天使はまどろみながら…を思い出しながら
16年ほど前(1998年)に書いた手書き最後の時代の作品「天使はまどろみながら…」のスコアSCAN→PDF化作業をすすめる。
同じ頃に書いた「鳥は静かに…」(こちらは既にPDF化済み)とペアを成す、弦楽アンサンブルのための悲歌。「鳥」ではなく「天使」の羽根にみたててストリングスが左右対称に配置される作品(CD「メモ・フローラ」に収録)である。
この曲をイギリスで録音したとき、「While an Angel falls into a doze...」という英語タイトルを聞いて、プロデューサー氏(もちろんイギリス人)がしみじみと「いいねえ…詩的な響きだねぇ…」と呟いていたのを懐かしく思い出す・・・・
・・・のだが、実はこのタイトル、島根県の美保神社あたりを日本海沿いに旅しているとき、マネージャーから「次の新曲のタイトルは?」という催促の電話がかかってきて(チラシなどに載せるので完成の半年くらい前に「タイトルだけ」必要なのである)、・・・そのときぼーっとした頭で見上げた空の雲の切れ間からふわっと日が差して天使の後光のように見え、「あ、天使が…」という言葉が口を突いたあと、思わず「えーと・・・まどろみながら・・・」と答えてしまって(偶然に)生まれたもの。ちなみに元ネタはその頃読んでいた吾妻ひでお「ときめきアリス」の中の「アリスははにかみながら」というタイトルから。英語訳は(「鳥は静かに…」→「And Birds are still...」と共に)CD録音することになったとき「Angel is dozing」だけじゃつまらないよなぁ…と二週間ほど悩みまくって考えたのだが、イギリスでの録音のとき、「この曲を演奏するとスタジオの中がすーっと涼しくなる」と不思議なことを言われた。日本のオーケストラが演奏するとむしろウェットで温かい響きになるのだが、イギリスのオーケストラがやるとクールで冷たい響きになる。同じ音楽なのに面白いものだな…としみじみ思ったものである。・・・などというとりとめのないことを作業しつつ思い出しながら・・・

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コメント
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たしかにそのCDを今聴いても、すーっと涼しくなる気がします。不思議ですね。
「調性ごとの色の違い」よりも、「オケごとの音色の違い」のほうが聴感上の影響は大きいのではないか?という疑問が私の心の中にあります。特に、かつての海外オケなどは実演で聴いても録音で聴いてもそれぞれ音色の個性が強く、その傾向が強かったのではないでしょうか。
先日、チャイコフスキーの第6交響曲の話題で、「ロ短調は冬の調」との先生のご教示がありましたが、ジュリーニ指揮ロサンジェルス・フィルやオーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の録音でこの曲を聴いても、あまり「冬」という気分にはなれません。
投稿: 虹色LED | 2014年8月30日 (土) 14:11