歯車
作曲……というのは、頭の中で「歯車」を組み合わせ続けるような行為だ。
ひとつの歯車が回転している所に、次の歯車をかみ合わせる。そして、その歯車をまた次の歯車とかみ合わせる。
いくつもの歯車がうまくかみ合って、メカニズムがなめらかに動き出した時、ちょっぴり「何かを達成した」気分になれる。(そう言えば、かの大バッハもそんなことを言っていた気がする)
でも、それはそれだけのことであって、そこにどうして「悲しみ」とか「喜び」といった情緒が混じるのか、実を言うと未だによく分からない。
分からないまま歯車は、今日も悲しみと喜びを放射し続ける。
考えてみると、実に不思議なことだが、そのことについて深く考えてはいけない。
我に返ったら、おしまいだからだ。