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世間はそろそろ仕事納め。
しかし、世の中には、この年末年始のお休み期間こそ仕事をやらなければならない人はたくさんいるわけで・・・
作曲とか原稿の仕事もそのひとつ。毎年必ず「じゃ、〆切は年明けでお願いしますッ」という仕事がふたつみっつ。
というわけで、なぜか〈理系のための音楽講座〉とか〈大作曲家たちの履歴書〉とか〈大河ドラマ音楽裏話〉というような原稿をもそもそ執筆中。
夜、音楽愛ネコ党(?)の忘年会。
最近のネコは、家の中で飼われて外には一歩も出ず、キャットフード以外は食べず(ネコまんまなど見たこともなく)、当然ながらネズミを捕ることもお魚くわえて逃げることもなく、「吾輩」の世代から見ると超「新人類」…もとい、超「新ネコ類」という感じ。
彼らにアンケートを取れたら面白いだろうなと夢想する。
ちなみに、ウチのネコは外歩きはするので「旧・新ネコ類」。
大河ドラマの音楽にからんだ取材を受けに虎ノ門の日本コロムビア(今回のサントラ盤の発売元)に出向く。
当然ながら主人公の清盛についても聞かれるのだが、ここ一年ですっかり「平家びいき」になっていて、話していて自分で苦笑してしまう。
むかしは、義経の奇襲戦法こそが(敵の虚を突く)「カッコいい」戦法だと思っていたが、逆から見ればそれはスポーツマンシップにもとる「卑怯」な戦法なんじゃないか…と思えてくるわけで…(^_^;)
でも、来年一年で、たぶん日本中がそうなるような気がする。
サントラ盤は来年2月1日の発売に向けて現在鋭意制作中。
ちなみに中のブックレットは(平家の旗印の「赤」にちなんでか)・・・真っ赤・・・になるらしい・(・_・)
思わず、LP時代に出たビートルズの「サージェント・ペパーズ」の裏ジャケットを思い出してしまった。
真っ赤な処に小さい文字でびっしり歌詞が印刷されていて、あんまり見つめていると(色の残効で)まわりが緑色に見えてくるという凄いインパクト。
ま、かれこれ40年以上前の話になるのだけれど・・・
ピアノ作品集CD〈ヴィネット〉のジャケットまわり(表記や解説など)の最終チェック。
タイトルの英語訳に「複数形のs」を付けるかどうか「a」を入れるかどうか、というような細部に悩む。発売はCamerata Tokyoより来年1月25日の予定。
そのあと大河ドラマ「紀行」の音楽の・・・左手ピアノソロ版・ヴァイオリンと左手ピアノによるデュオ版・ヴァイオリンと弦楽アンサンブル版の総譜を作成。しかるべき処へ送付。
総譜を送付・・・・(=_=)
午後、監修をしているクラシック本「大作曲家入門」(仮題)の打ち合わせ。最後に残った「大作曲家のこの一曲!」というお題に悩む。
ベートーヴェンなら「運命」、ドヴォルザークなら「新世界」でいいとして、モーツァルトやバッハの「この一曲!」って何???
