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今回の大河ドラマ、動物たちの登場がすごく気になる。
もちろん話の性格上「馬」があちこちに出て来るのは当然として、そのほかにも最初のエピソードの「鹿」や「犬」、街角や庭にウロチョロしている「ニワトリ」などがなかなか良い味を出している。
そして、今回(第4回)は、待賢門院が飼っている「黒ネコ」が登場。次回(第5回)は「三毛ネコ」が清盛と義朝とからんでなかなかの役者ぶりを発揮し、第6回の海賊船のシーンでは、船内に飼われている「ヤギ」が…と、毎回要所要所に動物が絡んでくるので、動物好きにはたまらないかと。
台本には特に「動物担当」のスタッフは明記されていないが、色々楽しそう…もとい…ご苦労がありそうだ。今後は、ドラマの背後の名優たちにもご注目を…(^_^;
大河ドラマの劇中で歌われる新しい「今様」と、4月以降に使われる新しい「紀行」の音楽の作曲。
登場人物の一人「後白河法皇」(松田翔太さん)は、あの「梁塵秘抄」を編纂したほどの今様(当時の流行歌)好き。一日中とにかく声が枯れるまで歌い続け、御殿に人を集め船を浮かべて丸ひと月以上ぶっ続けで歌い明かしたこともあったとか。現代で言うなら〈超〉の付くカラオケマニア?である。
今回作ったのは、女性の恨みと呪詛にまみれたちょっと怖い歌…。それをのどかな調子で歌うと、不思議なアンバランス感があって……あまり歌詞に深入りするのは…怖い気が……。
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余談ながら、細川貂々さんの「7年目のツレがうつになりまして」(幻冬舎)を読んでいたら、2年前の対談の時の〈絵→〉が。
何だか凄く〈いい人そう〉に描かれていて恐縮至極。
昨年出た本なのに、気付くのがちょっと遅くなりました。(^_^;
大河ドラマがらみで取材3つ。月刊ショパン、ストレンジデイズ、月刊ピアノ。
終わってから、現在進行中の監修本(クラシック大作曲家入門)の打ち合わせ。
何かと話題の今回の大河ドラマ、音楽の方も…タルカスがらみ、初音ミクがらみ、今様がらみ…と、妙な方向で何かと話題・・(^_^;
その評判の良し悪しは置いといて、どんなものでも賛否両論入り交じるのが健全の証。特に新しい試みに関しては、風当たりが強い方が…面白い。
それを追い風にして「愛すべき阿呆たち」が新しいものを作ってゆく。
それが文化というものサ。
追記:取材の帰りにコロムビアより「平清盛」サントラの完成盤をもらう。
全体が赤と黒仕立てで、題字が箔っぽく光る不思議な仕上がり。
こちらは2月1日発売予定。
6つのヴィネット op.105(2008/11)
4つのロマンス〜ヴィヨンの妻より(2008)
青い神話(全5曲/1970)
タピオラ幻景(全5曲/2004)op.92
2つのアヴェマリア(カッチーニ、シューベルト)
河村さんは、関西在住のピアニスト。最初にお会いして「芦屋に住んでます。吉松作品を弾くのがライフワークです」と聞いた時は、芦屋の大金持ちのお嬢様ピアニストかと思ったのだが(^_^)、普通に子育て中のママさんピアニスト。
明るい性格と情熱とで、いつの間にか前作「アトムハーツクラブ」に続いて、とうとうソロアルバムまで出してしまった。「元始、女性は太陽であった」を地でゆく人である。
タイトル曲の「ヴィネット」は、彼女のリサイタルのために書き下ろした全6曲の性格的前奏曲集。浮遊性アンダンテ・時のロマンス・鳥のカプリチオ・水晶のアニマ・午後のバガテル・指向性アレグロ…という「?」なタイトルが付いている。
続く「4つのロマンス」は、映画「ヴィヨンの妻」の音楽から4曲を選んでピアノ用に再編したもの。そして「青い神話」は17歳の頃に書いた全5曲からなるピアノ曲集。最近の曲と並べてもほぼ作風に変化がないのが怖い…。
発売は1月25日。カメラータトウキョウ CMCD-28247。
楽譜も3月初旬、音楽之友社より出版の予定。
大河ドラマ関連で取材を6つほど受ける。ピアノスタイル、CDジャーナル、intoxicate、共同通信、読売新聞、男の隠れ家。午前中から夜まで連続6時間・・・(v_v)
今回の大河ドラマの音楽に関して…という質問事項は同じなのだが、聞き手によって,話が音楽人生の話になったり、文化人類学的な話になったり、ドラマ制作の裏話になったり、プログレ談義になったり、色々な話が飛び交ってなかなか楽しかった。
ものを作る人間(作家や作曲家)というのは・・・(偉そうに言えば)天空からの啓示を受ける聖なる祭司…だが、(冷静に見れば)何も考えずにタマゴ産みまくって死ぬだけの阿呆なニワトリ…でもある。
命を賭ける覚悟がなければ出来ないが、一方で、所詮酔狂な道楽にすぎないという割り切りがなければ生きて行けない。
真実の姿は?と聞かれても、そんなことは当人にも分からない。だって阿呆なニワトリなンだから・・・(^。^)
Q:今様を敢えて3拍子にしたのは何か理由がありますか?
