暗い桜、東からの挽歌
震災のため録音が延期になった二十絃作品集CDのリハーサルのため、吉村七重さんの練習室へ。
今回録音予定の新曲「夢詠み」は、もちろん震災前(去年の秋)に書き下ろしたものなのだが、吉村七重さんは「なんだか震災の追悼の音楽みたいね」とぽつり。
ちょうど、震災の直前に福島県いわき市での学校訪問コンサートに行った話を聞き、(その際の女子学生たちの手紙なども見せてもらい)心中穏やかならず。
こちらも、今月下旬に、南相馬市の文化会館(ゆめはっと)における舘野泉さんのリサイタルで、拙作「優しき玩具たち」の再演が予定されていたので、福島の動向は気にかかる。(ここは、「アイノラ抒情曲集」のレコーディングを行った場所。ちなみに、ホール自体は無事で、震災直後から被災した方々の避難所になっているとのこと)。ふたたび音楽に満たされる日が一日も早く訪れるよう祈るばかり。
先日は、アメリカのラジオ局から、震災がらみで日本の音楽を流すことになったとかで「朱鷺によせる哀歌」と「交響曲第2番:地球にて」への問い合わせが来た。音楽もだが、「哀歌」と交響曲第1楽章の「挽歌(Dirge)…東からの」というタイトルが引っ掛かったらしい。
確かに、楽想は「東(アジア)から聞こえてくる追悼歌」なのだが、そういう脈絡で聴かれるときが来ようとは・・・
昨夜(7日23時)も大きな余震があり、まだ今回の震災が(原発の件も含めて)進行中であることを改めて思う。
東京の桜は満開になったのに、何となく空が暗く、風も強いため、早くも散り始めの気配。不思議な空気に満ちた春だ。
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