オペラ「アイナダマール」
叔父に誘われて日生劇場のオペラ「アイナダマール(涙の泉)」を観に行く。
アルゼンチン生まれのオスバルト・ゴリホフ(1960〜)によるスペインの詩人ロルカを題材にした現代オペラ(2007)。淡い和音に乗ってスパニッシュギターや手拍子のリズムが交錯し、その上に女声コーラスが浮遊する抒情的で美しい音楽は、ヴァンゲリス+ジプシーキングス(?)風の世界。発想は(オーケストラではなく)シンセサイザー音楽に近い。
詩人ロルカの悲劇的な死(スペイン内戦時に銃殺)をめぐる1幕3景:約1時間半のオペラ…だが、特にドラマチックな筋書きがあるわけでもない幻想的な回想劇で、これはロルカを現代のキリストに見立てた一種の「受難劇」と聴くべきなのかも知れない 。彼の死を回想し悲しむ女優マリアナ・ピネーダは哀しみの聖母、ロルカの死を宣告するルイス・アロンソ(石塚隆充によるフラメンコ風の歌唱が印象的だった)はピラト総督。ロルカは男装のアルト(いわゆるズボン役)。舞台にはフラメンコのダンサーたちも登場し、オペラ本編の前にはロルカを紹介するための20分ほどの寸劇が上演された。
日生劇場で11月15日(土)16日(日)14時よりの2公演。
広上淳一指揮読売日本交響楽団。演出:粟國淳。
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