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2014年11月

2014年11月28日 (金)

手書きスコアの時代

Matsumurat楽譜棚を整理していて松村禎三師の「管絃楽のための前奏曲」(1968)のスコア(手書きのコピー)を久し振りに見つけ、京都で見た東寺の「曼荼羅」を思い出していた。

冒頭のオーボエ・ソロの旋律がひたすら増殖して全オーケストラに広がってゆく…というワンアイデアの作品なのだが、同じ発想の「ボレロ」と違って、こちらは完全に東洋的な世界。数百数千の仏像の群がびっしり世界を埋め尽くすような圧倒的なイメージを持った曲で、この曲を一聴して以来この作曲技法に10年ほど「取り憑かれ」てしまった。(高校の頃、気付くといつもこの旋律を口笛で吹いていて、同級生に「気持ち悪いから!」と何度も指摘されたほど。確かにボレロの旋律より不気味ではある・(=_=)・)。19歳の時に松村さんの処に無理やり伺ったのも「こんな曲を書くのはどんな人なのか?」と知りたかったことが大きい。

もともと松村さんは京都の呉服屋の生まれで、父親がかなり熱心な仏教徒だったという。だから、この曲が「ボレロ」を意識しつつ「曼荼羅」を思わせる処があるのもあながち的外れではないようで、実際、後半に般若心経を歌う千人の大合唱を付ける構想もあったと聞く。この曲は、その巨大な作品への「前奏曲」ということだったのらしい) …もうひとつ、「実はこの曲はね…」とむかし師匠が語ってくれた驚愕のネタがあるのだが、それは…あまりにホラーすぎてちょっと人には言えない…_(_^_)_

Takemitsut それにしてもこの手書きのスコアは、「よくもまあこんなにビッシリゴチャゴチャと書き込んだものだ」と呆気に取られたという点でも衝撃的だった。この時代(1960ー70年代)の武満さんと松村さんは「無駄に書き込んだ細かいスコア」の競争をしていたのでは?と思うほど精緻な(美術品のような)楽譜を残していて(武満さんの極致は縦1.1m、80段を優に超える巨大スコアの「カシオペア」(1971)か→) 、私を含む多くの若い作曲家たちに悪影響(?)を与えている・(=_=)・。

現在は、私自身すべてパソコン入力&清書になっているほどで、今さら「手書きに戻れ」などと言う気はないが、この「膨大で無駄な手間」こそが、あの時代のひたむきな情熱の一部だったことは確かだ。そこから生まれた「無駄にゴチャゴチャ書き込まれた」スコアたちは、私にとって貴重な青春の記憶(おかげで青春を潰してしまったという恨みも込めて)であるとともに生涯の大いなる宝物でもある。

2014年11月24日 (月)

円形キイボードのある未来

Pianoarc_2 以前このブログでも「円形のキイボードがあったら」と書いたことがあるが、・・・あるのだそうだ。

それが←写真のPianoArcという楽器。ただしアコースティックのピアノではなく、いわゆるシンセサイザー。全294鍵で、88鍵のフルサイズのピアノ3台分+30鍵のコントロールキイ…という構成らしい。

Pianoarc2 微妙に弧を描く鍵盤→は手作り感覚で、作るのが大変そうだが、昔キース・エマーソンやリック・ウェイクマンがやっていたような、シンセとグランドピアノとパイプオルガン(メロトロン)の一人合奏…というような(感じの)演奏がこれで可能に!

しかし、これでコンサートグランドピアノを作ったらどうなるのだろう?と考え始めたら・・・どこが最低音で最高音? どこに弦を張る?ボディをどうする?ペダルはどこに?どうやって真ん中に座る?(そもそも物凄く巨大な楽器になりそうだし)…と・・・夜眠れなくなりそうだ。

2014年11月23日 (日)

仕事場スタジオの今

1411studio

↑最近は(むかしの楽譜の修復作業以外)ほとんど仕事をしていないのに、無駄にハイスペックな仕事場スタジオ。(ちなみに、中央にiMac…27-inch,3.4GHz,32GB、それに液晶ペンタブレットCintiq 22HD(左)と30-inch Cinemaディスプレイ(右)を繋げたものが現在のメインマシン)

