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2006年7月13日 (木)

耳かきお蝶

Ochou 何冊か届いた今月の新刊(吾妻ひでお「うつうつひでお日記」、鶴田謙二「日本ふるさと沈没」、カサハラテツロー「ライドバック6」etc)の中の一冊、湯浅ヒトシ「耳かきお蝶2」の〈火の華銀次〉の章に泣く。花火に命を賭けた江戸の花火師の話。まんが的タッチの絵柄はシリアスとは程遠いのだが、ツボにハマったと言うか、泣けて仕方なかった。

 玉屋の銀次は、いつ暴発するか分からない火薬の調合にがたがた震え、最愛の女房を事故で失いながらも、誰も見たことのない花火を造ろうとする。「そこまでして・・・いってぇ何になるんです?」と弟子は問い、彼は「何になる?・・・初めて花火を作った奴は、そんなことをかんげえたかな?」と震えながら答える。そして、両国橋で見たこともない花火を揚げ、彼は爆死する。

「その一瞬のために何もかも削り尽くして、
 後には形あるもの何も残らず」。

 ものを創ることの狂気は、確かに花火に似ている。


 〈追記〉・・・と、漫画に思わず過剰反応してしまったのは、「そこまでして・・・一体何になるのか?」という、さんざん言われ、そして自問した言葉のせいかも知れない。この〈決して答えのない問い〉に何と答えて生きてゆくのか?ということこそが、ものを創る人間に一生つきまとう呪縛。決して軽々しく言ってはいけない禁断の言葉でもある。

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