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お知らせ

  • らららクラシック@バルトーク〈管弦楽のための協奏曲〉
    ・NHK-ETV 6月16日(金)21:30〜22:00放送。司会:高橋克典、牛田茉友。ゲスト:関口知宏/吉松隆。
  • 音楽館
    作品視聴…映像付き
  • 楽譜出版《ASKS.orchestra》交響曲,協奏曲,室内楽などのスコアを電子版(PDF)で販売中。海外向け→**
    出版作品一覧→***NEW
  • 《図解クラシック音楽大事典》(学研)イラストとまんがでオーケストラや楽典から音楽史までを紹介する掟破りの入門書。旧〈音楽大事典〉の超大幅改訂復刻版。
    作曲は鳥のごとく》(春秋社)自らの作曲家生活を綴った独学の音楽史@2013年3月刊
    《調性で読み解くクラシック》(ヤマハ)調性および音楽の謎を楽理・楽器・科学・歴史から読み解く文庫版入門書。
  • ブラボー!オーケストラ
    ・NHK-FM 毎週日曜日19:20~20:20放送。毎月第1-2日曜日(+α)東京枠解説担当。
    ・05月07日/14日/21日

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2006年7月31日 (月)

星幻譜 & 風夢の舞

Miros 書き下ろしの邦楽DUO作品2曲をようやく仕上げる。笙と二十絃のための「星幻譜」(全3曲)op.97と、尺八と二十絃のための「風夢の舞」(全7曲)op.98。

 作曲家をやっていると時々(なぜか)交響曲ふたつとかソナタふたつとか同じ編成の曲を続けて書いてしまうことがあるのだが、この2曲のペアもそのクチ。これは2曲を同時進行させることによって、逆にキャラクターの対照性(ボケとツッコミ?)を明確にする効果があるからだ。
 というわけで今回も、前者が「静かで古風で叙情的(物静かな女の子)」、後者が「リズミカルでポップで多様的(腕白な男の子)」と、対照的な曲に仕上がった…ような気がする。

 ただ、2曲ともいわゆる〈邦楽〉の香りはほとんどしない。ケルティック・ハープとパンパイプで演奏してもいい音楽なんじゃないか…と言われそうな気さえする。以前は〈邦楽〉というと、どうしても伝統やワビサビや仏教臭の呪縛から抜け出せないところがあったのだが、最近は〈日本の音を出す玩具〉として割り切れるようになった…ということなのかも知れない。
 もちろん、それが良いのかどうかは分からないけれど・・・。

 録音は9月初旬。CDになるのは(たぶん)11月頃の予定。

2006年7月30日 (日)

狂気と底なし沼の日々

Mad 作曲をしている時はいつだって「このまま気が狂うんじゃなかろうか?」と思う。頭の中でメロディやリズムやハーモニー進行の細部が繰り返し繰り返し(いわゆる壊れたテープレコーダーのように)エンドレスで鳴り続け、止まらなくなるからだ。

 確かに楽想が浮かぶ瞬間というのは楽しいけれど、その後それを磨いてゆく工程はストレスがたまるばかりの作業が延々と続く。この状態の作曲家に「どうですか?作曲は進んでますか?」などと声を掛けるのは、エサが見つからず気が立っている熊に「どうですか?お腹空いてますか?」と声を掛けるのと同じで、かなり危険と言えよう(笑)

 そして、そんな狂気から現実に引き戻してくれるのが、〈〆切〉という存在だ。ものを創る人間にとって〆切というのはストレスの源泉でもあるが、これがあるおかげで「まあ、こんなもんかな」と夢から覚めることが出来るとも言える。
 その〆切がなかった日には…いつまでたっても「これで完成!」という踏ん切りがつかないまま、ズルズルと終わりのない底なし沼にさまよい込んでしまいかねない。〈〆切〉というのは確かに無粋で腹立たしい代物だが、あれはあれで創作における重要な仕掛けだったりするのである。

 で、ひとつの底なし沼から出ると、またもうひとつの底なし沼がある。そうやって、また「このまま気が狂うんじゃなかろうか?」と思う日々が続くわけなのである。

2006年7月26日 (水)

