舘野泉リサイタル in オペラシティ
今回は、5月にサントリーホールで開かれた「大地の歌」コンサートの、好評に応えてのアンコール公演。私の作品は「タピオラ幻景」の代わりに、「アイノラ抒情曲集」と「ゴーシュ舞曲集」という世界初演の新作2つ。(とは言っても、このBlogを読んでいる方はご存知のように、実はもうレコーディングも済ませているのだが・・・)
コンサート冒頭に置かれた「アイノラ」は、高音を主体にした静かで抒情的な小品が7つ。もともと「やさしい小品集」として書かれたものではあるのだが、舘野さんは時々右手を添えつつ一音一音を慈しむように弾かれる。フィンランドの優しい風がホールを吹き抜け、ふわっと出て来る「たどたどしいモーツァルト」みたいなフレーズに思わず涙が出そうになった。
そして、スクリャービン、末吉保雄、バッハ、谷川賢作とメイン・プログラムが続き、最後に置かれた「ゴーシュ」は、一転してもろにロック〜ブルース〜タンゴ〜ブギウギという4曲を並べたショー・ピース。低音のビートをずんずん響かせ、いやらしいブルース・コードやグリッサンド奏法やタンゴやブギのリズムが反則ぎりぎりまで繰り出されるのだが、それを舘野さんは、楽しくて仕方がないという感じで弾きまくる。
満場の拍手で盛り上がったところで、アンコールではカッチーニの「アヴェ・マリア」が静かに流れてクール・ダウン。これも左手用に工夫を凝らしてアレンジしたお気に入りの一曲なのだが、抒情派の大ピアニストにあんなことやこんなことまでやらせてしまえる(?)のが作曲家というお仕事の楽しいところ。さて、次は何をやっていただこうか・・・(笑)
« さよなら、サイレント・ネイビー | トップページ | モーツァルトの楽譜 »
「コンサート、放送」カテゴリの記事
- お知らせ(2022.06.25)
- 鳥と天使たちと交響曲第6番(2022.06.18)
- リハーサル立ち会い(2022.06.15)
- 鳥・天使・鳥(2022.05.27)
- 踊る・プレイアデス舞曲集(2022.05.03)
吉松先生にぴったりのウォッカを見つけましたよ、フィンランディアって言うんです。いま飲んでますが、澄み切った味わいがまさにフィンランドという感じ。え、先生もとっくに飲んでる? これは失礼しました。
投稿: t-v | 2006年12月23日 (土) 18:45