田部京子リサイタル
浜離宮朝日ホールでの田部京子ピアノ・リサイタルを聴きに行く。
シューベルト〜シューマンとロマン派の作曲家に焦点を絞った彼女のリサイタルシリーズ、現在はB&B(ベートーヴェン&ブラームス)ワークスということで、今回はベートヴェンのソナタ3つ(14番「月光」、26番「告別」、30番)とブラームスの6つの小品op.118。
シューベルト・シューマンはともかく、この2人(B&B)はさすがにごつい男のピアニスト向けだろうと失礼ながら思っていたのだが、30番のソナタのあまりの絶品さと美しさを聴いて考えを改めることにした。男の作曲家の晩年の作品(特に哀愁のむこうに虚無感と欠落感が滲むタイプの音楽)は男にしか分からないもの…と長らく勝手に思ってきたが、それをとことん敬愛と慈悲の目で見つめ、美しく優しく包み込む。これは、考えてみれば女性にしか出来ないことなのかも知れない…と怖ろしいことにも気付かされた。まだまだ音楽は奥が深い。
ちなみに、今回アンコールに演奏されたシベリウス「樅の木」と私の「真夜中のノエル」の後で、(死んだ作曲家だけでなく「まだ生きている作曲家」にも敬意を示す意味からか) 客席にいた私を舞台上から紹介されたのには驚いた。拍手を受けて思わずその場で立ち上がって一礼はしたものの、お客さんは「誰?ブラームス?」と思われたのでは?・・・(^_^;
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