ピンクフロイド PULSE・・・

Pulse 東京に戻ったら、ピンクフロイドのDVD「PULSE」が届いていた。1994年のライヴ映像の待望のDVD化。LDでは持っていたのだが、9月発売の国内盤まで待ち切れなくて輸入盤を注文していたもの。冒頭、円形スクリーンとバリライトの光の中からデイヴ・ギルモアの泣きのギターが聴こえてきただけでファンとしてはもう鳥肌が立ってしまう。歴史的名作「狂気」全曲を核に構成され、音響と光の圧倒的なシャワーが降り注ぐその映像は、音楽というより何かの壮大な宗教儀式(あるいはワーグナーの巨大な楽劇か)のようだ。

Syd そう言えば今月7日には、このバンドの創立メンバーであり「狂ったダイヤモンド」と呼ばれた異端の天才シド・バレットが60歳で亡くなっているのだった。そのこともあってDVD冒頭で鳴り渡る「Shine on you crazy diamond」には改めてゾクッとしてしまう。
 ただ、ピンクフロイドが70年代のロックシーンに登場した時(私がバンドで彼らをコピーしていたのもその頃だ)既に「過去の人」だった彼が、それから30年以上をどんな気持ちで生き、そして死んだのか…。それを想像するだけで(同じ音楽人としては)身の毛がよだつ思いだけれど・・・。

 それにしても、この種の音楽の元祖であり、60年代70年代に同じように前衛的なサウンドやノイズやエレクトロニクスとメディアの融合を試みた〈前衛音楽(アヴァンギャルド)〉が、今や見る影も無く歴史の彼方に消えてしまったように見えるのは、何がどう悪かったのだろう? ・・・いや、答えは分かっているから言わないで・・・(笑)。

2006年7月24日 (月)

茨城・音探しの旅2

Display_pic01 茨城の旅2日めは筑波研究学園都市に行き〈科学の音〉探し。というより、こちらは完全にかつての科学小僧である私の趣味の世界(笑)。音はもうどうでもよくて宇宙航空研究開発機構(JAXA)内の「宇宙センター」のHIIロケットや気象衛星やソユーズをいじくりまくり、現在進行中の国際宇宙ステーション(きぼう)の制作現場をのぞかせてもらったり、宇宙線の音などを聴かせてもらったりする。

060724_16230001 続いて、日本の科学技術(物理・化学・通信・ロボット・ナノテクなどなど)の研究の要である「産業総合研究所」で最新の科学分野での成果を見学。メートル原器など古典的科学の基礎から、癒しロボット(あざらしのパロ)など実用化されている技術の展示、最新の成果のひとつで天然ガスに代わる新しいエネルギー源として注目されているガスハイドレートの研究室などを見せてもらう。

 この技術研究所にしても宇宙センターにしても(ちょっと離れたところにあって昔あこがれた巨大加速器のある高エネルギー物理学研究所にしても…)それぞれが結構広大な施設で、あらゆる最新科学技術が揃っている場所なのだから、世が世なら立派な「軍事施設」。こういうところにわくわくするのは男のコの証拠か(笑)。
 
Top ただ、昔は「何の役に立つか?」など考えずに純粋に研究するのが〈科学〉だったはずなのに、今は「こういう役に立ちます」とか「これくらいお金になります」とアピール出来なければ研究費の予算をもらえない構造になっているらしく、「日本の基礎科学分野の未来が心配」という声を改めて実感する。使っているコンピュータにしても機材にしても、いまいち最新機種っぽくないところが、私のような作曲家の目からから見てもちょっと心配だったりするし(笑)。しかし、国が科学に無尽蔵に予算を与えるとしたら、それは「軍事目的」しかないわけで、そこはちょっと怖いところだ・・・。

 ちなみに、首都圏とこの学園都市の間を走る〈つくばエクスプレス〉は、筑波と秋葉原の間を45分ほどで結んでいる。「でも、なんで秋葉原なんでしょうねー?」「電気部品を買いに行きやすいようにじゃないですか?」などとスタッフと冗談交じりに話していたのだが、いや、これは案外当たっているのかも知れないな(笑)

2006年7月23日 (日)

茨城・音探しの旅1

Kasama BSの仕事のロケハン…〈茨城の音〉探し…に水戸へ行く。最近(曲を書いてお代を貰うという)作曲家らしい仕事をとんとしていないので、出稼ぎに・・・(笑)

