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夜、新日本フィルの定期演奏会(第534回)での拙作:トロンボーン協奏曲〈オリオン・マシーン〉の演奏を聴きにサントリーホールへ出向く。(指揮:井上道義氏)。
武満徹(地平線のドーリア)・吉松隆(オリオン・マシーン)・リゲティ(ロンターノ)・クセナキス(ノモス・ガンマ)という…マエストロ井上らしい洒落た(しかし少し捻った)選曲の《現代音楽の古典》プログラム。(しかも特殊な配置を要求する曲ばかりなので、ステージ転換が大変そう)
冬の京都。今日は、寺町通り〜錦市場〜柳馬場通とぶらぶら歩き。
先週(16日未明)〈ほんやら洞〉(今出川通りにある伝説の喫茶店)が全焼したと聞いて突然「そうだ、京都、行こう」と思い立ち、冬の京都へ。
ASKS出版今回(1月)配本(予定)は、室内オーケストラ作品1曲と邦楽デュオ2作品の計3点。
NHK504スタジオにて「ブラボー!オーケストラ」(NHK-FM日曜日19:20放送)2月分2本の収録。
2月8日(日)放送分は、ブラームス:交響曲第2番ニ長調。大植英次指揮東京フィル(2014年7月17日第87回オペラシティ定期より)+山田耕筰:序曲ニ長調、バーンスタイン:ミュージカル・トースト。
2月15日(日)放送分は、チャイコフスキー幻想序曲「ロメオとジュリエット」、リスト:ピアノ協奏曲第1番(p:中村紘子)ほか。外山雄三指揮東京フィル(2014年9月23日第852回オーチャード定期より)
写真(上)は61歳の時のブラームス先生(今の私と同い年・(v_v)のサイン入りブロマイド。1894年というと明治27年。私の曾祖父(写真右)がブレスラウ大学(ブラームスが「大学祝典序曲」を献呈した大学。現在チェコ)に医学留学して帰国し、日本橋に小児科医院を開業した頃である。
曾祖父は、1889年(明治22年。パリ万国博覧会が開かれた年)から2年ほどヨーロッパに居たそうなので、パリの万博でドビュッシーとすれちがい、ベルリンでチャイコフスキーのヨーロッパツアーを聴き、ブダペストでマーラー指揮のオペラを見、大学でブラームスと歓談した・・・・という可能性も(と妄想すると楽しい)。
しばらく怠けていた旧作のPDF(電子化)整備を(思い出したように)すすめる。
ひとつは、京都の記念祝典のために書いた「三つの水墨画」(2013/室内オーケストラ)。そして、2006年に書いた邦楽デュオの姉弟作品「星幻譜」(笙と二十絃箏)と「風夢の舞」(尺八と二十絃箏)。
いずれも(いわゆる)「和(日本)」の世界に抵触した(つもりの)作品ではあるのだが、視点に異邦の香りと乖離感があることに改めて気付く。理由は簡単で、私自身、京都を巡って「和」の世界を愛でているつもりになっていても、生活の中にもはや着物も畳もなく、洋服や椅子やベッドでないと寛げない。日本酒と美味しい和食に舌鼓を打ち「ああ、自分は日本人なのだなぁ」とどんなに感慨にふけっても、翌朝は必ずパンと珈琲。日本で生まれ育ちながら(たぶん)明治時代に初めて日本に来た外国人と同じ「異邦感」なのである。
そのくせ、最晩年は京都に侘び住まいでも持ちたいものだと夢見ているのだが・・・サテ、侘び住まいの隠居爺になっても「それら全てを含めて〈和(日本)〉なのだ」と強がりを言い続けられるだろうか。
昨年出した拙著〈調性で読み解くクラシック〉の売れ行きが好調なのだそうで、出版社の方がご挨拶に来訪。
イラストをまじえての軽めな読み物に見えるので(実際、軽いのだが)手を伸ばされた方が多かったのだろうか。ただし、かなり私見を交えての危ない音楽(調性)論なので、あくまでも「ナルホド、そういう見方もあったのか」という副読本的なポジションで読んで頂きたい。くれぐれも。
そして、もう少しまじめな「音楽とはそもそも何なのか?」については、死ぬまでにちゃんと書き残しておかなければ、と改めて思う今日この頃。
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夕方、黛敏郎〈曼荼羅交響曲〉のスコア(Peters)が届く。
高校生の時に初めて音を聴いた瞬間から延々50年近く夢にまで見たスコアなので、現物を手にしばし感動。ただ…手書きのマニュスクリプト版だとは予想していたものの、潰れた音符とインクのシミだらけの譜面にちょっと驚く。おそらくリハーサルに使った昔の(書かれたのは1960年)劣化して薄くなった青焼きコピーから起こしたものと思われるが、NewYorkの大手出版社Petersがこの状態で出版するのだから、残されている譜面の中ではこれが一番状態の良いものだったのだろう。(現代ではスキャンして修復する技術も進んでいるので、私も自作の古い手書き楽譜ではそれをやっているが、それは書いた当人だからできること。オリジナルに手を加えるというのは…汚れを取るというだけのことでも…確かに難しいのかも知れない)。なんだか別の意味でも感動…と言うより、しんみりしてしまった。
