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震災復興支援ソング《花は咲く》オーケストラ版の収録に立ち会う。
今回は編曲者として参加。特に凝ったオーケストレイションを施したわけではなく、美しいメロディをそのまま(オーケストラを花束に見立てて)歌わせることを心がけた。「花」は死者への鎮魂と共に生者の生きた証でもある。「音楽」も同じだ。演奏は、梅田俊明指揮NHK交響楽団。@文京シビック大ホール。
かれこれ十数年ほど前から、右肘の痛みに悩まされていたが、それがどうやら「テニス肘」らしいと言われて驚いたことがある。(なにしろテニスどころか運動は全然しないのだから)。
これは一日中パソコンでマウスを操っているのが原因とのこと。微妙に右手を浮かせてマウスを操作するのが肘辺りの筋肉を疲労させていたのらしい。(その後、ターボマウスを使い出して少しは症状が和らいだのだが)
一方、スマートフォンの登場以来、若い人の間に急増しているという「スマホ症候群」は、肩こりや首の痛みが中心とか。これは、うつむいてスマホの画面を覗き込む姿勢に問題があるようだ。(もっとも、これはデスクワーク系の人間にとっては昔からの職業病のようなものだ)
と思ったら、最近は左肘と手首が痛い。「今度は何?」と首をひねったが、どうやらiPadを片手(左手)で持つため、左手の肘と手首の筋肉に疲労がたまる症状らしい。
そう言えば、最近読書(および新聞)はもっぱらiPad片手に一日数時間。軽いとは言え、iPadで600g、iPad miniでも300g。登場(2010年)から3年めにして症状が現れたということか。
さて、これを「iPad肘」というのか「iPad炎」とでもいうのか、正式名称はさだかではないが、そのうち誰かがそれらしい名前を思いつくことだろう。
そうか
名字で「一」と書いて「にのまえ」と読むのはよく知られている(らしい)が、以前「おのうえ(尾上)」さんという名字を聞いて「あいうえおの〈オ〉の上」なら「エ」じゃないか…と思いついた。名探偵「エ工(おのうえ・たくみ)」なんて怪しい推理小説に出て来そうだ(笑)
あるいは「ア」と書いて「イのうえ」、「ク」と書いて「キのした」というのもあるのだろうか。(イロハなら「 」で「イのうえ」、「ユ」で「キのした」だが、そこまで行くと判じ物が高度すぎて誰にも分からないか・・・)
ピアノ曲集「優しき玩具」(および「ガラスの博物館」&「ソナチネ」)など35曲分をパソコン入力で清書完了し、ピアニスト(河村泰子さん)に送付する。
昔から、なぜか仕事をしながら観るBGVはホラー系の映画が多い。お気に入りは「シャイニング」(1980)や「エイリアン」(1979)あたりのクラシックだが、むかし「レンタルビデオ店」が流行り出した80年代には小さなお店の「B級ホラー」の棚をコンプリートしたことがある(笑)。
NHK504スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」10月分残り1本の収録。
11月に録音予定の(かれこれ30〜40年ほど前に書いた)ピアノ小品群の編纂&Finale入力を進める。
先月から書き進めていた「花は咲く」のオーケストラ版アレンジスコアほぼ仕上がる。
三善晃さん(1933~2013)は、武満徹さん(1930~1996)と並ぶ戦後日本クラシック作曲界の二大巨星。武満さんが(イチローや松井のような)大リーグ国際派とするなら、三善さんは(大相撲の横綱のような)国内チャンピオンだ。国際派の「前衛(アヴァンギャルド)」指向に対して、国内派「アカデミック(正統派)」の頂点に君臨し、賞を取りまくり、批評家たちから絶賛されまくり、 男の料理や相撲通としても知られ、 教育者として社会的にも活動し、権威の頂点に立ち続けた(私のような独学異端の野良犬作曲家から見ると)雲の上の神さまのようなヒトである。
もともと東京大学仏文科に在学中パリのコンセルヴァトワールに留学しているほどの秀才で、帰国後20代初めから作曲家として一線で活躍するなど、育ちの良さは一級。受賞歴も豪華で、国内の作曲賞総なめはもちろん、音楽家が日本でもらえそうな賞は全て貰っているのではなかろうか。おまけに、むかし(貧乏旅行で避暑に行った時)旧軽井沢銀座でばったり出くわし「すぐ近くに別荘があるんだよ」とにこにこ声をかけられ、羨ましさで卒倒しそうになったことがある・(>_<)ゞ
若い頃の作品は、現代音楽風ではありながらフランス風の硬質で精緻なサウンドで、私が初めて聞いた「交響三章」(1960)や「管弦楽のための協奏曲」(1964)などは、ある意味でアカデミックな(作曲コンクール優勝タイプの)模範的現代作品。(おかげで、当時の作曲コンクールは三善作品の亜流ばっかりだった)。
しかし、1970年代になると、きわめて晦渋で難解な…日本的な暗い情念の奔流のような…サウンドを手中にして、 戦争体験や社会の不条理などを語り始める。特に1972年に初演された「レクイエム」を初めて聞いたときの衝撃は忘れられない。コーラスは戦争の不条理を叫びまくりオーケストラは轟音で咆哮しまくる。演奏するのも聞くのもかなりきつい一品だが、現代音楽特有の不協和音や混沌としたサウンドでしか描けない世界をきっちり描いたという点で(日本が世界に誇れる)希有の傑作である。日本のオーケストラは、年末に第九を演奏するように8月には毎年必ずこの曲を演奏するべきなんじゃなかろうかとさえ思う。
その後、何度かお会いする機会が出来たのは90年代になってからだが、その頃はもう丸く?なられていて、私の作品についても「調性やメロディがあって分かりやすい音楽でもいいんじゃないの」と(ご自身もアニメ「赤毛のアン」1979など書かれていたし)仰る。でも、目は笑っていなかったような気がする・(^_^;。 (写真は1985年、NYのカーネギーホールにて)
氏の音楽を聴くと、「音楽は〈音〉を〈楽しむ〉もの」などという言葉が凄く浅い(軽薄な)音楽観に思えてきて困ってしまうことがある。「聞くのがつらい」とさえ思えるような晦渋さの向こうにある「音楽」の深淵をのぞき込む行為。それが「三善晃の音楽を聴く」ということだからだ。
今月のお仕事。「花は咲く」(詞:岩井俊二、曲:菅野よう子)…orchestra版アレンジ。