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2012年9月 7日 (金)

別冊プログレ

Kadokawapr 別冊カドカワ〈総力特集プログレッシヴロック〉にインタビュー記事掲載。
 プログレッシヴロックが日本人に愛される理由・・・という視点でタルカスや雅楽や平清盛の音楽について語る。(永野護、荒井英治、錦織健、宮川彬良氏らのインタビュー記事のほか、「なぜ日本人はプログレが好きなのか?」の座談会などもあり)

 現在、日本は(オケ版タルカスのせいも少しあるのか)プログレのリバイバルで湧いている(らしい)。でも、2年前、私がオーケストラ版タルカスを発表するコンサート(2010年3月)を企画した時は、初動でチケットが100枚!しか売れず、3年で3回やるシリーズの処が2回以降は消し飛んでしまったほど。プログレ熱など微塵もなかった。

 クラシック音楽界はもちろん反応ゼロ&完全無視だったし、身近な関係者も「タスカスって何?」「それをオーケストラでやるのにどういう意味があるんですか?」というレベルで理解者は皆無。本当は3回シリーズの最後の回に大トリでやるつもりだったのだが(その時は…ピンクフロイドの「原子心母」、イエスの「シベリアン・カートゥル」、アンコールに「ナット・ロッカー」!というプログラムを考えていた)、今やらなかったら機会は永遠に無いかも知れない…という危機感と虫の知らせで、相当な無理をして「タルカス」だけを初回に突っ込んだ。

 結果、初演は口コミで隠れプログレファンが全国から集まってくれ、キース・エマーソンのメッセージが届いたりCD化されたり(あちこちから「実は私もプログレのファンなんです」とカミングアウトしてくる人たちに出会ったりして)大成功に終わり、現在に繋がるわけなのだが・・・本当に精根尽き果てたという感じだった。
 あの時、無理して強行しなかったら、おそらくオケ版タルカスは永久に幻となり、当然ながら大河ドラマで流れることもなく、プログレのリバイバルもなかったかも知れない…と思うと苦い記憶と共に複雑な感慨が頭をよぎる。

 どんな音楽も、天から自然に降ってくるわけではない。みんな(一見遊んでいるだけに見えながら)実は命がけで作っているわけなのだ。涙を笑顔で隠して。なンてね・・・

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コメント

人事を尽くして天命を待つ…。

(・・)

記事、読ませていただきました。私も、プログレを滅ぼしたのは当のプログレファンたちだと思います。私は音楽としてのプログレは好きですが、プログレファンと称する人たちは嫌いです。それはクラシック音楽とクラシック音楽ファン、現代音楽と現代音楽ファンについても同じです。

吉松さんのタルカスが人々の心を動すのは、頼まれたわけでもなく報酬があるわけでもなく100人しかお客が来ないかも知れずCDになる確約もないたった一度っきりのコンサートのために40年に及ぶ無償の愛を注ぎ込んだ、その壮大な成果だからです。何も知らずに聞いても、その情熱と愛は聞く人の心を揺さぶってやみません。日本人のプログレへの愛をたった一人で証明してくださったこの素晴らしい仕事を、私は心から誇りに思います。

何気なく流れていく一秒、一秒全てにとてつもない魂と労力が注がれている。
わたしが高校生の頃 (生まれて初めて出会った作曲家の先生を敵に回してまで移籍した) 放送部でそれを体験したこと。それは音楽を創ること、作曲や編曲でも同じことのようです。

ブログレは、正直ずっと知りませんでした。センセのタルカスで初めて知りました。しかし私が愛してきた70~80年代のシンセサイザー音楽にも似たようなものがありますし、なんというか、一つの思想を表現する一大アートなのだと思っています。シンセサイザーはなんだか今はもう変わってしまいましたが、そういった音楽での思想表現そのものは廃れる必要はないのだと思います。

全てご縁です。センセが編曲したのもご縁。センセしかいなかったのです。だから私は近い将来、姫神の「北天幻想」をオーケストラ化します。絶対。

タルカス世界初演に居合わせることができたのは一生もののメモリアルです。

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