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夜、赤坂でとある演奏家の方とプロデューサー氏と集まって新しいコンチェルトの相談をする。具体的にどんな形になるかは未定なのだが、もし実現すれば「そんな楽器のコンチェルトあったっけ?」という超レアな作品になることだけは確か。
最晩年の透明な世界になるか、老いの無様な世界になるか・・・どちらもミューズの神の思し召し次第。
パドゥシャのお二人と飲み会。10年ほど前、ネコ好き繋がりで《チェシャねこ風パルティータ》というネコまみれな曲を書いたのだが、「そろそろまた何か書いてください♫」とおねだりされる。
猫と言えば・・・・昔実家で飼っていたネコに〈パゲ〉というメス猫が居た。元々はノラ猫で身体の所々が禿げた貧相な毛並みだったので「薄ッパゲの子」と呼んでいたのだが、子猫を産んだのでウチで買うことになり、略して「パゲ」と呼ぶようになった。(飼うようになると毛並みも良くなったので、この名前は当人は心外だったかも知れないが)
ところが、その彼女を病院に連れて行くことになり、受付で「お名前は?」と聞かれて、サァ困った。(なにしろ診察の順番になると「**さま」と大きな声で呼ばれるのだ)。頭をひねった挙句、少し可愛らしく「パギー」というと、「あら、変わったお名前、どういういきさつで?」。そこで、苦しまぎれに「正式な名前は〈パーガレット〉と言いまして、その愛称です」「まあ、ステキなお名前」というようなやり取りで、晴れてカルテは〈吉松パギー様〉となった。ああ、恥ずかしかった。
ちなみにローマ字で書けば〈Page(ペイジ)〉なので、オス猫だったら〈ジミー〉という愛称になっていたはず・・・と言うネタはある年齢以上の人にしか分からない。φ(.. )
40+α年前の成人式の日(当時は1月15日)、とある先輩(と言っても定年退職した六十代男性)が「そう言えば今日は成人式だな。君は行かないの?」と声をかけてきて、こう言った。
イギリスの音楽祭用に頼まれている小さな小さなピアノ曲と、舘野泉さんが出演するコンサートのための語り付きの作品のスケッチをぼそぼそとすすめる。
昨年から〈隠響堂〉と号している・(-_-)zzz・のだが 、これは勿論「隠居」にかけていると同時に、私の邦楽シリーズ「なばりの三ツ」「もゆらの五ツ」「すばるの七ツ」にも因んでいる。
これらはいずれも古い日本語で、なばりは「隠」、もゆらは「響」、すばるは「昴」と書く。モユラは珠がふれ合って出す響き(も・ゆら)のことで「響」は当て字。スバルは星が統る(すばる。集まってひとつになる)ので「昴」。ナバリは実際に「隠り」と書き、「隠れる」という意味である。
私がこの種のタイトルにはまったのは忍者マンガで有名な白土三平氏の影響だ。彼の作品には、忍者の名前や術の名などに魅力的な響きのものがたくさん登場するのだが、そのひとつに「カムイ外伝」に登場する伊賀出身の「名張の五つ(画像→)」という忍者がいる(なぜ「五つ」なのか…はぜひ作品を読んで頂きたい)。「名張(なばり)」という地名は実際に伊賀に存在(古事記の時代から伝わるという)し、「隠(なばり)」が忍者のことを指すという人もいるらしい。女忍のことを「くノ一」(足すと「女」という字になる)というのは有名だが、このジャンルはなかなかに洒落た命名のものが多い。
ちなみに、私の作品の方の「なばりの三ツ」の読み方は「みっつ」ですか「みつ」ですか?と聞かれたことがあるが、なかなかいい質問です。「丑三つ(うしみつ)」とか「暮れ六つ(くれむつ)」あるいは「三ツ目(みつめ)」「八つ頭(やつがしら)」というように、古い日本語では「促音(ッ)」は発音しない。
なので、「隠三つ」という題なら「なばり・みつ」も有り得るが、本体がすべて三文字のシリーズなので、数の方も三文字に揃えて(現代風に)「もゆらのいつつ」「なばりのみっつ」「すばるのななつ」と読むことにしている次第である。
蛇足ながら、「三ツ」「五ツ」というのは楽章の数(曲の構成)が 「3つ」「5つ」ということ。スバルはプレイアデス星団としては七つ星なので「七ツ」。ただし日本では「六連星:むつらぼし」とも呼ばれるように星の数はまちまちである。
もうひとつ蛇足ながら、このシリーズには「四ツ」がない。ゆえに4楽章の曲が存在しない。これは差別語に抵触するからなのだが、四ツが(四つ葉のクローバーや四ッ谷はOKなのに)なぜ差別語になるのかは・・・微妙な話になるので御興味おありの方は各自(内密に) 調べてみていただきたい。
妹の命日(21年目)に、米寿の母を連れて墓参り。
最近は初詣も含め正月らしい事は何もしなくなったので、1月6日の墓参りが毎年恒例の唯一の新年の行事。
数年前から延々と書いては潰している「音楽とは何か?」(仮題)。年末にScrivenerという執筆支援ソフトを手に入れて、またもそもそ&細々と書き始める。
2006年から13年まで丸7年間連載していた月刊「クラシック音楽探偵事務所」のバックナンバー全85号の一覧ページを作成しアーカイヴ化してみた。
内容別に分類しようとも思ったが、雑多すぎて断念。さしあたり一番閲覧数の多かった大河ドラマ「平清盛」関連のページをまとめてみる。