フォト

Home page

お知らせ

  • 音楽館
    作品視聴…映像付き
  • 楽譜出版《ASKS.orchestra》交響曲,協奏曲,室内楽などのスコアを電子版(PDF)で販売中。海外向け→**
    出版作品一覧→***NEW
  • 《図解クラシック音楽大事典》(学研)イラストとまんがでオーケストラや楽典から音楽史までを紹介する掟破りの入門書。旧〈音楽大事典〉の超大幅改訂復刻版。
    作曲は鳥のごとく》(春秋社)自らの作曲家生活を綴った独学の音楽史@2013年3月刊
    《調性で読み解くクラシック》(ヤマハ)調性および音楽の謎を楽理・楽器・科学・歴史から読み解く文庫版入門書。

リンク

« ブラボー!オーケストラ収録 | トップページ | 電子楽譜はハ長調の夢を見るか? »

2014年1月25日 (土)

曾祖父(駒造)のこと

Komazo

 昨年、自伝(作曲は鳥のように)を書いたとき、話の流れ上、先祖のことを少し調べることになった。それまでは、現在のヨシマツ家の始祖である曾祖父(駒造。1858〜1923)のことも、「日本初の小児科医で東宮侍医(昭和天皇の幼少時のお付きの医者)を務めた人」とくらいしか(子孫なのに呑気な話だが)知らなかったのである。しかし、東京大学医学部を卒業後、明治の中頃ドイツのブレスラウという地に留学し、帰国後日本橋に小児科医院を建てた…というあたりまでは確認できた。

 しかし、それ以上細かいことは戦争で病院そのものも消失しているため分からなかったのだが、最近、坪井正五郞(1863〜1913)という日本初の人類学者について書かれた川村伸秀「坪井正五郎」(弘文堂)という本に、なんと彼と一緒にヨーロッパ行きの船に乗り合わせた日本人として「吉松駒造」の名を見付けることになった。(著者が指摘して送って下さったのである)

Tuboi それによると、31歳の駒造は1889年(明治22年)6月9日、26歳の坪井氏らと客船メルボルン号に乗って横浜港から渡欧。7月22日にマルセイユ港に着。その頃開催されていたパリの万国博覧会(5月5日〜10月31日)を見にみんなでパリに行き、それから彼らと別れてブレスラウという街の大学に向かったらしい。

 なにぶん古い話(125年前!)なので、曾祖父が「ドイツに留学した」とは聞いていたものの、「ホントに行ったの?」とうっすら疑念すら持っていたのだが、このブレスラウというのは旧ドイツ帝国領(第一次大戦以前)で現在はポーランドのヴロツワフだと最近知った。どうりでいくらドイツを調べても見つからないはずだ。

Breslau
 で、このブレスラウの大学。一般の人には馴染みのない名前かも知れないが、クラシック音楽ファンなら「ブラームスが《大学祝典序曲》を献呈した大学」と聞けば「ああ」と膝を打つ人もいるのでは。当時は、国際的な学者が集まる有名大学だったようだ。

 曾祖父が医学を学ぶべくこのブレスラウ大学に留学したのは、そのブラームス先生が名誉博士号をもらったちょうど10年後!。その頃ブラームス先生まだ56歳だから、すれ違った可能性もゼロでは無さそう・・・(ついでに、パリの万博でドビュッシーとすれ違った可能性も・・・)。しかし、ドイツ人とビールの飲み比べをして勝った…というような酒飲み豪傑話は伝わっているものの、音楽に関する話は何もないまま、3年ほど留学して1891年(明治24年)32歳で帰国している。

 さらに面白いことに、先日ポーランドの若いSaxophone奏者が私のFuzzyBirdとCyberBirdについての論文を書くのでインタビューしたいと来訪。そういう訪問を受けることはまずないのだが、彼の大学がなんと「ヴロツワフ」と聞いて会う気になった。

Eckertbrahms  なにしろこのブレスラウの音楽大学というのは、「君が代」のオーケストラ版アレンジをした作曲家フランツ・エッケルトの出身校。彼は西洋音楽を日本に取り入れるため、明治12年(1879年)、日本政府に招聘されて来日。皇室の大喪の礼用の秘曲「哀の極(かなしみのきわみ)」なども作曲しているし、曾祖父が日本に帰って来てからも7年ほどは日本に居たようなので、すれ違った可能性も・・・

 それにしても、色々なんとも不思議な因縁である。

« ブラボー!オーケストラ収録 | トップページ | 電子楽譜はハ長調の夢を見るか? »

#日記&雑感」カテゴリの記事

コメント

吉松駒造先生のお名前は、黒岩涙香『弊風一斑 蓄妾の実例』 (現代教養文庫)のp.80にも出てきますね。当時つまり明治31年の日本の名士たちが、どのようにお妾さんを囲っているかを暴き立てた本。

駒造先生は酒豪だっただけではなく、なかなかの艶福家だったようで…むにゃむにゃ。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ブラボー!オーケストラ収録 | トップページ | 電子楽譜はハ長調の夢を見るか? »