舘野泉リサイタル@紀尾井ホール
紀尾井ホールへ舘野泉さんのリサイタル「吉松隆の風景」を聴きに行く。
何度も聴き慣れている曲のはずなのだが(それもそのはず、全部自分で作った曲ばかりなのだから!)、聴くたびに色々な聴こえ方をするというのが、生身の演奏家が紡ぐコンサートの最大の魅力。特に「タピオラ幻景」は、今でも多様に変化をしつつ成長しているのがなんとも面白い。
とは言え、どの曲にももはや「自分が作った曲」という自己愛的な感覚はほとんどなく、「もうちょっと乾いた部分も欲しいな」とか「ここはキイを変えるべきだったな」とか、「あ、ここは良く出来てるじゃない」とか「おお、あざとい!」とか他人事のように聴いてしまうのは作曲の性(さが)か。
終演後、近くのレストランで舘野さん平原あゆみさんらと食事。まだ残暑(微妙な蒸し暑さ)が残る日本での演奏は、さすがの舘野さんも「やっぱりちょっと疲れた」とおっしゃる。なにしろ「9月の頭にはもう雪が降ってた」という北欧フィンランドから、今や亜熱帯と化している日本に帰ってきたわけで、それでも「これから兵庫行って、北海道行って、福岡行って…」と嬉々として語るお元気さに脱帽。
この後、日本全国をツアーで飛び回って、そのまま休む間もなくこの12月には、先日書き上げたばかりの私のコンチェルトの初演。どこからそんな元気が出てくるのだろう?「五十で隠居」を理想としてきた疲れた作曲家には、その元気が眩しくもうらやましい・・・(~..~)
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数ヶ月前テレビでこの企画を知り、番組で舘野さんが嗚咽していたのを見て、舘野さんの音楽とピアノに対する愛情と病魔との戦いのすさまじさに感動しました、さっそくコンサート情報を知り幸いにも最前列でしかも舞台左側(手が見える方)の席で演奏を聴くことができました。 第一曲目のアイノラ抒情曲集のロマンスから、吉松さんの音楽のソノール(響き)というのが紀尾井ホールを満たした、という感想です。個人的には連弾作品よりもアイノラのようにピアニスト舘野泉が一人で血を吐くようにピアノと対峙している作品に何故か感動しました。
投稿: Amicizia | 2007年9月17日 (月) 20:36