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2014年1月

2014年1月31日 (金)

舘野さんと対談@USEN

Usen

 USENの〈Classic People〉という番組枠で舘野泉さんと対談。「ピアノ人(びと)と作曲人(びと)」というテーマで、ピアノについて作曲について音楽についてを語る企画。

 初めてお会いしたときの話とか、最初の献呈曲「タピオラ幻景」や大河ドラマ「平清盛」の音楽を書いた時の裏話とか色々な話が出た中で、音楽を演奏・作曲するとき「感情を込めて」とか「心を込めて」というけれど「ちょっと違うよね」という話が面白かった。

 例えば舘野さんが弾くカッチーニのアヴェマリア。あの曲の左手ピアノ用アレンジは、シューベルト(アヴェマリア)やシベリウス(フィンランディア賛歌)と一緒に「アンコール用に」と抱き合わせに書いた(いわばB面扱いの)一曲。舘野さんの方も、シューベルトやシベリウスだと感極まって「弾いている自分が泣いてしまうので」淡々と弾ける(思い入れのない)カッチーニをと、アンコールに弾くようになったのだそうだ。

 ところがリサイタルであれを弾くと聴衆は必ずと言っていいほど泣く。私も下手すると最初の一音でぶわっと涙が出てくるほどだ。「平清盛」で使ったときも「なんで平安時代にピアノでアヴェマリアやねん!」と誰しも思っただろうに、あれが流れてくると泣いてしまう。不思議な話である。

 そもそもこのカッチーニのアヴェマリア、実はカッチーニの作ではなく、旧ソヴィエトの作曲家Vavilovによる偽作である。そのあたりは「モーツァルトの子守歌」がモーツァルトではなくFliesの作曲であるのと似ている。無名の作曲家が「なんちゃって」で書いた曲を、独学の作曲家が適当にアレンジし、それを片手のピアニストが淡々と弾く・・・その結果があれだ。

 ミューズ(音楽)の神は気まぐれなので、どんなに命をすり減らして懸命に努力し心を込めても(それだけでは)見向きもしない。そのくせ、思いも寄らないところで(何が気に入ったのか)突然天から舞い降りてきて満面の笑みで微笑む。本当にわけの分からない・・・もとい・・・謎に満ちた神である。

2014年1月30日 (木)

ブラボー!オーケストラ収録

40

 NHK 404スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」3月分2本の収録。

 3月2日(日)放送分は、レブエルタス「センセマヤ」、ブラームス「ヴァイオリン協奏曲ニ長調」(vn:前橋汀子)。
 3月9日(日)放送分は、ベルリオーズ「幻想交響曲」
 いずれも指揮:クリスチャン・バスケス/東京フィル(2013年7月18日第835回サントリー定期より)

Revueltas_2  センセマヤ…はメキシコの伊福部昭レブエルタスの名品。タイトルからして「マヤ族」の儀式でも描いたのかと思ったらそうではなく、キューバの詩人Nicolas Guillenによる「センセマヤ〜蛇殺しの唄」が原典。これは西アフリカ・ヨルバ族の水の女神Yemajaに蛇を殺して捧げる妖しい儀式を歌った詩で、その中で「Mayombe Bombe Mayombe」と繰り返される呪文は「海底軍艦」のムー族の踊り(あちらは大蛇マンダに人間を生贄にする歌で「なんとかかんとかマンダ!」という呪文を繰り返す)を思わせ、特撮マニアの琴線をくすぐる。伊福部ファンの方はぜひ一聴を。

2014年1月27日 (月)

電子楽譜はハ長調の夢を見るか?

Scoresw 楽譜をネット販売するサイト立ち上げの件でM氏来訪する。

 私の作品は(幸運なことに)多くはCDあるいはネット配信などで聴けるようになっているが、楽譜は入手不可能なものが多い。いくつかは音楽之友社・全音楽譜・現代ギター社などから出版されているものの(ごく一部の売れ筋楽譜以外は)在庫切れ気味。そのほかの主だった曲は(出版社ではなく)音楽事務所であるジャパンアーツ(あるいはCHANDOS)が管理しているため、注文に応じてオンデマンドあるいはレンタルで楽譜の手配をしているだけというのが現状。楽器店に楽譜が並んでいるわけではない。

 そのため「なんで《サイバーバード協奏曲》や《アトムハーツクラブカルテット》や《タルカス》などのスコアが簡単に手に入らないんですか」という声が多いのも現実。そこで、それらをネットで供給(販売)する方法を相談することになった次第。