とは言え、むかし(コンピュータなど夢の夢だった子供の頃)のことを思えば、あんなことも出来る・こんなことも出来る・の、まさにSF的未来空間。超高性能電子頭脳と高速情報処理システムを完備した「秘密基地」であり、50年前にこれがあったら世界征服も出来た?かも知れない。人付き合いの悪い理系オタク老人としてはまさに「夢の世界」である。

ただし、これで何か「創る」とか「仕事をする」(とか世界征服する)という気はもはやさらさらない。Cloud(雲)の上で究極の生産性ゼロの世界に遊び、後はキレイさっぱり何も残さない(もっとも、交響曲を書くのだって生産性ゼロ&何も残らない…では負けていないが)。それが正しい「道楽」だろうと今はそう思う。

2014年11月20日 (木)

OrionMachine@ピアノ伴奏版

Omp

続いてトロンボーン協奏曲〈オリオンマシーン〉ピアノ伴奏版のPDF整備。

ピアノパートは、2013年の藤原功次郎氏のリサイタルのために作曲家の坂東祐大氏が作成されたもので、ゴチャゴチャ書き込んだスコアをほどよく整理して頂いた。(大河ドラマ・テーマ曲のピアノ編曲版でもそうだったのだが、力一杯スコアを書き込みすぎて自分ではとてもピアノで弾けなかったりするのである・(v_v)・

元々この曲は、拍子があったりなかったり・半分図形楽譜みたいだったり・完全アドリブだったり…とFinale入力泣かせの代物・(T_T)・。でも、自分が書いたのだから仕方がない。色々四苦八苦しながら整理中。

本家オケ版は、来年の1月に新日本フィル定期(ソロ:箱山芳樹氏)で演奏される予定。

2014年11月18日 (火)

英雄の生涯

StraussNHK504スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」12月分1本の収録。

今回は12月7日(日)放送分で、リヒャルト・シュトラウス「英雄の生涯」。ベルトラン・ド・ビリー指揮東京フィル。(6月2日第86回オペラシティ定期より)ほか。

この曲の「英雄」というのがRシュトラウス自身だというのはよく言われることだが、34歳の時に描いた「英雄」像としては凄く変わっている。・・・「敵と出会い」「嘲笑を受けるも」「良き伴侶を得て」「敵と戦い」「勝利する」(ここまでが前半。普通の作曲家なら、ここで盛大なフィナーレを鳴らして終わりだろう)。ところが、そのあと「過去の業績を回想し」「引退して」「伴侶に見取られながら静かに息を引き取る」(しかも、この引退以降…つまり老後、が人生の1/3近い)。これは、何というか…生涯のビジョンとしてはあまりにリアル、と同時に実際の彼の生涯を予言していて怖い。この人、(後期ロマン派などと言われながら)実は全然ロマンチストではない。100人を超える大オーケストラの絢爛たるサウンドを聴きながら、なぜか背筋に冷たいモノが走るのを覚えてしまった。・・・おっと風邪か?

2014年11月17日 (月)

Suite"KIYOMORI"

KiyomoriASKSで大河ドラマ「平清盛」で書いたスコアも扱えることになったそうなので、組曲「平清盛:(Suite "KIYOMORI" )」として整備を始める。(ちなみにテーマ曲のスコアおよびピアノ編曲譜などは既に〈プリント楽譜〉などから配信されている)

組曲としては、「還暦コンサート」で演奏しCD化もされた7曲(テーマ/屹立/情歌〜遊びをせんとや/戦闘/夢詠み/勇み歌/決意)でまとめる予定。

・・・それでもまだ120曲以上あるので、第2組曲、第3組曲…と無理やり作ってゆけば第18組曲くらいまで可能な計算・(v_v)・。ついでに、ライトモチーフでリンクした楽曲が6時間近くあるから、適当にSTORYを作って歌のパートを追加して繋げれば全5幕ほどのオペラがたっぷり2つは出来る計算(考えただけでグッタリだが)…と夢(妄想)は枯れ野をかけめぐる。

2014年11月15日 (土)

オペラ「アイナダマール」

Ainadamar叔父に誘われて日生劇場のオペラ「アイナダマール(涙の泉)」を観に行く。

アルゼンチン生まれのオスバルト・ゴリホフ(1960〜)によるスペインの詩人ロルカを題材にした現代オペラ(2007)。淡い和音に乗ってスパニッシュギターや手拍子のリズムが交錯し、その上に女声コーラスが浮遊する抒情的で美しい音楽は、ヴァンゲリス+ジプシーキングス(?)風の世界。発想は(オーケストラではなく)シンセサイザー音楽に近い。