1月8日(日)は、エルガー「威風堂々」、吉松隆:マリンバ協奏曲「バードリズミクス」(mrb:三村奈々恵)、レスピーギ「リュートのための古風な舞曲とアリア」,交響詩「ローマの松」。藤岡幸夫指揮東京フィル。
1月15日(日)は、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番ト長調(p:中村紘子)、交響曲第3番「英雄」。三ツ橋敬子指揮東京フィル。
8日は大河ドラマの初回放送とぶつかり、しかも取り上げるのが自分の曲…という究極のニアミス。マリンバ協奏曲がフィナーレに差し掛かった頃、総合テレビで大河ドラマが始まり、そのあと、FMから声が流れてTVから音楽が流れる…という〈一人ステレオ効果〉?が聴けます。(v_v)
収録曲は…
「夢詠み」…二十絃箏ソロ(全5曲)
「昴(すばる)の舞」…箏デュオ(全9曲)
「水幻譜」…尺八と箏(全5曲)
「夢返し」…二十絃箏ソロ(全2曲)
吉村七重さんとのコラボによる二十絃箏のアルバムとしては「すばるの七ツ」に次ぐ2枚目。当初3月末に録音される予定だったのだが、3.11の大震災で延期となり、5月に仕切り直して録音。いつ余震があるか計画停電になるかと緊迫した状況で収録された思い出の一枚である。
すべて震災前に書かれた曲だが、不思議なことに星と同時に「水」によせるイメージが多く、夢のような儚い響きの向こうに「鎮魂」の声が聞こえる気がする。
ちなみに「夢詠み」というタイトルは、大河ドラマ「平清盛」で平安時代に思いを馳せていたときに見つけたことば。単に字を「読む」のではなく、節を付けて歌うように「詠む」小さな夢の物語。冒頭「壱ノ夢」のメロディはお気に入りで、大河ドラマ紀行の音楽にもエコーする。
Camerata Tokyoより12月20日発売予定(CMCD-28246)。
大河ドラマ「平清盛」第一話(1月8日放送予定の74分拡大版)の試写用映像を見せてもらった。
1960年代から50年間見ている「大河ドラマ」ファンとしてまず驚くのは、映像のクオリティの高さ。独特の空気感というのか、今までのテレビドラマとも映画とも違うリアルな世界の質感がきわめて印象的だ。
ちなみに、音楽は、各シーンごとにその音楽を書く…というやり方ではなく、様々な状況を想定した音楽のパレット(素材集)を総合的に作り、それを音響(選曲)の専門家が配置してゆく…というやり方で制作。
なので、音楽担当なのに、どこにどんな音楽が付いているかは完成版を見るまで分からない(笑)。でも、今回試写で見て「なるほど、ここでこう来るか」と良い意味で裏切られる感じがとても心地良かった。これは作曲家だけが味わえる至福の境地。
まだ主なる登場人物がほとんど登場していない第1話でこのテンション。この勢いで1年行くのかと思うと(自分が音楽を担当していることも忘れて)かなりのわくわく感に襲われる。
Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」12月号更新。
今回は、ドラマの悪役に焦点を当てた「オペラの悪役考」。
昔からオペラを見ていても、主人公の能天気なテノールより、敵役や悪役あるいは損な役をやっている助演男優の方が気になって仕方がない。
基本的に「主役」というのに感情移入できない性分というか、敵役を倒してヒロインをゲットする…などというおめでたいキャラクターに興味がないというか・・・
男の意気地は「助演」にあり。「悪役」もまた良き哉。
本日発売のSound Designer 1月号〈My Private Studio File〉に仕事部屋の紹介記事掲載中。
ミュージシャンのスタジオを紹介する連載のシリーズで、使っている機材から部屋のレイアウト、小道具から机に椅子まで詳細なデータ付き。
考えてみれば、かれこれ30年以上この・・・三畳一間のスペースに机とピアノとパソコンをぐるりと囲んだコックピット型・・・という配置で仕事をしているわけで、ここは、言わば右脳・左脳・電脳が揃った自分の「頭の中身」のようなもの。
こだわっているような、単なる慣れのような・・・微妙な世界ではあるのだが・・・。
*
午後、来年2月のコンサートの打合せ。