 実を言うと、自分の楽譜&スコアの多くは既に自前でPDF(電子化文書の国際標準規格)化してあるので、自分のホームページに貼り付けさえすれば(明日からでも)ほぼコストゼロで供給が可能だ。
 元々収入がどうこう悩むほどの部数が出るわけでもなし、演奏家や若い人の勉強のために《無料》で配付してしまって構わないと思っていたほど。
 さらに言えば、独り身で「遺族」もないので著作権などというのも(死後50年などと言わず)死んだと同時にパブリックドメイン(著作権フリー)にしてもらってもいいとすら考えている。(確かラヴェルもそんなことを言っていたような気がするが、どうだったろう)

 ただ、私のような定年退職世代がそれをやってしまうと、これから音楽で食べていかなければならない若い現役世代にとって弊害になってしまうので「折り合い」が必要。そこで、今回ジャパンアーツの私の作品管理担当と音楽情報サイトの楽譜販売部門とで、バランスを取りながら楽譜を供給販売して行くシステムを模索して行くことになったわけである。

 なにしろリアル出版の場合は、紙に印刷して製本して楽器店に配送するコストがかかる。そのため、ある程度の部数が売れないと首が回らなくなるし在庫管理が大変。需要の少ないマイナー楽器の曲や売れない現代モノなどを楽譜出版するのは夢のまた夢だった。

 しかし、ネット出版の場合は、元の楽譜をPDFデータにしさえすれば、あとは印刷も配送も在庫管理も不要。ほとんどコストゼロで1部だろうが100万部だろうが供給できるうえ、在庫は決してなくならない。どんな超マイナーな(20年に1人しか見る人がいないような)スコアだろうと、24時間いつでも「見たい」時に楽譜を入手することが出来る。

Scorem  さて、これは売れない作曲家たちにとって福音となるのか、あるいは更なる地獄の始まりなのか・・それは実を言うとよく分からない。

 印刷された紙の楽譜は100年前の物でも読めるが、PDF自体が出来てから20年しかたっていない規格だから、20年後も読める保証はない。
 いや、その前に、そもそも「楽譜」という物が20年後に今と同じようにあるのか?・・・それどころか、人間というモノが20年後にも存在しているのか?・・・などなど(ネガティヴに考えれば)それこそ色々な問題をはらんでいる。

 でも、このモデルがうまく稼働して、若い世代の新しい作品や未出版の作品、あるいは出版されていない(60~70年代頃の)現代音楽の名品などが続々リストに並び始めたら(個人的に)非常に嬉しい。今はそう思っている。

2014年1月25日 (土)

曾祖父(駒造)のこと

Komazo

 昨年、自伝(作曲は鳥のように)を書いたとき、話の流れ上、先祖のことを少し調べることになった。それまでは、現在のヨシマツ家の始祖である曾祖父(駒造。1858〜1923)のことも、「日本初の小児科医で東宮侍医(昭和天皇の幼少時のお付きの医者)を務めた人」とくらいしか(子孫なのに呑気な話だが)知らなかったのである。しかし、東京大学医学部を卒業後、明治の中頃ドイツのブレスラウという地に留学し、帰国後日本橋に小児科医院を建てた…というあたりまでは確認できた。

 しかし、それ以上細かいことは戦争で病院そのものも消失しているため分からなかったのだが、最近、坪井正五郞(1863〜1913)という日本初の人類学者について書かれた川村伸秀「坪井正五郎」(弘文堂)という本に、なんと彼と一緒にヨーロッパ行きの船に乗り合わせた日本人として「吉松駒造」の名を見付けることになった。(著者が指摘して送って下さったのである)

Tuboi それによると、31歳の駒造は1889年(明治22年)6月9日、26歳の坪井氏らと客船メルボルン号に乗って横浜港から渡欧。7月22日にマルセイユ港に着。その頃開催されていたパリの万国博覧会(5月5日〜10月31日)を見にみんなでパリに行き、それから彼らと別れてブレスラウという街の大学に向かったらしい。

 なにぶん古い話(125年前!)なので、曾祖父が「ドイツに留学した」とは聞いていたものの、「ホントに行ったの?」とうっすら疑念すら持っていたのだが、このブレスラウというのは旧ドイツ帝国領(第一次大戦以前)で現在はポーランドのヴロツワフだと最近知った。どうりでいくらドイツを調べても見つからないはずだ。

