失踪日記2/アル中病棟
吾妻ひでお「失踪日記」(2005)の続編「アル中病棟」(新刊)を読む。
私は…毎日欠かさず酒は飲んでいるが…アル中ではない(はず・・・?)。なので、この病気に対するシビアな意識は薄いのだが・・・同じ「作家」として「モノを作る人間」が味わう天国と地獄、(俺は天才だ!という)充実感と(俺はダメなんだ!という)疎外感、躁と鬱(正気と狂気)の交替、周りの人たちや社会や仕事やお金や死や病気に対する(夢と現の狭間を漂うような)距離感、などなどはとても他人事とは思えず、リアルにグサグサと胸に迫る。
呑気に音楽やマンガを書いている=好きなことをやっている…と思われがちだが、自分の創造(想像)力だけを拠り所にして生きるというのは(たった一人でロープ一本を頼りに断崖絶壁をよじ登るような)危険きわまる行為。忙しさにかまけている時は気付かないが、ふと立ち止まった時などには…軽くて「失踪や隠遁願望」、重い時には「鬱」とか「死への誘惑」が背中にぺったり貼り付いているのを感じることが確かにある。(手塚治虫師などは、それを感じるのが怖しくて「一瞬も手を休めない忙しさ」の中に自分を追い込んでいたのかも知れないとさえ思う)
一応は「夢を売る仕事」?なので、普通はそんな(話すと人が引いてしまうような)暗い話はしないものだが、この書は(太宰治好きな作者らしく)全編その闇の世界に踏み込む。・・・にもかかわらず、このモーツァルト的で軽やかなタッチはどうだろう。
特にこの2コマ→は衝撃だ・(@_@;)・はははは・・・
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>手塚治虫師などは、それを感じるのが怖しくて
>「一瞬も手を休めない忙しさ」の中に自分を追い込んでいたのかも知れない
うーん、鋭い指摘。事実その通りでしょう。ところで「毎日欠かさず酒は飲んでいる」ということはどう見ても立派なアルコール依存症なので、養生なさってください。休肝日を設けないと死亡率が格段に上がるのは実証済みです。
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/299.html
投稿: free | 2013年10月10日 (木) 15:44