下鉄工事がいつまでも終わらないのも、当然であろう。
投稿: 羽柴荘太郎 | 2006年6月 6日 (火) 14:57