宮崎・音探しの旅3
朝、高千穂の上野(かみの)神社で神楽の朝練をしている子供たちを取材。
舞い手は、可愛い中学生の男のコばかりが7〜8人ほど。芸事は女の子の方が飲み込みが早いので、最近はどこの民俗芸能も女性なしには伝承が立ち行かないが、この神楽は女人禁制をまだ守っているとのこと。頼もしい伝統の継承者たちである。神楽三十三番のうちの「鎮守の舞」を見せてもらう。
伴奏は、2人がかりの神楽太鼓と笛1本。リズムはタンタタ・タンタタと延々と刻まれる8ビートの上にメインの打ち手が幾分ソリスティックに色合いを付け、それに笛が独特な神楽のテーマ?のバリエーションで絡む。
こういう音楽を聴くと、作曲家としては、まず数を数えて譜面に起こす作業を頭の中で行い、次に「どういう曲の構造をしているのか?」と考えてしまう。観賞はそっちのけ、というあたりが職業病。
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昼は、おなじみの観光スポット高千穂峡へ。
天気も良く紅葉の時期の週末とあってか、足の踏み場もなく観光客だらけ。おなじみの渓谷にはボートがぷかぷか浮かび、狭い道にびっしり人の群れ。
確かに、観光絵葉書などで有名な滝の場所周辺は美景だが、そのまわりは俗界そのもの。取材なので、テレビカメラを向けられて「どうですか?神話の世界は?」と訊かれるわけなのだが・・・これじゃ神秘もへったくれもあったもんじゃない(x x;)
そのあと、喧騒から逃れて高千穂神社へ。こちらは静かな佇まいでホッとする。樹齢800年の杉の木・・・なんて、なかなかいい風情だ。
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これは毎年11月から翌年2月にかけて、高千穂の各集落で行われる神事で、サルタヒコ(天狗の面)やウズメ(おかめの面)など神話の色々なキャラクターによって演じ舞われる(今風に言うなら)ダンス・パフォーマンス。
神話に基づく真面目な舞の中に、笑いあり、アクロバットもあり、時にはエッチなシーンもあり、というバラエティに富んだシーンが三十三番(33場)あって、飽きさせない(ようになっているらしい)。
しかし、問題がひとつ。
全部見ると徹夜。なにしろ14〜15時間かかるのである!!
というわけで、お客は、もてなされて食事したりお酒を飲んだり寝たりしながら、朝まで付き合う。演じられる場所は村の集会場のようなところで、外からでも見られるように窓も扉もフル・オープン。所々に囲炉裏やストーヴや篝火があるが、朝まで観るのは相当の根性がいるのは間違いない・・・
まあ、例えてみるなら・・・吹きッさらしのストーンヘンジで真冬に「ニーベルングの指輪」室内楽バージョン全4幕を徹夜で見るようなものか。
私は見事に風邪を引いてしまってダウン(+ +)。
体力のなさを思い知らされる。
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