 まず〈土の音〉を探るべくNHK水戸のスタッフ(番組ディレクター・カメラ・音声諸氏)と共に車で笠間の芸術の森公園へ。笠間焼の陶器を見せてもらい、色々叩いて見たり、土鈴や風鈴、野外オブジェの〈陶琴〉などを鳴らしてみたりする。そもそも陶器は「割れるので叩かないください」が前提なのだから、それを片っ端から叩いて音を出そうとするのは、かなり〈危険人物〉に違いないのだが、そこはそれ、作曲家の特権ということで(笑)。

5 続いて、創作陶器で音を出す試みをされている陶芸家伊藤公象氏のアトリエを訪ね、陶片を叩いたサウンドを聴く。深海からとれた土を焼いたというピンク色の貝のような形のオブジェや、紙片をひねったような形のオブジェなどが、乾いた響きの不思議な音の世界を奏でる。

Ocarina そして、土で作った楽器の代表〈オカリナ〉を探るべく、平本孝雄氏のオカリナ工房を訪問。大小さまざまなオカリナが土から生まれ落ちる過程を見ていたら、むかしオカリナの多重録音で怪しげな作品を作ったことを思い出してしまった。音程が微妙な楽器というのは逆に、新しい不思議なサウンドを生み出す玩具でもあるわけなのだ。というわけで、黒光りのする手作りのオカリナによる素朴な土の香りの音色に酔う。

 最終的には、これらをその地ゆかりの唄と一緒に組み込んでオーケストラと一緒に演奏する〈茨城の音楽〉を創る…というのが番組の趣旨らしいのだが、そんなことが出来るのか???(笑)・・・つづく

2006年7月22日 (土)

大丈夫か?デジタル放送・・・

Tv 携帯電話のついでに…というわけではないが、テレビを買い替えた。NHKのBSでちょっと仕事をすることになったので、デジタル放送どころか衛星放送もNHK地上波もろくに映らない現状はさすがにまずい…と思い、世界蹴鞠大会が終わって叩き売り?をやっていた新機種を(「もうすぐ全部デジタル放送になる時代に、今さらBSが映るテレビって…」と電気屋のお兄さんに笑われながら)手に入れた・・・のだが…

 雨の合間を縫って屋上に専用のアンテナ2台を立ててもらったところ、BSは築30年ほどのウチの古い室内配線ではケーブルが受け付けないとかでまったく映らず、デジタル放送の方は目の前にあるマンションが壁になって半分のチャンネルが(それもNHKが!)映らない!(まあ、映るチャンネルは確かに物凄くきれいな画面なので、それはそれで悪くは無いのだけれど)

 もちろん、配線工事をするかケーブルTVにすれば問題は解決するのだが、ウチのように渋谷のNHKの真ん前の立地でこの始末。これほどリスクと出費が大きいとなると、5年先に全デジタル化した暁には都心でも(特に古い家屋や高齢者世帯で)テレビを見られなくなる世帯が続出することは火を見るより明らか。それでもアナログ放送を本当に止めるのだろうか。これは一体どういう種類の陰謀なのだろう?(笑)

2006年7月21日 (金)

昭和天皇の靖国メモ

Photo 昭和天皇の「靖国メモ」にはちょっと驚いた。

 こういう形(宮内庁長官が陛下の発言をメモしていたもの)で自分の意思が死後に顕れるのは、御本人にとって不本意だろうとは思うけれど、まさしく〈天上からの一喝〉に聞こえる。

 ウチの曽祖父も、昭和天皇の侍医(ただし幼少の頃の小児科医)をやっていたことがあったそうだから、何かその頃のメモでも残していないのだろうか?・・・と、ふと不遜な雑念が芽生える(笑)

 何はともあれ、これをどう扱うかで、今の日本の器量が試される・・・ということなのだろうな。

2006年7月19日 (水)

たぶん・・・宝の持ち腐れ

Keitai 最近、携帯電話を新しく替えた。ほとんど電話には出ない人だし、ネットやメールはPCでやるので、あまり必需品ではないのだが、今まで使っていたTu-KAがいつの間にかau KDDIに合併されたらしく、「電話番号は変わりませんから変更された方が…」と促されて契約変更の手続きをした次第。

 auショップに出向いて「電話がかかるだけの一番簡単な奴を…」と受付のお姉さんに言ったところ、「それだとお年寄りやお子さん用のかんたんケイタイになってしまいますけど…」という返事。それも何なので、「じゃあ、最新機種でデザインが一番ごつい奴を!」と言ったら出てきたのが、G-shock風デザインのG'zOneという機種。