A:2拍子系というのは(私見ですが)「1・2.1・2」という「行軍」や「揃える」ことを強いられるリズムです。
一方、3拍子というのは「1・2・3」のステップで一回転する「円運動」のリズムで、当然、戦闘や統一行動には不向き。つまり、ある意味「自由」と「平和」を象徴する庶民の側のリズムと言えます。
そこで、2拍子系の(争いあう)「平家」「源氏」「朝廷」のモチーフに対して、争いのない(子供が遊ぶような)リズムとして3拍子系を選択しました。
Q:タルカスのような5拍子はまさか平安時代にはありませんよね?
A:雅楽には「八多羅(やたら)拍子」というのがあって、これは2拍子と3拍子を交互に奏します。ですので、2+3=5拍子の「平安プログレ」もありえなくはなかったということになります。
しかし、こういう変拍子は難しくて演奏しにくかったようで、「めったやたら」とか「やたらと難しい」という言葉の語源になっています。
Q:劇中の「今様」(遊びをせんとや)は西洋音階で歌われているように聞こえますが?
A:あれはもちろん今回のドラマの世界観に合わせて創作された歌ですが、笙の合竹(和音)を元にしており、音階としては雅楽ではもっとも一般的な旋法である「平調」です。ただし一音だけ今様(モダン)に変(♭)を加えた「角調」で、西洋音楽ではエオリア旋法にあたります。
清盛の時代は、バッハが生まれる500年以上も前なので、そもそも西洋音階も日本音階もまだありません。当時の日本は大陸(中国・韓国・東南アジア・インド)から様々な音楽が輸入され、多種多様な旋法(音階)が混在していたはずです。その中から日本人好みの音調のものだけが生き残り、現在私たちが考える(ちょっと哀感のある短調系で四七抜きの)「日本音階」となったわけですが、それはそれこそ500年後、おそらく江戸時代以降のことと思われます。
そして、その哀感(もののあわれ)の元には「平家物語」が大きく関わっていることを思うと、清盛と平家の運命は、「日本の音楽」にも大きな変化をもたらしたということになります。
Q:テーマ曲の最後に鳴る鐘(チューブラベル)の音は「祇園精舎の鐘の音」を意識したのですか?
A:平家物語もそうですが、東洋には「世界は〈太鼓〉の音で始まり、〈鐘〉の音で終わる」という思想があるそうで、それに基づいたものです。冒頭の「遊びをせんとや」のメロディのあと《太鼓》の音とともに清盛の生涯(戦い)が始まり、最後に《鐘》が鳴ってすべてが終わります。
これは(正確な原典は分かりませんが)、古代中国の兵法での「合戦は太鼓の音(押し太鼓)で始まり、鐘の音(引き鐘)で終わる」という作法から来た東洋独特の世界観のようです。
NHK404スタジオでFMシンフォニーコンサート2月分前半2本の収録。
2月5日(日)放送分は、チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲(vn:前橋汀子)、ショスタコーヴィチ:交響曲第5番。川瀬賢太郎指揮東京フィル。
2月12日(日)放送分は、モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番(p:小曽根真。アンコールが「ワルツ・フォー・デビー」!)、ブラームス:交響曲第1番。大植英次指揮東京フィル。
この番組、裏番組が…自分が音楽を担当している大河ドラマ…という奇妙なシチュエーション。19:20から21:00までの番組なので、20:00から20:45まではどうしても「FMから声・TVから音楽」という具合に重なってしまうのだ。
この滅多にない状況を何かのアリバイトリックに使えないものだろうか?