詩人ロルカの悲劇的な死(スペイン内戦時に銃殺)をめぐる1幕3景:約1時間半のオペラ…だが、特にドラマチックな筋書きがあるわけでもない幻想的な回想劇で、これはロルカを現代のキリストに見立てた一種の「受難劇」と聴くべきなのかも知れない 。彼の死を回想し悲しむ女優マリアナ・ピネーダは哀しみの聖母、ロルカの死を宣告するルイス・アロンソ(石塚隆充によるフラメンコ風の歌唱が印象的だった)はピラト総督。ロルカは男装のアルト(いわゆるズボン役)。舞台にはフラメンコのダンサーたちも登場し、オペラ本編の前にはロルカを紹介するための20分ほどの寸劇が上演された。

日生劇場で11月15日(土)16日(日)14時よりの2公演。
広上淳一指揮読売日本交響楽団。演出:粟國淳。

2014年11月13日 (木)

鉛筆書きスコア

FbirdaFuzzy Bird Sonataの手書き原稿(1991)を、仕事場の段ボールの底から偶然発見する。

シャープペンで書いたものを(それだと薄いので)濃いめにコピー機で複写し、そちらを「オリジナル稿」にしていた頃の、大元のシャープペン原稿。な…懐かしい♪。

これはもう出版(Billaudot)されているので、PDF化して頒布するわけにはいかないが、こちらの方が味があっていい……ような気もしないでもない。

2014年11月12日 (水)

ASKS第7回配本

AskslogoASKS@第7回配本販売開始。

今回は、トロンボーン協奏曲〈オリオンマシーン〉、忘れっぽい天使Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ(ハーモニカ・シリーズ)、忘れっぽい天使Ⅰa(ヴァイオリン版)、鳥が月の光を夢見る時に(cl,vc & hp)。
+トロンボーン協奏曲のピアノスコア、および「鳥が…」のパート譜をただ今準備中。

残る大物は・・・組曲「平清盛」、「ドーリアン」あたり・・・。
現在の出版楽譜リストはこちら

2014年11月 6日 (木)

京都の秋

Gosho_2 京都二日目。ぶらぶら散歩しながら御所に寄ったところ、偶然「一般公開」の最終日ということで中に入れることに。

以前、ハガキで参観を申し込んでようやく中に入ったことがあるが、こんなに簡単に入れるとは……。
一緒に入った観光客からは紫宸殿の前で 「ほら、平清盛の…」という声が上がったが、確かに今にも白河法皇(伊東四朗さん)が出てきそうだ。あちこち大河ドラマのセットそっくりなことに逆に感動。

その後、ドイツから来ている知人に会う予定だったのだが、連絡が付かず、夕方、もう一度「曼荼羅」を拝みにゆく。客の少ない最終時間帯を狙って入り、「もう時間ですので閉めます」と言われるまでねばる。

            *

Takaob_2 京都三日目。せっかく秋の京都に来て紅葉を見ないのも何なので、ピアニストの河村泰子サンを呼び出して神護寺の紅葉を見に行く。

ただし紅葉にはまだ早く、色付きはじめ…という感じ。しかし、なかなかの風情なので、河床のお座敷で湯豆腐を肴に(昼間から)熱燗で一杯・σ(^^)¥。

そのあと大覚寺・大沢の池をまわり、車折神社にちょっと寄ってから、夜、祇園の「ふじ原」という料理屋で一杯。帰りにFinlandia Barにもはしご。きれいな月夜。

2014年11月 4日 (火)

京都の曼荼羅

Mandaraw

東寺の両界曼荼羅図(左:金剛界曼荼羅、右:胎蔵界曼荼羅)が10日間だけ特別公開されるというので、京都まで見に行く。

楽譜のようでもあり回路図のようでもあり原子の配列のようでもあり数式のようでもあり、見ていると頭の中で不思議な音楽が鳴り始める。

そもそもの出会いは高校の時に聴いた黛敏郎「曼荼羅交響曲」なので、お堂に入った途端♪ コワーンとその響きがし、しばらくすると師匠の松村禎三「管弦楽のための前奏曲」の旋律が聞こえ始め、やがて絵図の中に仕込まれた「9」とか「5」とか「3」とか様々な数字が入り乱れるミニマルの世界や、雑多な音(雅楽の楽器や声のざわめきや鳥たちの歌)が交響する対位法の世界が広がってゆく。