Breslau
 で、このブレスラウの大学。一般の人には馴染みのない名前かも知れないが、クラシック音楽ファンなら「ブラームスが《大学祝典序曲》を献呈した大学」と聞けば「ああ」と膝を打つ人もいるのでは。当時は、国際的な学者が集まる有名大学だったようだ。

 曾祖父が医学を学ぶべくこのブレスラウ大学に留学したのは、そのブラームス先生が名誉博士号をもらったちょうど10年後!。その頃ブラームス先生まだ56歳だから、すれ違った可能性もゼロでは無さそう・・・(ついでに、パリの万博でドビュッシーとすれ違った可能性も・・・)。しかし、ドイツ人とビールの飲み比べをして勝った…というような酒飲み豪傑話は伝わっているものの、音楽に関する話は何もないまま、3年ほど留学して1891年(明治24年)32歳で帰国している。

 さらに面白いことに、先日ポーランドの若いSaxophone奏者が私のFuzzyBirdとCyberBirdについての論文を書くのでインタビューしたいと来訪。そういう訪問を受けることはまずないのだが、彼の大学がなんと「ヴロツワフ」と聞いて会う気になった。

Eckertbrahms  なにしろこのブレスラウの音楽大学というのは、「君が代」のオーケストラ版アレンジをした作曲家フランツ・エッケルトの出身校。彼は西洋音楽を日本に取り入れるため、明治12年(1879年)、日本政府に招聘されて来日。皇室の大喪の礼用の秘曲「哀の極(かなしみのきわみ)」なども作曲しているし、曾祖父が日本に帰って来てからも7年ほどは日本に居たようなので、すれ違った可能性も・・・

 それにしても、色々なんとも不思議な因縁である。

2014年1月23日 (木)

ブラボー!オーケストラ収録

Bravoo

 NHK 501スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」2月分2本の収録。

 2月9日(日)放送分は、ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」。広上淳一指揮東京フィル(2013年4月12日第831回サントリー定期より)

 2月16日(日)放送分は、シベリウス:ヴァイオリン協奏曲(vn:堀米ゆず子)、「フィンランディア」合唱付き(合唱:新国立劇場合唱団)。飯森泰次郎指揮東京フィル(同7月12日東京オペラシティ定期より)

 こういう聞き慣れた名曲を聴くたびに、もう一度「初めて聞く状態」に耳をリセットできたら…といつも思う。「やっぱり凄い」と思うのか、「意外と凡庸」と思うのか。40年以上も聞き慣れて名曲として頭に刷り込まれてしまった耳には分からない。だから、「聴いたことがない」という人が本当にうらやましい。

2014年1月22日 (水)

鳥と天使の1st edit

Birdangels_3  交響曲第6番(鳥と天使たち)の1st editを聴く。

 老境に入った作家の円熟の境地と深み・・・とはほど遠い…子供が悪ふざけして玩具箱を引っ繰り返したようなしっちゃかめっちゃかな音楽だなァと思わず苦笑・(^_^;

 20代の頃の方がはるかに老成していたナと、しばし遠い目になるが、まァ、老いてなお童心を忘れず…と思えば良いのか。とは言え、これが「最晩年の作品」になってはさすがにまずいので、次(を書くことがあれば)もう少し年相応の曲にせねば・・・φ(.. )

 CDは、マリンバ協奏曲(バードリズミクス)とのカップリングでコロムビアより4月23日発売の予定。2曲とも指揮は飯森範親氏。演奏は交響曲がいずみシンフォニエッタ、協奏曲が山形交響楽団。マリンバ:三村奈々恵さん(これは凄演!乞うご期待!)。

2014年1月21日 (火)

つうとうつ

Franken このところ滅入り気味で、「夕鶴」を聞いても「つう」が「うつ」に見えるほど・(=_=)・

 若い頃は、そういう時「ものすごく怖い映画」を見ることで解消していたのだが、最近ダメになった・・・

 ・・・・怖い映画は、怖いのだ・(-_-)zzz

2014年1月17日 (金)

猫ドア

Catdoor 実家の台所に付いている《猫ドア》の自作改修工事をする。

 もともとは夜すべての窓を閉めてしまっても猫が出入りできるように(大工さんに頼んで)壁に開けてもらった「穴」なのだが、ヨソの猫が入り込んだりするようになり、セキュリティ強化を考え(東急ハンズで板と蝶番と留め金を買ってきて)数十年ぶりに工作の時間。

 以前、 電子ロック式の(飼い猫しか出入りできない仕掛けの)猫ドアを購入したこともあるのだが、古い家で寸法も合わず機能せずじまい。《猫用どこでもドア》というのはないものか・・・(しかし、ノラネコがそれを手に入れたら大変なことに・・・)

