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NHKでBS番組の打ち合わせ。
オーケストラと共演する予定の東儀秀樹さん(篳篥)と楽曲の構成などブレーンストーミング。
今回は、オーケストラと合唱(&児童合唱)に笙篳篥、テクノ、ブギウギ、ラップ、新内、木遣り…が合体することに・・・
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そのあと映画「ヴィヨンの妻」の編集&ダビング最終日に立ち会うため東宝スタジオへ。
(おかげで、根岸監督に「NHKから東宝に駆け付けるなんて作曲家の王道を歩んでますね〜」と笑われる(^ ^;)」
大きなスタジオでここ数日、元の映像に音楽や効果音(自然音)、セリフ、CG、音響効果などをミックスしていたものを、ひとまず通して試写。ようやく映画の最終形が見えてくる。
ただ、個人的にキレイな音楽を突っ込みたかった数カ所は、監督の意向で(音楽を入れるとリリカルになりすぎる…ということで)結局音楽なしとなり・・・音楽らしい音楽が聴けるのは最後のエンドクレジット部分だけに。
これも、最終的には何かタイアップの「歌」に差し替えられるかも知れないので、「音楽」的に何かやった実感はあまりなし。ま、これが「お仕事」というものなのだけれど・・・
なにはともあれ、映画の仕事はひとまずここまで。
←さすがにあちこちでクリスマスの飾り付けがきれい。
帰りに、パソコンのサプライ用品補充に新宿の電器屋に寄る。
クリスマス・イヴで混んでいるだろうと覚悟して行ったのだが、妙に人が少なくて拍子抜け。やはりXXX?
→こちらは、昨日届いたロック雑誌「ストレンジデイズ」No.111(2009年2月号)・特集「プログレッシヴ・ロックの40年」。
プログレとの出会いなどについて3ページほどのインタビュー記事掲載。
このところロック付いてるのか、実は「アトムハーツ」に続いて、今ひそかに某プログレ名曲のシンフォニック・アレンジを構想中。
←夕刊フジ12月25日号。こちらは、舘野泉さんとのインタビュー記事掲載。
リハビリが成功して社会復帰した人とそれを支えた人…というシリーズ企画の最終回。
クリスマスっぽい笑顔のピアニストと作曲家(^ ^)
詳しくはHPの「資料館2008」へ。
目黒区青葉台のスタジオで、映画「ヴィヨンの妻」の音楽のミキシングとトラックダウン。
先日マルチトラックでスタジオ録音した音源を、音の修正やバランス・音像・響きのニュアンスなどを考慮しつつミキシング。
それを映画用には5.1chサラウンド、サウンドトラックCD用に2chステレオにトラックダウンする。
最近はコンピュータによるデジタル処理なので、映画の映像と完全同期して音楽を「見られる」ほか、「2小節目の8分音符を気持ち遅らせて」とか、「5小節目のReの音を12小節目と取り替えて」などというリクエストも、「ほいッ!」とやってくれる。
とは言え、別録のコーラスvoice(これはサンプリング音源)を足したり、隠し味の弦のノイズ奏法を加えたりするので、簡単に終わるわけもなく・・・
結局丸2日、のべ12時間かかる。
・・・疲れた。
あとはこの音楽と、映像や台詞や現実音などを組み合わせる編集作業が来週から・・・
麻布台のスタジオで、映画「ヴィヨンの妻」の音楽収録。
6時間ほどかけて、全18曲30分ほどを録音。
編成は、弦楽アンサンブル、イングリッシュ・ホルン、ギター、ハープ、ピアノ、マリンバほか。
通常の劇場用映画では、おそらくこの1.5倍から2倍近い分量の音楽が必要になると思うのだが、根岸吉太郎監督は音楽が少ない作風。それでも、今回は多い方…なんだとか。
大々的なテーマ音楽…があるわけでもなく、映画はひたひたと寡黙に進み、最後のエンディングロールは何かタイアップの楽曲が入るかも知れない…ということで、作曲家としては労力が少なくてありがたいお仕事…(なのか?)。
ちなみに演奏者は、殺風景なスタジオの中で(人によっては金魚鉢みたいなブースに押し込められて)「M1」とか「M13」とか書いてあるだけの楽譜を弾く。
中には「森」とか「不安なワルツ」とかタイトルが付いているモノもあるのだが、どんなシーンの音楽かは知る由もない。
