エルガーの時代
夜、NHK-FM「ベスト・オブ・クラシック」のN響コンサート生放送に解説でゲスト出演。(司会:山田美也子さん)
曲目は、エルガー:チェロ協奏曲(vc:ロバート・コーエン)、交響曲第2番変ホ長調。演奏は、尾高忠明指揮NHK交響楽団。
エルガーの時代(1900〜1910年代。日本では明治が大正に切り替わる頃)は、シャーロック・ホームズがロンドンの街を闊歩し、夏目漱石や山田耕筰がロンドンやベルリンで研鑽を積んでいた時代(私の曾祖父も森鴎外に次いでこの頃ドイツ留学していたそうだ)。こうして4人の髭を並べただけでも、なんだか不思議な懐かしさを感じてしまう…のは歳のせいか。
エルガーの交響曲はイギリス人以外で誉める人は滅多にいないし、私も(第1番はともかく、この第2番については)敢えて名曲だと主張する気はない。
でも、特に第2楽章とか、終曲の遠い目をした終わり方とか…その「後ろ向き」でどこか「心を殺している」心情が、実に心に染みていいのだなあ。(つまるところ、頑固で尊大なのに繊細なロマンティストなのだ。明治の男は)。
ちなみに、この曲はマーラーの第9番と同じ年の作曲で、まるで2人の作曲家が共振しているかのような内容。ただ、芝居がかった演出効果の点でマーラーに一日の長あり…か。
世の中には、悲しいとき臆面もなく涙を流して泣ける人と、どんなに悲しくても涙を流さずこらえてしまう人がいるように、ぬけぬけと泣ける交響曲と、それでも泣かない交響曲があるのである・・・
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ラジオ聴きました!
先生のトーク、いいですね。
聴きやすくて、内容に深みがあって、すごく好きです。
ラジオとは関係ないのですが、ピアノ・フォリオ ・・・消えたプレイアードによせて
練習しています。美しい曲ですよね!
以前1000円のユニコーン・サーキットの入ったCDを買って、先生のファンになりました。
交響曲2番の第3楽章がとても好きです。
これからも応援しています。
投稿: 水谷光伸 | 2009年5月17日 (日) 02:44