2014年1月15日 (水)

お知らせ

MUSIC BIRD トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ

番組誕生25周年記念蔵出し大放出
吉松隆7回アーカイヴ・・・放送予定
出演:吉松隆、MC:田中美登里

1月27日(月):お正月だからゴールドベルクでも聴いてみよう
・95年1月7日放送 +岡崎増雄(グールドの声
1月28日(火):銀河鉄道シンフォニー〜共振する賢治とシベリウス
・95年3月4日放送
1月29日(水):ヨシマツ音楽探偵団〜ショスタコーヴィチの暗号大作戦
・95年6月10日放送 +助手:堀川桂、怪人16分音符:大里俊晴

1月30日(木):火の鳥からテラへ
・96年6月29日放送 +藤岡幸夫
1月31日(金):サチオとタカシのクラシック自由時間
・00年4月16日放送 +藤岡幸夫
2月3日(月):吉松隆の思考回路
・07年8月19日放送
2月4日(火):オーケストラ未来形
・10年2月14日放送 +中野翔太

◎放送:月〜金/21:00〜22:00
MUSIC BIRD 音楽専門衛星デジタルラジオ

Twmw
この20年ほどの間にMUSIC BIRD《トランス・ワールド・ミュージック・ウェイズ》という番組にゲスト主演した回全7本がお蔵出し大放出?されることになりました。
最初のグールドの回は、お正月に天国のグールドに電話インタビューを試みるというオカルトな企画(台本も自分で書きました。20年近く前です!)。銀河鉄道の回では、シベリウスの交響曲第6番を聴きながら「銀河鉄道の夜」を朗読するリリックな世界。音楽探偵団はショスタコーヴィチの暗号を探偵と助手が解くというミステリーな趣向。いずれもプロデューサーの田中美登里さんと遊びながら作りました。懐かしや。あとの回は普通の対談ですが、相手がマエストロ・フジオカの回は結局漫才になってしまったような気が・・・

2014年1月13日 (月)

祝 成人

Kurai 若いということは、どんな宝物どんな力どんな才能にも勝る至高の財産である。

問題は、失わないとそのことに気が付かないということなのだが。

さァ、キミも早く失って「こちら」へおいで・・・(^_^;

2014年1月10日 (金)

部屋の模様替え

2014r

新しい年を迎えて(遅まきながら)仕事場の模様替えをする。

と言っても、パソコンのモニターを並び替えたくらいなのだが、それでも気分は多少変わる(ような気がする)。

画面左から液晶ペンタブレット22型(イラスト用)、iMac(メインマシン)、その下の小さい画面は小型テレビ、30inchモニタ(サブマシン:Mac pro用)、MacBook G4(旧OSでしか動かない古いソフト用)、右端の鍵盤は電子ピアノ。+隣の部屋にMacBook AirとiPad。(ちなみに室内の無線LAN&iCloudで全て繋がっている)。さほど仕事をするわけではない貧乏作曲家にとっては無駄にハイスペックだが、これは「趣味」。念のため。(^_^;

こういう風に複数のモニタ&キイボードを並べるとき、どういう配置がもっとも使いやすいのか・・・という点に関しては今もまだ試行錯誤中だが、30年近くああでもないこうでもないとやって来た私見では、円形の部屋に扇型に(飛行機のコックピットのように)並べるのが人間工学?的にも一番よさそう。

Archpiano_2となると、(以前にも書いたような気がするが)ピアノ&キイボードも、鍵盤が扇型配置なのが次の進化の形のはず…なのに、未だそういう楽器が台頭しそうな気配はない。まァ、家や部屋がそもそも昔も今も四角いのだから、そこに円形は置きにくい(=売れない)のだろうけれど。

2014年1月 7日 (火)

ブラボー!オーケストラ収録

40 NHK 501スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」1〜2月放送分2本の収録。

 1月19日(日)放送分は、ワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第4番」(p:津田裕也)。

 2月2日(日)放送分は、ブラームス「交響曲第1番」。どちらも演奏は飯守泰次郎指揮東京フィル。(2013年12月13日座間市での公開収録より)

 私にとってはいずれも、聞き慣れた(というより、もう聞き飽きた…と言いたくなるような)名曲ばかりだが、この番組で初めて聴くことになる若い人もいるはず。そのことを思うと、羨ましさでいっぱいになる。
 特に、最初は「さっぱり訳が分からない」と思った曲にじわじわと魅せられるようになるのがクラシック音楽の醍醐味。ステキな曲にたくさん出会って欲しい。