そこで、曲のニュアンスを説明するのに、「ここは松たか子がよよと泣いてるシーンで…」とか「ここで広末涼子が初めてちらっと顔を出すんですよね…」などと説明する。
すると、そのひと言でがらっと音が変わるのが面白い。
やっぱり、人間のやる音楽は、こうでなくては…。
というわけで、明日は、別のスタジオでミキシング&トラックダウン作業。
映画「ヴィヨンの妻」の音楽全18曲のスコアようやく仕上がる。
楽譜のデータ(Finale)をメール添付で写譜屋さん(NHKオフィス企画)に送り、スコアはPDFにして宅ファイル便でマネージャーほかに送付して、仕事は一段落。(あとは録音)
…と、最近のコンピュータ&インターネット環境での楽譜書き作業は便利きわまりないのだが、データが一瞬の油断ですべて消し飛ぶ可能性もある点だけは、けっこう怖い。
手書きの時代には、家が火事にでもならない限り「書いた楽譜が消えてしまう」ことなどあり得ない。でも、今は「保存」のし損ないやコンピュータのフリーズ、ハードディスクのクラッシュやクリックのミス一発できれいさっぱり消えてしまう。
おかげで、作業の大詰めには、とにかくバックアップ(コピー)を取ることに神経質になる。遺伝子(DNA)の気持ちが何となく分かる…と言ったら大げさか(^ ^;)。
そもそもこのブログだって、どこかで「ぴ!」と音がしてデータがサーバから消失してしまえば、この数年のすべてがきれいさっぱり消えてしまうわけだし。まさにこの世は…色即是空…
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夕方は、渋谷に出て、舘野泉さんと一緒に新聞の取材を受ける。
不屈の精神で病から蘇った人(ピアニスト)と、そのリハビリを支えた人(作曲家)…という記事なのだそう。
でも、考えてみれば、毎日指を動かし(ピアノを弾き)、歩き(演奏旅行に出かけ)、ストレスを解消する(聴衆の拍手と涙に癒される)というのは、普通の人には出来ない(音楽家だけが出来る)最高のリハビリ治療に違いない。
私の書いた音楽が、その一翼を担えたとすれば、こんなに光栄なことはない。
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そのあと師走の渋谷の町を走り抜けて、NHKホールへ駆け付け、19時からFM「ベスト・オブ・クラシック」のゲスト生出演。(司会:山田美也子さん)
曲目は、フランク:交響詩「アイオリスの人々」、ドビュッシー「夜想曲」、ホルスト:組曲「惑星」。指揮:シャルル・デュトワ、演奏:NHK交響楽団。
風(フランク)、水(ドビュッシー)、星(ホルスト)という、あつらえたような選曲。
終わって外に出ると、代々木公園の野外音楽堂あたりにロウソクの群れ。キャンドル・ナイトという催しだったそうで、そのほのかな明かりの前にしばし佇む。
Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」更新。今回と次回は、年末年始特集として2回にわたってリズムについてのお話。
作曲家などという仕事をやっていると、さすがにリズムについては色々考える。しかし、リズムは所詮「体」のもの。「頭」だけで考えていると、文字通りの「机上の空論」となることが多い。
それでも、楽譜の上のリズムは「1,2,3,4」と、どこか「数学」っぽいことも事実。
そのあたりのことを含め、最初はちょっぴり「頭」で、あとは直感で(要するに、思い付くまま)リズムについてあれこれ考えてみた。
きれいな夕焼けを背に、仕事場近くの山手通りにそそり立つ巨大タワー(首都高・中央環状線の換気塔)が、まるでモノリスのよう。
高さ45メートルというのは、15階建てビルと同じ高さ。それが道路の真ん中に突っ立っている姿はまさに異様で、この世のモノとも思えない。
これが地下を走る高速道路トンネルの排気ガス排出のための「煙突」だというのだから、不思議な時代になったものだ。
夕焼けがバックだと、東京という都市の墓標にみえてくる。
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帰り際、いつものように門の前のゴジラがお出迎え。
でも、暗いと怖いよ・・・・きみ。