高崎(群馬県)で行われる大河ドラマの音楽特集のコンサートで、「平清盛」の音楽も生での初披露。演奏は、坂本和彦指揮群馬交響楽団、ピアノ:舘野泉さん。
はがきで申し込む入場無料の企画だが、玉木宏さん(「平清盛」の源義朝役)がゲスト出演なので、倍率高そう。
カメラータトウキョウから「今度こんなCDを出すんですが聴いてみてください」と送ってこられたCDサンプルを聴いて、ちょっと感動したので紹介する。
中世宗教曲を思わせるジャケット、《クレド嬰ヘ短調》《聖霊賛歌》《クリスマス・キャロル》という古風なタイトル。どこから見ても現代曲には思えないが、作曲者はミロッシュ・ボク(Miloš Bok)という現代チェコの作曲家。1968年生まれというから、まだ40代初めの現役作曲家だ。
しかし、その音楽は極めてクラシカルで、めくるめくようなハーモニーの美しさに満ち、どこまでも真摯で正攻法。敢えて例えればブルックナーのような圧倒的な協和音によるサウンドが、宇宙を共振させるようにぐいぐいと鳴り響く。時々打ち込まれる鐘(Tubular Bells)の響きも印象的だ。
聴いていて、最近「交響曲第1番(HIROSHIMA)」で話題になった佐村河内守氏(1963〜)の音楽を思い出していた。
この作曲者ボクも、独学で音楽を学び、調性を前面に押し出した作風のため現代音楽の時代のチェコで異端視されながら、聴衆からは圧倒的な支持を得て、現在もキリスト教的な「信仰告白」や「救済」をテーマにダイナミックで巨大な音楽を書き続けている。
お二人とも、現代音楽の嫌なところは(それこそイヤ!と言うほど)存分に味わっただろうに、私のようにグレもせず、たくましく育ち素晴らしい作品を生み出していることは嬉しい限り。
こういう音楽を聴くと、神様を信じたくなる・・・
・・・ほんのちょっぴりだけれど
★追記:このCDは、Camerata Tokyoより12月25日発売予定だそうです。
大河ドラマのテーマ曲というのは、(今回初めて知ったのだが)ピアノソロ版や吹奏楽版などなど色々な編成のアレンジ楽譜の需要があるそうで、放送する前から様々なアレンジ合戦が既に進行中らしい。
しかし、今回のテーマ曲は・・・アレンジすることなんて微塵も想定していないフルオーケストラ全開のギュウ詰めスコアで・・・すみません、作曲した私もピアノでなんかとても弾けません。
アレンジを押しつけられ「こんな曲書きやがって!」とワラ人形に釘を打ち込みながら作業するアレンジャーたちの怖い顔が目に浮かぶ。m(__)m
もうひとつのテーマ曲・・・番組最後の「紀行」の方の音楽は、ピアノ:舘野泉さん、ヴァイオリン:木嶋真優さんとストリングスによる1分半の静かなメロディ。
こちらはなんとか弾けそう…ということで、ピアノ・ソロ版、ヴァイオリンとピアノのデュオ版、ヴァイオリン・ソロと弦楽オーケストラ版などのアレンジ譜を(罪滅ぼしに)作成中。
実は、当初、邦楽器での音楽を想定していて、その原形は、吉村七重さんとのコラボによる私の邦楽作品集〈夢詠み〉に収録。
こちらは、現在ジャケットまわりなど校正中で、Camerata Tokyoより12月20日頃発売予定。
以上、大河にからんだ小ネタでした。
楽譜作成ソフト「Finale」(MakeMusic)の日本での代理店が、イーフロンティアからエムアイセブンジャパンに変わった模様。
発表は昨日(11月30日)で、12月15日からはFinale2011の販売&サポートを開始、Finale2012(英語版は既に発売中)の日本語版(2012年2月発売予定)はこちらから発売されるようだ。
ちなみに、ユーザー登録データは自動的に引き継がれ、移管したくない人のみ(12月20日までに)申請する必要ありとのこと。
なるほど、毎年今頃必ずヴァージョンアップの通知が来るのに、今年に限って遅れていたのは、そうことでしたか。
それにしても、その前はメガフュージョンだったかカメオインタラクティブだったか…、愛用者が安定しているはずの定番ソフトなのに、取り扱い会社が安定しないのはなぜ?
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