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2007年5月27日 (日)

日本戦後音楽史(上・下)

Photo_10 献呈本をいただいた「日本戦後音楽史(上・下)」(平凡社)を通読する。日本戦後音楽史研究会(代表:佐野光司、石田一志、片山杜秀、長木誠司、楢崎洋子、沼野雄司、水野みか子氏ほか)による編著で、上巻は「戦後から前衛の時代へ(1945〜1973)」、下巻は「前衛の終焉から21世紀の響きへ(1973〜2000)」、あわせて1100ページほどの大著である。

 ただし戦後〈音楽史〉とは言いながら、一般の人の考える〈音楽〉とはちょっと違ったジャンル・・・〈クラシック音楽界〉の、しかも〈現代音楽作曲界〉に焦点を当てた・・・正確には「現代音楽という視点から見た日本戦後音楽外伝」とでも呼ぶべきものであるので念のため。

 この書では戦後日本の現代音楽の潮流は、戦後〜60年代=前衛、70年代=前衛の終焉、80年代=ポスト・モダン、90年代以降=グローバル化・・・と大きく括られている。図式的に過ぎると言われればそうかも知れないが、たぶん戦後日本のマンガ史…とか、戦後日本のカップラーメン業界史…などというものを編纂しても、同じような時代の流れの説明になりそうだから、まあ、順当な歴史認識と言うべきか。

 それにしても、いかにマイナーな現代音楽界とは言え、そこにうごめく膨大な数の作曲家たちとその作品たちを一通り網羅し分類するというのは、例えれば・・・東京中のネコの名前を集めて台帳にするようなもの・・・?。さぞかし大変な作業だったに違いない。ここは、この素晴らしき労作に心から拍手を贈りたい。いや、皮肉でなく・・・。

 ただ惜しむらくは、これだけ多くの作曲家たちの夢の痕跡が文字情報として記されていながら、(ほんのごく一部の作曲家を除いて)CDなどで聴くことが出来る曲がきわめて少ないこと。

 そもそも商品価値が限りなくゼロに近い(要するに「売れない」)音楽なので、CDやコンサートですべて聴けるようにしろと言っても無茶な話。でも、作曲家本人や放送局やマニアの家に死蔵されている音源(カセットテープだっていいのだ!)をかき集めてデータ化し、(著作権などといううるさいことを言わずに)ネット上にアップロードして共有するようなことくらい出来ないものだろうか…と思わず考えてしまった。

 昨今の著作権にからむ動向からすれば絶望的な「見果てぬ夢」だが、こういう音楽通史がネットで公開され、作曲家名や曲名をクリックするとすぐさまその音源が聴けスコアが見られる…なんて、想像しただけでわくわくするのだがなあ。

 ちなみに、私が内緒で隠し持ってる現代音楽の音源(LPやオープンリールやカセットやCD)をすべてアップするだけだって、ちょっとした現代音楽資料館(非合法だが)になるのだけど・・・(おっと、思わず現代音楽オタクの本性が・・・(笑)

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コメント

本当にそうですね。完全に無料で公開するのは無理かもしれませんが、部分だけ無料でサンプルが聴けるようにして、全曲は有料の会員制サイトでダウンロードできるようになったら便利だと思います。

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