砂の器
録画しておいた松本清張スペシャル「砂の器」前後編(テレビ朝日)を観る。
クラシック音楽の作曲家が容疑者という珍しいミステリーだが、原作では確か前衛時代の電子音楽の作曲家。でも、流石にそれでは感動する文芸ドラマにしにくいのか、映画(1974年。監督:野村芳太郎。菅野光亮氏によるピアノ協奏曲仕立ての「宿命」が圧倒的な印象を残した)以来、ロマンチックな作風のオーケストラ曲を書く作曲家が出て来る感動大作というのが伝統になりつつあるようだ。
しかし、そもそも少年時代に父親と放浪していて音楽の素養ゼロの少年が、その後20年足らずで「(ピアノも弾き指揮もする)世界的新進作曲家」になるのはまずあり得ない。それが戦後の(一般人にはわけの分からない)前衛音楽の世界では可能なのだ…というのが松本清張氏が原作に込めた皮肉?(モデルは黛敏郎氏らしい)。さらに音楽を使った驚天動地の殺人トリックも登場するのだが・・・
それにしても、世間的に一番わかりやすい「クラシック音楽」の曲の理想像というのはラフマニノフあたりなのだなあと再認識。さらに、作曲家像にしても、ピアノ弾いて指揮もして、音楽はとことんロマンチックで、 良い服着て、ワイン飲んで、豪華邸宅に住んで、 部屋にはグランドピアノがあって、金持ちの娘と結婚していて、シルクのパジャマ着てベッドに寝てて・・・
あの世の作曲家たちからの声が聞こえるようだ。
・・・「そんな奴ぁおらん!」
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