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2010年4月17日 (土)

ナチズムと原爆と現代音楽

1q84_2 まだ未読で恐縮なのだが、巷で話題の村上春樹「1Q84」(Book3)に、「世界はナチズムと原爆と現代音楽を通過しつつも、なんとか生き延びてきた」というセリフがあるそうで、「あれって原典は吉松さんですか?」と聞かれてしまった。

 さて、どういう文脈でのセリフか分からないのでコメントは難しいが、確かに「二十世紀には、最初は未来への希望と夢に燃えて産み落とされながら、結果的に悪夢にしかならなかったものが幾つかある」という脈絡の中で、ソヴィエト共産主義やナチズムそして原子力(原爆)と並んで「現代(無調)音楽」を挙げた現代音楽撲滅論を20年以上前からあちこち書き散らしてきたのは私です。

 もちろん「現代音楽にそんな破壊力があるわけないじゃん」とツッコまれるためのボケを前提とした挑発アジ文で、そのあたりは「巨人、大鵬、卵焼き」(ちょっと例が古いが)とか「地震、カミナリ、火事、オヤジ」などと同じ。それなのに、中には真面目に「卵焼きはスポーツではない」とか「オヤジは災害ではない」(ごもっとも!)というような反論をしてくださる…まんまと挑発に乗ってくれた…もとい、真っ正直な若い方もいて、なんだか申し訳なく思っているところも少々。
 
 ツッコむとしたらむしろ「(原爆やナチズムと比べるほど)現代音楽を過大評価している」という点であって、逆にその点を突いて「実は吉松センセは〈現代音楽振興派〉なんでしょ!」という鋭い指摘をしてくる人の方が、この「人の悪い世界」で生き延びることが出来そう。ほとぼりが冷めたら読んでみようか「1Q84」。
 

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コメント

村上春樹といえば「クラシックの現代曲はどうしてみんな恐怖映画のサントラみたいなんだろう」という名言もありますね。「現代音楽にそんな破壊力があるわけないじゃん」という突っ込みについて言えば、それはもちろん音楽だから民族を絶滅の危機に立たせたり遺伝子レベルで人体を破壊したりする力はありませんが、伝統や価値観に対する破壊力という点ではナチズムや核兵器に匹敵する影響があったのではないでしょうか。

これは何というか、その。。。
「私は飢餓と貧困とダイエットを通過しつつも
 何とか生き延びてきた」
というのと同じで
にやりと笑うところなんじゃないでしょうか。

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