2014年1月 6日 (月)

20年め・・・

106

 妹の20年目の命日に甥っ子たちと墓参りに行く。

 もう20年・・・・・自分の方が「没後20年」で墓参りされている世界も(もしかしたら)可能性としてあったわけで…不思議な感慨が心の底をよぎる。

 それにしても・・・正月というのは、むかし若い頃は確かに楽しくおめでたい(そして未来を感じる)ものだったが、年と共にだんだんそれも薄れてゆく。年齢を重ねる…ということは、未来と過去との配分が逆転してゆく(過去の方が重くなる)…ということなのだから仕方ないのだろうけれど。

 新年に「おめでとう」と叫べる人たちは幸いである。  
 未来は(まだ)あなたたちのものだから。

2014年1月 5日 (日)

POSER道楽

Posersamplea 数年前から(仕事の合間に)POSERというソフトで遊んでいる。

 もともとは名前の通りモニター上のモデルに「ポーズ」を付けさせるソフトで、昔(登場したのは1995年頃)は、人間を描く時の「下書き」(右下)に使える程度だった。

 しかし、最近はその精度が上がったのと、様々な素材コンテンツがネットSHOP(もちろんほとんどがMade in U.S.A)で手に入るようになり、世界がぐっと広がった。

 モデル(人間=Figure)以外にも、色々な道具=Propsや舞台場面=Scene、服や髪型やポーズなどが数ドルから数十ドル程度で手に入り、ファンタジーやSFからアニメ調さらにちょっとHな世界までをイラストやコミックスとして作り上げることが出来、手間をかければアニメーションとして動かすことも出来る。

Poserb
 最新版(Poser pro)では、素材表面のテクスチュアや影や反射などがさらにリアルになり、驚くべき世界が眼前に広がるが、さすがに物凄い計算量が必要と見えてソフトは重量級。相当ハイスペックなパソコンを使わないと影ひとつ付けるのにジブジブと時間ばかりかかって、一日がムダに過ぎてゆく。

 しかし、少なくとも、これさえあれば老後も「飽きる」ことは無いような気がしないでもないような気がしないでもない・・・φ(.. )

2014年1月 3日 (金)

隠響堂日記 (八分音符の憂鬱…あらため)

Inkyodo_2 昨年「還暦」を迎え、老境に踏み込んだ。
 自由業に「定年」はないが、気分はほとんど「ご隠居」である。

 巷で云う「隠居」は、家督を息子に譲り、一線を退き、悠々自適の生活を送ることらしいのだが・・・こちらは、考えてみれば譲るべき家督も相手もないし、一線にいた憶えもない。そして最初っから好き勝手やって来たので今さら悠々自適もない。なァんだ。前と全然変わらないのである。 

 もともと「命と引き替えにきれいな音楽(と交響曲)をひとつだけでも書き残したい」というコケの一念で始めた作曲家業。なので独学で孤立無援なうえ唯一の生きる場所である現代音楽に噛み付くという…生き残る確率ゼロのことをやってきた。当然、三十代半ばくらいで野垂れ死にがいい処だろうと思っていたのに、まさか60を過ぎてまだぬけぬけと生きているとは大誤算も大誤算である。

 ファウスト譚なら、ここらで悪魔メフィストがぼわんと煙の中から現れて「魂と引き替えに若さをもう一度やろうか?」とでも言うのかも知れないが、イヤイヤ、もう見るべきモノは見、やるべきことはやった。音楽の壮大で深遠な宇宙のことを思えば、虫けらの夢に過ぎないみみっちいレベルであるにしても、夢は叶い願いは成就された。これ以上を望むのは(それこそ)虫が良すぎる。今、口を突くのは「時よ止まれ。音楽は美しい!」の一言である・φ(.. )

 というわけで、ここから先は「晩年」の人生。ただし、それがあと数年なのか数十年なのかは神のみぞ知る。長らく作曲をやって来た身としては、自分の終楽章のコーダがどうなっているのかくらいは知りたいが、サテ、こればっかりは人間サマも虫けらも区別なく等しくナイショである。それはもしかしたら人生に仕掛けられた最後の罠なのかも知れない。

 まァ、それまでもう少し夢を見ようか。どのみち風は吹くのだから。

 隠響堂孤鳥(吉松隆)

2014年1月 1日 (水)

謹賀新年

2014hy

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