 機能を聞くと、なんとカメラから時計からカレンダーからコンパスから電卓から辞書まで付いているうえ、ネットは見られるわ、音楽は聴けるわ、GPSで自分の今いる位置が地図上で確認出来るわ、そのうえおまけに電話までかけられる!…のだそうで(笑)・・・これは、ほとんど昔のスパイ映画に出てきた憧れの「夢の新兵器」の世界!。で、レーザー光線はどのボタンを押すと出るのかな?

2006年7月17日 (月)

祇園祭の季節

Gion_2 京都は今ごろ祇園祭。

 昨日は八坂神社で鷺踊り。
 本日はいよいよ山鉾巡行。

 この季節になると、昔、京都市から「京都ゆかりの」というテーマによるオーケストラ曲を委嘱されて書いたことを思い出す。「一角獣回路(Unicorn Circuit)」というファゴット協奏曲だ。
 なんとも奇妙なタイトルだが、これは祇園祭の山鉾の山車に描いてある麒麟(一角獣)が、京都市中を一筆書きの回路図のように巡行するところからの命名。まさしく、分かるかな?分かんないだろうな?の世界である(笑)。

Kirin

 初めて祇園祭を見て、その山鉾の巡行コースを聞いた時、御池通から四条通までを抜ける小路を「あねさん六角タコにしき」(姉小路・三条・六角・蛸薬師・錦小路)と数えるのが、実に何とも言えない不思議な響きで印象的だった。以来、年に数回は必ず京都を訪れている。

Sagi_4 とは言え、人が多いのは苦手なので、なるべく祭も行事も何もないシーズン・オフの平日に行く。祇園祭の真っ最中とか花見や紅葉の季節などとんでもない。
 じゃあ、何をしに?…と言うと、まあ、何をするわけでもなく、独りであちこちぶらぶら歩いて、夜は先斗町か木屋町あたりで飲む。それだけ。だから、何度も寄るわりには京都通とはほど遠い。

 そう言えば、今年はまだ2月に行ったきりだな。祭が終わって静かになったら、また行ってみようか。

2006年7月15日 (土)

結局、なんと言ったのか?

Head この交響曲野郎!


 ・・・(+_+;)

2006年7月14日 (金)

夏風邪をひく・・・

Coolw 東京の夏は苦手である。サッシで密閉された部屋で仕事するため日がな一日クーラーを付けざるを得ず、付けたら付けたで絶対に体調を崩す。おかげで先週からノド風邪を引いてしまって、まだ抜けない。げほごほ。

 そもそも昔は、風邪を引こうが熱を出そうが声が出なかろうが寝込もうが、死なない限り作曲は止まらなかったものだが、最近は咳一発であっさりストップする(笑)。おまけに、FMの仕事などでしゃべらなくてはならない都合上、軟弱にも「体に気をつける」なんてことを考えるようになってしまった。

 いかんいかん。健康なんかに気を使ってゲイジュツが出来るか!げほんごほん!(・・・ま、何にしろ、しばらく使い物にならないな)

2006年7月13日 (木)

耳かきお蝶

Ochou 何冊か届いた今月の新刊(吾妻ひでお「うつうつひでお日記」、鶴田謙二「日本ふるさと沈没」、カサハラテツロー「ライドバック6」etc)の中の一冊、湯浅ヒトシ「耳かきお蝶2」の〈火の華銀次〉の章に泣く。花火に命を賭けた江戸の花火師の話。まんが的タッチの絵柄はシリアスとは程遠いのだが、ツボにハマったと言うか、泣けて仕方なかった。

 玉屋の銀次は、いつ暴発するか分からない火薬の調合にがたがた震え、最愛の女房を事故で失いながらも、誰も見たことのない花火を造ろうとする。「そこまでして・・・いってぇ何になるんです?」と弟子は問い、彼は「何になる?・・・初めて花火を作った奴は、そんなことをかんげえたかな?」と震えながら答える。そして、両国橋で見たこともない花火を揚げ、彼は爆死する。

