サイレント・チェロ協奏曲
解説を担当しているNHK-FMの「シンフォニー・コンサート」10月分3回を収録。その中に1曲、この番組にしては珍しく現代モノ・・・エストニアのトゥール(1959〜)という現代作曲家によるチェロ協奏曲(1996)・・・が混じっていたのだが、興味深かったのは独奏者のゲリンガス氏が電子チェロ(YAMAHAのサイレント・チェロ)を弾いて演奏していたこと。
電子チェロと言ってもエレキギターのようなものではなく、胴体の無い(透明な?)チェロそのものの形をしている。ネックや指板や駒のあたりはチェロと同じで、弓で弾くのも同じ。ただ、弦の振動をピックアップで電気信号に変え、音色を調整し残響を付加してアンプを通してスピーカーで鳴らす。ヘッドフォンやアンプを繋がない限りは音の出ない「サイレントなチェロ」というわけだ。
確かに、コンチェルトを作曲する場合、独奏楽器の音がバックのオーケストラに消されないかどうか…というのは作曲家が最も頭を痛めるポイント。私も、ギターとかファゴットとか尺八とかチェロとか…いろいろ苦労したので身につまされる(笑)。
単に楽器の前にマイクを置いてアンプを通すと、ハウリングを起こしたり後ろのオーケストラの音も拾ってしまったり、音色をコントロールできなかったりしてなかなか難しいのである。第一、当然ながら演奏家が(クラシックの音楽家はスピーカーから出て来る安っぽい音に拒否反応を示す人が多く)とても嫌がる。
それが、最初から電気増幅が前提の楽器で、かつアンプに繋いでいくらでも大きな音が出せるというなら、3管フル編成オーケストラがフォルテを鳴らしている前で単音メロディ…などという表現も出来ることになる。もちろん既にポップス系の音楽では使われているが、クラシック界でももっと普及したら面白いことが色々出来そうだ。
放送はNHK-FM10月15日(日)14:00からの予定。
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