21世紀よ何処へ行く
とある新聞に新年のエッセイを頼まれ、人間と音楽の歴史について思うところをざっくばらんに書くことになった。その中で「21世紀の現状については、今のところがっかり感が拭えないのですが…」と口を滑らせたところ、編集氏から、「ちなみに、どんなところががっかりだと思われますか?」と聞かれ、改めてちょっと考えた。
もし50年前の「私」(お茶の水博士のような科学者に憧れていた10歳の少年)がタイムマシンで「今」の世界を見たとしたら・・・・・想像していた「夢の21世紀(人間の叡智と科学の進歩が築く平和な時代)」との落差に驚きがっかりするのは以下の点(回答のまま)だろうか・・・
まだ世界に国境があること。まだ民族や宗教や主義で諍い(戦争の種)があること。まだ貧困があること。まだ不治の病があること。まだ(いわゆるアトムのような人工知能を持った) ロボットが実用化されていないこと。まだエネルギー問題というものが存在すること。まだ自動車が地面を走り交通事故の死者がなくなっていないこと。まだ宇宙旅行・宇宙開発が(一般人が享受出来るレベルで)実用化されていないこと。まだ一般人や子供が巻き込まれる非道な犯罪がなくなっていないこと。まだ人の心に憎しみや蔑みや差別意識の種が消えていないこと。にもかかわらずそれらを食い止める「叡智」が有効に機能していないこと。
逆に、想像以上に進化していて驚喜しそうなのがパソコン&ネット環境と一部のテクノロジー。想像と違って嬉しいのは、21世紀にはとっくに無くなっていると思っていた「オーケストラ」がまだちゃんと立派に存在していること。そして個人的に最も吃驚なのが、自分が作曲家をやっていること・(; ̄O ̄)