画像としてはもちろん今まで何度も見ているのだが、こうして実物(縦横およそ4m) を目の前にしてみると全体像の巨大さと細部の緻密さが圧倒的だ。壮大な交響曲を聴いているような充実した感覚とコピーの増殖を見ているような空虚な感覚(これが「色」と「空」か)が同時に襲ってくる。結局、小1時間ほど吸い寄せられるように見入ってしまった。

Toji 余談だが、「東寺(とおじ)」という発音は東京者には難しい。標準語風の「とーじ(高低低)」だと「当時」、平たく(低低低) 発音すると「湯治」になってしまうが、 京都では「とオじ(低高低)」と「オ」を高く発音するのだそうだ。しかし、そうと分かっていてもTAXIに乗って「とオじ…まで」と言うのは…なぜか物凄くこそばゆい感じがしてダメである。「冬至」で許して欲しい。

2014年11月 3日 (月)

デジタル修復作業なう

Orionma今月配本予定の楽譜6点のPDF化整備中。

今回は・・・
・トロンボーン協奏曲〈オリオンマシーン〉
・忘れっぽい天使1(ハーモニカとピアノ)
・忘れっぽい天使1a(ヴァイオリンとピアノ)
・忘れっぽい天使2(ハーモニカとギター)
・忘れっぽい天使3(ハーモニカとアコーデオン)
・鳥が月の光を夢見る時に(クラリネット、チェロ&ハープ)

最後のTRIO以外はすべて「手書き譜」…要するに紙の五線紙にペンあるいは鉛筆で書いたものだが、最終的な「完成原稿」は 、書き損じや汚れを修正し校正した上でハードコピーを取ったもの(コピーしたモノの方がオリジナル…というのはどこか矛盾しているが) であることが多い。
いずれも20〜30年という年を経ているうえ、初演や録音の時に現場で使っているので、書き込みやチェックやメモや落書き?にまみれ(ところどころ破れ)ている。そこで、ホチキスを外してばらし、全頁をスキャンした後、PhotoShop(画像修正ソフト)を使って1頁1頁書き込みや落書きを消し、破れた処を繕い汚れを取り、歪みを修整し、時には文字(あるいは英訳)を埋め込み、余分な五線を消してゆく(左がオリジナル原譜。右が修正したPDF譜)。
Angela
ちなみに、この頃の作品は、図形楽譜っぽい書き方やアドリブを要求する部分が多く、現在の楽譜ソフトでは清書が難しい(やろうと思えば出来るのかも知れないが、物凄く高度なテクニックと手間を要するうえ、商品としては売れっこないのでお金がかけられない)。今回のトロンボーン協奏曲は録音後イギリスで一度トライしたが、数年間ジタバタしたあげく結局「お手上げ」になってしまったほどだ。

古い映画フィルムに行ういわゆるデジタル修復作業と同じく、オリジナルは残しつつ、劣化した部分は補修(しかも一人で!)するわけで、確かに面倒くさいと言えば面倒くさい。しかし、一所懸命ねちねち書き込んでいた時代の手書きの味(とその情熱)は懐かしくもあり、何となくコツも分かってきたので、ちょっと楽しくなってきたような気もしないでもない。

2014年11月 1日 (土)

iCloudDriveな人生

IclouddrivexiCloudDrive(+iOS8.1)にしてから、Pagesで書いた文章の同期(Mac→iPad)がやたらと遅くなった。おまけにiPad Air(2)で日本語入力していると時々止まる。ネットで調べたら「プチ・フリーズ」というのだそうで、困っているユーザーは少なくないものの、さほど大騒ぎにはなっていない処を見ると、誰にでも起きる現象ではないらしい。そのうちOSがアップデートされれば不具合も消えるのだろう。

…と、古くからのApple使いとしては、昔OS9がOSXに変わったときの「悪夢」に比べればどんなトラブルでも何のことはない…と思ってしまうのが怖い。(つらいことがある度に「人工衛星に乗せられて死んだライカ犬に比べれば〈僕の人生〉は遙かに幸せだ」と呟くイングマル少年のことを思い出す)。

人生、山もあれば谷もある。そして、脳は進化をするが老化もする。OSも同じだ。

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