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NHK503スタジオで、FM「オーケストラの夕べ」7月分(2本)の収録。
7月6日(日)放送分は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲(vn:樫本大進)と交響曲第5番。指揮:ダニエル・ハーディング。私がクラシック初心者の頃、最初にはまった大好きな2曲。独奏者・指揮者とも30歳前後という若さ炸裂の駿馬のような演奏に心癒される。
7月13日(日)放送分は、シューマンの交響曲第4番とブラームスの交響曲第4番。指揮:ダン・エッティンガー。共に、むかしはもっとも苦手としたドイツ・ロマン派の「内向的」交響曲だが、暗いじれったさは影を潜めた若々しく割り切りのいい演奏で、ちょっと曲のイメージが変わった。ブラームス先生などは20歳ほど若返った感じ。
夕方、青山のジャパンアーツ事務所へ出向いて、打ち合わせをいくつか。「今日はいい天気でしたね」と言われても、丸一日スタジオに入っていたので、わからないのがつらい・・・(+ +;)。
エンサイクロペディアの裏(悪魔の辞典)版にアンサイクロペディアというのがある。
全編エイプリルフールばかりの百科事典とでもいうべきものなのだが、最近見つけた個人的ヒットが、この猫トースト装置。英語版はこちら→Cat-Toast Device。
・トーストは必ずバターを塗ってある面を下にして落ちる。
・猫はどんなに高い所から落ちても必ず足を下にして着地する。
という2つの法則を利用して、
・バターを塗ったトーストを背中にくくりつけた猫を落とす。
すると、トーストはバターを塗った面を下にして落ちようとし、猫は足を下にして落ちようとするので、両者の反発力によって猫は空中で永久に回転する。
つまり、ペットの猫とパンとバターさえあれば、地球に優しい(ネコには優しくないが…)無尽蔵のエネルギー(永久機関)が手に入る!!というわけである。
…というジョーク自体はさほど目新しいものではないけれど、ちょうどスティーヴ・ライヒの作品(特にピアノ・フェーズ!)を聴いている時だったので、笑いのツボにはまってしまった。おまけに、この図解のモデルの黒猫がまたウチのネコそっくりなものだから…。
夜、NHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」のN響コンサート生放送に解説でゲスト出演。(司会:山田美也子さん)
曲目は、ラヴェル「スペイン狂詩曲」、フォーレ「ペレアスとメリザンド」、レスピーギ「ローマの松」&「ローマの祭」…と、南欧の香りあふれる4曲。特に後半は豪華絢爛大音響で、まさに南欧料理のフルコースを食べた気分。レスピーギの「お客に絶対ブラヴォーを言わせてみせるッ!」というプロ根性をしみじみ再認識したものの、「松」の次に「祭」まで続くと、ちょっとこってりし過ぎか。
指揮はザネッティ。オペラっぽい大振りはラヴェルやフォーレのデリカシーには合わない気がしたが、さすがイタリア人、レスピーギは見事にツボにはまっていた(ローマは一日して成らず)。こういう名曲が自分の街にあるというのは、本当にうらやましい。
□おまけ:今日の名言
「タバコを吸っても良いですか?」
「吸っても良いですけど、吐かないでください」
COLDPLAY(イギリスのロックバンド)のアルバムを探しにiTune Store(オンラインの音楽ショップ)を覗いたら、クラシックのコーナーがすごいことになっていた。
モーツァルトの全交響曲(ピノック指揮イギリス室内管)、ワーグナー「ニーベルングの指環」全4夜(レヴァイン指揮メトロポリタン歌劇場)、ブルックナー交響曲全9曲(ヨッフム指揮ベルリンフィルほか)が、いずれも1,500円!(ハイライトや抜粋ではなく「全曲」が…である。念のため)
これはもう、聴く側にとっては嬉しい極みだけれど、作る側や演奏する側にとっては…(なにしろ一生かかって書いた交響曲が全部で1,500円だものなあ)…かなり恐ろしい時代になったと言うべきか。
確かに未来にもクラシック音楽はあるだろうが、クラシック音楽に未来があるのか?……と言うと・・・
・・・そこから先は怖いので考えないようにしよう。
◇追記(6月18日):どうやら、これらのアルバムは常時1,500円で配信されているわけではなく、時々(客寄せの)バーゲンで店頭に並ぶ特価品らしい。これまでも、マーラーの交響曲全集(クーベリック)やシューベルトの歌曲全集(フィッシャー=ディスカウ)などが登場したとのこと。
ちなみに、登場から数日で配信終了になるので、見つけたら即ダウンロードしないと一生後悔することになる(?)。要するに「毎日しっかりstoreに来なさい」ということらしい。さすがApple、見事な戦略である(- -)¥
13日の金曜日には、いつもシェーンベルク先生の音楽を聴いて、20世紀に起きた悲劇を偲ぶ。(ちなみに、その由来はこちら)
協和音を否定したまま浮遊する不協和音は、聴きたくないけど逃げられない「現実」の響きそのもの。(普通の「音楽」は、心地よい響きで現実から遊離させてくれるゆえに「音楽」なのだけれど)。
特に、最近の社会は、背景に十二音音楽を流した方がふさわしいやりきれない話題に満ちているから、突然彼の音楽が「ベト7」に次ぐ大ヒットになる可能性だって・・・