例えば、その重なっている時間に殺人を犯して・・・
だめですか。そうですね・・・(v_v)
近くの公園を散策しながら「宇宙人に音楽は分かるか?/ロボットに音楽を教えることが出来るか?」という妙なテーマの本についての構想を練る。
先日、その出版打合せで、(そういう話に乗ってくれそうな)理系の作曲家として別宮貞雄さんの名前が出たのだが、その翌日訃報を聞く。享年89。
別宮さんは、東京大学理学部を卒業してパリ音楽院で学んだ理系&理論派の作曲家。しかし、戦後の無調や前衛の「一見理系で理論っぽい音楽」を批判して、「調性」の美しさやロマン的表現を固守した(「現代音楽撲滅運動」のパイオニアと言うべき)大先輩である。
歯に衣着せぬ論客として恐れられる一方、現代音楽協会の委員長を務めるなど、後輩作曲家たちの面倒見もよく、私も、デビュー作「朱鷺によせる哀歌」を世に出すにあたっては大きなフォローをいただいた。
先日は、林光さん(大河ドラマ「国盗り物語」「花神」「山河燃ゆ」も担当された大先輩)の訃報も聞き、作曲家の老後について悶々と思いを馳せていたところへ、ベートーヴェン晩年の手紙が見つかったというニュース・・・
第9交響曲や荘厳ミサ曲を書いている(絶頂期のはずの)52歳頃に書いた手紙なのだが、中身は、お金がなくて大変であること、作品が売れないので買い手を見つけて欲しいこと、目が悪くなり病気がちであることなど窮状を訴えるものだそうで・・・
・・なんだか泣けてきてしまった。
Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」1月号更新。
今回は、新春特集《大河ドラマ「平清盛」音楽制作メモ》。
Q&Aコーナー2
・今様(遊びをせんとや)は吉松さんが作曲したものですか?
>はい。
・タルカスが流れるのは予告篇だけですか?
>「挿入曲」(イメージソング)なので、毎回ドラマのあちこちで流れます。
・平清盛って、略すとタモリですよね。
>ホントだ・・・(^_^;
人は死んでも「魂」はいつまでも心の中に生きている…というような文学的な言い方は好きではないが、考えてみれば、端末のPCが壊れてもネットの中に生まれた「データ」はいつまでも残っている…というのと同じと言えば同じ。
ただし「千の風になって…」というと詩的だが、「ネットのデータになって…」では即物的すぎて歌にならないけれど…(笑)。
でも、ネットやコンピュータの世界というのは意外と「霊的」な世界なのかも知れない、と最近思うようになった。
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大河ドラマの仕事で中断していた「理系のための音楽講座(仮)」本の構想を、この正月からぼそぼそ再開する。
ひとつの視点は・・・銀河の果ての宇宙生命が(例えば)ベートーヴェンの第9のレコード1枚を手に入れたとして、その音のデータだけから「音楽」というもの、ひいては「地球人」というものをどこまで解析できるか?という推理実験。
もうひとつは、逆に、コンピュータの中に人間に似た疑似生命体を発生させたとして、それが聴覚を得て心を持ち、さらにリズムやメロディを発見して音楽を文化として高めてゆき、最後に「そのうちの一個体」が合唱付きの壮大な交響曲を作曲するに至るまでにはどういう過程を経るか?という思考実験。
ま、これは音楽書にするよりSF小説にするほうが早いかも知れないけれど・・・
Rolandの会員誌「RET'S PRESS」1.2月合併号の表紙になる・・・(O_O)
音楽人 Interview というページで、大河ドラマの音楽のこと、独学野良犬主義のこと、プレイアデス舞曲集のことなど、インタビュー記事も少し。
(ただし、会員向けの雑誌なので一般に販売はされていないとのこと)
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昨日(3日)放送のNHK「50ボイス」大河ドラマ平清盛特集にちらっと出演。
番組(の音楽)についてひと言・・・と聞かれたので、
「すみません。うっかり本気で書いてしまいました(笑)」
と答えたところ、
「それ、いいですね〜。いただきましたッ」
と収録時はいたく好評だったのだが、
その部分は放送ではカット・・(T_T)
そりゃ、そうだわな。