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冨田勲さんの新曲「イーハトーヴ交響曲」の初演を聞きに東京オペラシティへ出向く。(演奏:大友直人指揮日本フィル)
前半は、山田洋次監督作品のメドレー(たそがれ清兵衛〜隠し剣鬼の爪〜武士の一分〜おとうと)、指揮の大友さんと冨田さんとのトークを挟んで、児童合唱&混声合唱が加わり「ジャングル大帝」と大河ドラマ「勝海舟」テーマ曲。
後半は新作。宮澤賢治が描いた理想郷イーハトーヴをテーマに、「種山ヶ原の牧歌」「星めぐりの歌」や昔の映画「風の又三郎」の歌がちりばめられ、剣舞のリズムが炸裂し、「雨ニモ負ケズ」がコーラスで感動的に歌われ、ダンディの「フランス山人の歌による交響曲」やラフマニノフ交響曲第2番が引用される全7章40分ほどの大作。交響曲というよりは,宮澤賢治の世界を歌で描いた壮大なオラトリオか。(編成は、2群の児童合唱・混声合唱とオーケストラ、&初音ミク)
お目当ての初音ミク嬢は、オーケストラの背後上のスクリーンに映像として登場し、注文の多い料理店では妖しい「アブラカダブラ」の歌で踊り、銀河鉄道の夜では「ケンタウルス露を降らせ」、「種山ヶ原の牧歌」では児童合唱と素敵なコーラスも披露。単に話題のヴァーチャルシンガーというだけでなく、賢治のいう「幻想四次(四次元の世界でもあり、死後のあの世の世界でもある異世界)」の語り部として不思議な存在感を示していた。
そして、アンコールで歌われた「リボンの騎士」と、最後の「青い地球はだれのもの」では涙が止まらなくなって困った。齢80を迎えられてのこの旺盛な創作力と、自分の音楽に徹しながら満員の聴衆に最上級のエンターテインメントを供給するプロの技にも拍手。私たちはこんな素敵な作曲家を持っているのだ、と世界に誇ろう。
昼、NHK502スタジオで,ブラボー!オーケストラ12月分2本の収録。
12月2日(日)放送分は、モーツァルト交響曲第41番「ジュピター」とR=シュトラウス交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」。ミョンフン指揮東京フィル(11月25日の第58回オペラシティ定期より)
12月9日(日)放送分は、リスト「ハンガリー狂詩曲第2番」、ガーシュウィン「ラプソディ・イン・ブルー」(p:江口玲)、外山雄三「沖縄民謡によるラプソディ」「管弦楽のためのラプソディ」。外山雄三指揮東京フィル。
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夕方、18時からNHK-FM「音の魔術師~冨田勲の世界」放送。番組は21時までの3時間弱だったが、実は話は5時間以上におよび、放送できなかったエピソードもいろいろ。
個人的に面白かったのは、冨田さんがハーレーダヴィッドソン(知る人ぞ知る大型バイク)の愛好会に入って乗り回していたとき、会員のプロフィールに「職業:電気技師(専門:室内配線)」と書いていたという話・・(確かに…(^○^)。
ほかにも、作曲家に必要なのは・・・1に早く書けること、2に体力、そして3が才能。とか・・(これは放送したかも・(^_^)b
いよいよ23日に迫った「イーハトーヴ交響曲」初演も楽しみ。
それにしても70年代以前の番組のオリジナル音源やビデオテープがもはやNHKにも存在しない(むかしはテープが高価だったので,放送は「使い捨て」が原則だった)というのは、驚くというより「なんてもったいない!」と悲鳴をあげること数回。あの「天と地と」も「70年代我らの世界(青い地球は誰のもの)」も放送したオリジナル映像も音源ももはや存在しないのだそうだ。嗚呼!
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夜、NHK大河ドラマ「平清盛」第45回「以仁王の令旨」放送。ついに平家討伐の令旨が出され、滅亡への道が見え始める。
清盛の孤独は、老いたゆえの暴走なのか、誰にも理解されない先駆者ゆえの苦悩なのか。
諸行無常まで残すところ後5回!
Blog「月刊クラシック音楽探偵事務所」11月号更新。
今回は、欧米人のハーモニー感覚の話から脱線して子供たちの歌の魔力に迫る「賛美歌の中の天使たち」。
ヨーロッパでは、何というか…ハーモニーは「毛穴から全身に染み込んでいる」感じがする。一方、日本では「耳と頭」の段階で止まっている。
これは鍛錬ではどうしようもない「文化的な背景」の問題なのだが、さて、無理して「毛穴」から染み込ませるべきなのか、アジア人の意地にかけて「耳」で止めるべきなのか。
何しろ日本人が「ハモる」音楽を初めて知った頃、西洋ではそれを壊す歴史が始まったわけで・・・
人は失って初めて「それがあった」ことに気付く。最初から無ければ「無い」ということにさえ気付かない。
さて、どちらがより不幸かというと・・・
新しいMacBook Air 11インチと27インチのDisplay(Thunderbolt)を組み合わせて実家のミニスタジオを再構築。
大河ドラマ「平清盛」43回「忠と孝のはざまで」。重盛(窪田正孝)渾身の「忠ならんと欲すれば孝ならず・・」に泣かされる。忠も孝もほとんど死語と化した現代の日本にこの血の叫びはどう届くのだろうか。
大河ドラマ「平清盛」サントラBOX盤(全5枚)の校正とチェック。