・・・それはないか。
仕事用のメインマシンMac proのWindows環境がどうも調子悪かったので、内蔵ハードディスク(500GB)を増設して、そちらにBootCampパーティションを移し、Vista(Business)を再インストールする。
(…などと言っても、コンピュータに詳しくない方は、何のことやらさっぱり分からないでしょうが)
最初に設定した時、ろくに説明書きも読まずに作業を進めてしまったので、どこか手順が抜けていたのかも知れない。今回ちゃんと説明書と首っ引きで逐一マニュアル通りに設定したところ、何の問題もなく動くようになった。やれやれ。
これで、セカンドマシンのMacBookともども、Mac OS XでもWindows vistaでも動くバイリンガル?環境になったわけだが、その昔(Intel Mac出現以前)も、Mac内にWindowsの仮想マシンを作れる「Virtual PC」などというソフトはあった。しかし、当時のパソコンでは遅すぎて使い物にならなかった嫌な思い出があって、どうもMacでWindowsを動かすことについては懐疑的だったのだが・・・。
今回の「BootCamp」(Mac内にWindowsを組み込むソフト)と「VMware Fusion」(OSの切り換えソフト)の組み合わせは、早さも使い心地もまあまあ。(もっとも、この世界はどんどん処理スピードが速くなるので、すぐに「物足りなく」なるのかも知れないけれど)
しかし、そうなってみて改めて思うのだが、Windowsって…どうしてこんな難しくて使いにくいOSを、世界中の80%もの人間が文句も言わずに使っているのだろう?。Vistaは特にわからない。ワトソン君、そう思わないかい?
Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」更新。今回は「バロック音楽についての雑感」。
バロック音楽を聴くと心が癒されるのはどうしてでしょう?という話から始まった「雑感」だが、個人的にバロック音楽というのは意外と「とがって」「ぎざぎざ」のイメージがある。あまり「穏やか」で「癒し」っぽくない「挑発的な音楽」の気がするのだ。
そう言えば「バロック」というのは、「ロック」と(言葉の)響きが似ている。チェンバロで「ハード・バロック」とか、トリオ・ソナタで「プログレッシヴ・バロック」などというのがあったら、これはちょっと面白いんじゃなかろうか。あるいは「バロックン・ロール」とかね(~ ~;)
Macで内蔵音源として使えるオーケストラのサンプリング音源:MOTU(Mark Of The Unicorn)「Symphonic Instrument」を試してみた。
昔から目を付けていた割には導入が遅れ、そのくせ忙しくて暇がない時に限ってこういうものをいじりたくなる。悪い癖である(+ +)
現在、仕事場のMacでは、外付けのMIDI音源(MU2000)と、Mac内のQuickTime音源およびSoftシンセ、そしてFinale添付の「KONTAKT」という内蔵音源を使い分けているが、オーケストラの音としては(実際の楽器をサンプリングしているので)これがもっともハイレベル。
(ちなみに、この種のサンプリング音源には、ウィーンのオケをサンプリングしたべらぼうに高い音源シリーズもあるらしいが、値段が一ケタ上!!!)。
この音源、例えば「ストリング・セクション」だと、長音ロングトーンと短音マルカート、細かいパッセージ音型(上行、下行)、スピカート、ピチカートにトリルなどの音サンプルがそれぞれ入っていて、至れり尽くせり。フレーズによって細かく設定すれば、かなり完璧なオーケストラ・サウンドが手に入るはず。
ただ、スコアの音符は(当然ながら)長音短音入り乱れているわけで、単にMIDIチャンネルごとに楽器を振り分けるくらいでは使い物になるような音にはならない。(ロングトーンに設定すると細かく刻む音型が文字通り細切れになり、逆にマルカートに設定すると今度はロングトーンがブツ切りになる。なかなかうまくいかないのである)
というわけで、Digital Performer(演奏ソフト)などで時間をかけてオーケストラ・サウンドを作るのには最高だが、作曲&楽譜ソフトで使うには安物のソフトシンセの方が有効、という皮肉な結果に。
ここは、私にとっては、ベートヴェンにおけるハイリゲンシュタットの森のようなもの(別に遺書を書いた覚えはないが)。作曲の構想にはよくここをぐるぐる歩き回る。
こういう暗い木の枝の影から、楽想は(人がいない隙を見計らって)音もなく降りてくるのである。
・・・もちろん、降りてこない時もあるけれど(+ +;)
*
歩き疲れて仕事場に戻ると、なにやら馬鹿でかい封筒が届いていた。開けてみると、しばらく前に発作的に注文して忘れていたオペラ(リゲティ「グラン・マカブル」)のスコア。
思わず、むかし買ったツィンマーマン「兵士たち」とライマンの「リア王」のスコアと大きさ比べ(笑)
それにしても、こういうオペラの巨大フルスコアを見るたびに、しみじみと「作曲って体力だなぁ」と思い知らされる。
刺身つまみながら日本酒ちびちび飲んでいる人間には、こういう2キログラムのステーキでワインがぶ飲みしているような構造物を見ると、ちょっと気が遠くなる。
それでも、そろそろ頑張ってオーケストラ、書かねば。