「その一瞬のために何もかも削り尽くして、
 後には形あるもの何も残らず」。

 ものを創ることの狂気は、確かに花火に似ている。


 〈追記〉・・・と、漫画に思わず過剰反応してしまったのは、「そこまでして・・・一体何になるのか?」という、さんざん言われ、そして自問した言葉のせいかも知れない。この〈決して答えのない問い〉に何と答えて生きてゆくのか?ということこそが、ものを創る人間に一生つきまとう呪縛。決して軽々しく言ってはいけない禁断の言葉でもある。

2006年7月10日 (月)

バッハと五線譜の中の暗号

Bach_code_1 Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」更新。
 今回は、〈バッハと五線譜の中の暗号〉と題して、バッハを開祖とする音楽暗号のお話。

 巷を賑わせている「堕敏値コード」に便乗するつもりはさらさらないけれど、音楽はとにかく暗号の宝庫なのだ。なにしろ、和音は「Chord」、暗号は「Code」。どちらも「コード」…だし(笑)。

2006年7月 7日 (金)

邦楽器のための小宇宙

Jpinstr 9月にCD録音を予定している邦楽作品集のために、新作2曲を作曲中。
 ひとつは笙と二十絃箏のDUO、もうひとつは尺八と二十絃箏の舞曲集。

 洋楽アンサンブルのような機能とメカニズムの世界ではなく、交響曲のような構造と誇大妄想の世界でもなく、かすかな風に揺れる星のまたたきのような、木々や葉のざわめくリズムのような小宇宙。

 頭の中では、星や風の楽を舞う透明な妖精たちの微笑む声がする。
 くすくす。

2006年7月 5日 (水)

朱鷺によせる・・・

Toki 朱鷺の数がこの5月に100羽を越えた(7月現在では98羽)という。再来年(2008年)には自然への放鳥も計画されているらしく、佐渡の空にふたたび朱鷺が舞う日が現実のものになりつつあるようだ。

 私が「朱鷺によせる哀歌」を世に問うた25年前、彼らが紛う事なく「絶滅」に瀕していたことを思うと、まさに隔世の感がある。当時は、このような日が来ようとはまったく想像も出来なかったから、飼育に関わった方々の努力には敬意を表したい。もっとも、純国産種の朱鷺は現実に絶滅しており、現在の朱鷺は中国産の種を人工飼育したもの…という点についてはちょっと複雑な思いではあるのだが。

 蛇足ながら、当時は現代音楽における「調性」も絶滅に瀕していて、協和音を使って交響曲を書ける日が来ようとはまったく想像すら出来なかった。交響曲作家など「絶滅種」だと確信していたから、あれから25年、ぬけぬけと5つも書いて生き残っている自分自身には戸惑いを隠せない。もっとも、音楽そのものの現状については、これもちょっと複雑な思いではあるのだが。

 朱鷺は空に舞い、音楽は世界にあふれ、やがて、なぜ朱鷺に「哀歌」が書かれたのか分からない時代になり、調性に危機があったことすら忘れ去られる時代になるのだろう。それが歴史の趨勢というものなのかも知れない。
 しかし、朱鷺はかつての朱鷺ではなく、音楽もかつての音楽ではない。それもまた事実だ。

2006年7月 1日 (土)

青少年とネコのための交響楽入門書

Hibiki 新書用の書き下ろし〈交響楽入門〉の第1稿ようやくまとまる。作曲家のセンセが女子高生とネコを相手に交響曲の歴史と音楽の謎について語るという…高邁にして無謀な音楽入門書。とは言っても、基本は(毎度おなじみの)ホームズ&ワトソン型のボケ&ツッコミ漫才なのだが(笑)。

 そもそもは青少年向けにCDの名盤紹介をしつつ「交響曲とは何か?」から「音楽とは何か?」までを解説する…という企画。いつものようにマンガやジョークで逃げられないので(笑)どういう語り口にしようか悩んだのだが、ワトソン役の女のコを設定したおかげで、雑談のふりをしながら結構ディープな部分にまで話を広げられたのは思わぬ収穫。もし自分に息子か娘がいたら、こういうふうに音楽について話していたのだろうなあ…と、思わずBack to the Futureしてしまう。

 順調に行けば、この秋10月あたりに出版の予定。

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