こどもの耳の向こうにある音楽
こども向け音楽番組で使うオーケストラ曲の作曲と編曲?という不思議な相談を受ける。しかも、クラシック音楽をある程度聴いたことがある少年少女ではなく、まだ「音」が「音楽」になる以前の…リズムやメロディになる境目を感じている…こども…向けなのだそうだ。
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こども向け音楽番組で使うオーケストラ曲の作曲と編曲?という不思議な相談を受ける。しかも、クラシック音楽をある程度聴いたことがある少年少女ではなく、まだ「音」が「音楽」になる以前の…リズムやメロディになる境目を感じている…こども…向けなのだそうだ。
昨年途中まで進めていながら、その後すっかり忘れていた「卒塔婆小町の3つのワルツ」op.115を楽譜にまとめ始める。
この曲は、三島由紀夫の近代能楽集「卒塔婆小町」と「葵の上」を根岸吉太郎監督でDVD化したもの(2013)の音楽で、クラリネット、チェロ、ピアノという小ぶりの編成の計10分弱の小品。
三島の「卒塔婆小町」は、能の題材を現代に翻案した戯曲集のひとつで、鹿鳴館の時代から生きている老婆であり少女でもある不思議な女性と詩人との怖くもミステリアスな物語。当然、舞踏会シーンを回想するところにワルツ(シュトラウスのワルツの暗〜い変形)が聞こえてくるのだが、それがなかなか気持ち悪くも気持ち良い出来に仕上がったので〈壱のワルツ〉〈弐のワルツ〉〈参のワルツ〉としてまとめることにした。
ただし、作業していると暗〜いワルツが頭の中でループし始めてちょっと怖いので、早く仕上げねば・・・。
舘野泉さんの新しいCD「サムライ/海鳴り」(Avex Classics:AVCL-25870)を聴く。
大河ドラマ「平清盛」のモチーフによる「遊びをせんとや」および「海鳴り」を収録(前者はドラマで流れた今様の旋律による変奏曲で「紀行三景(遊びを/友愛/夢詠み)」の第一曲。後者はドラマ終了後にコンサート用に書きおろした5分ほどの小品で、清盛のテーマと今様のテーマが交錯する幻想曲)。いずれもドラマで使ったサウンドトラックではなく左手ピアノのためのオリジナル作品である。
今回のアルバムには、光永浩一郎「サムライ」、梶谷修「祈り」、近藤浩平「海辺の雪」、シサスク「エイヴェレの星たち」、ゴドフスキー「エレジー」、マグヌッソン「アイルランドの風景」、三宅榛名「思い出せなかったこと」など、ここ数年で生まれた新しい左手のためのピアノ作品が並び、舘野さんの奇跡の指を介して美しい世界が紡がれている。
6人の作曲家による連作《ラフマニノフの墓》が、イギリス・マンチェスターのBridge Water Hallで好評裏に初演されたそうで、小川典子さんと記念写真。
プレリュード/フーガ/フォルラーヌ/リゴードン/メヌエット/トッカータの6曲からなり、私は最後のトッカータを担当。他の5人の作曲家は初演に駆けつけたらしく、行かなかったのは私だけ?
日本初演は10月31日(土)ミューザ川崎シンフォニーホール。楽譜→はMusic Haven@Londonより近日出版予定。
スコアPDF化作業、今月は…
《鳥のシンフォニア》 op.107
《3つの異郷の歌》 op.89a
その邦楽器版 op.89b。
雅楽《夢寿歌(ゆめほぎうた)》 op.100 …の4作。
《鳥のシンフォニア》は、2009年に仙台ジュニア・オーケストラのために書いた(青少年のための管弦楽入門風の)小交響曲。〈プレリュード〉〈トッカータ〉〈ダーク・ステップス〉〈ノクターン〉〈アンセム〉の5つの楽章からなり、「若き鳥たちに」という副題がついている。青少年向けと言いながら、Bird Callで鳥を鳴かせたり、ジャズの即興のようなことをやらせたり、大河ドラマばりにオケを壮大に鳴らしたり、結構愉しんで書いた記憶がある。
《3つの異郷の歌》は、2004年にソプラノサックス(大城正司氏)とギターのために書いた8分ほどの小品。架空の民族音楽風の…Distant Song(遠歌)、Ancient Song(古歌)、Dance Song(踏歌)という短い3つの曲からなり、サックスのほかクラリネット、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラなどでも演奏可能。
邦楽アンサンブル作品「星夢の歌」op.89に追補3章「斗々(とと)」「浮流々(ふるる)」「旦多(たんた)」として編入され、さらに4人編成の邦楽器版(尺八、三味線、二十絃箏、打楽器)op.89b版にもなった「3つの異稿の曲」でもある・(^_^;・
そして《夢寿歌》は、2007年に伶楽舎の委嘱で書いた16人編成30分ほどの雅楽。1997年にも国立劇場の委嘱で〈鳥夢舞(とりゆめのまい)〉という曲を書いているので雅楽はこれが第2作目。夢舞(ゆめまい)、風戯(かぜそばえ)、早歌(はやうた)、静歌(しずうた)、舞人(まいうど)…という5つの章からなるシンフォニー仕立てで、記念すべき「op.100」だったので「寿歌(ほぎうた)」と題した(ような気がする)。ちなみに、この曲が縁で、伶楽舎には大河ドラマ「平清盛」の雅楽パートを演奏して貰っている。
このところスコアのPDF化作業を進めながら、ひたすら押入れ&楽譜棚の整理の日々。現在、2LDKの仕事場のほとんど全てが楽譜や本やCDや資料で埋まっているので、少なくとも3畳一間くらいに収まるくらいのサイズにまで断捨離(と言うより生前遺品整理)するのが目標…
…などと数年前から言っているのだが、ちっとも減らない。うっかり棚を開けると、 むかし書いた楽譜や何かの資料や書きかけのスケッチや手紙やFAXの束や原稿の載った本やパンフレットやコンサートのプログラムなどなど、まぁ出て来るわ出て来るわ・(^◇^;)・「お前はピラミッドか!」と一人ツッコミを入れるくらいで、収拾が付かない。
これでも、今の部屋に引越す時に台所から風呂場まで積み上げられていたCDや本やガラクタ類の山をトラック一台分くらいは捨てたのだが、まだ8畳一部屋が丸々CD、6畳一部屋が本や印刷物で埋まっている。これはもう、未練がましく選別して何十%か処分したところで何も変わらないわけで、「全部捨てる」という踏ん切りをが付けるしか解決策はないのだろう。問題は、サテいつ「踏ん切る」かなのだが・・・
NHK 502スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」5月分2本の収録。
昨日午後、突然仕事場のネット(WiFi)が繋がりにくくなり、夕方ついにオフラインになる。「コンピュータ、ネットなければタダの箱」…とはよく言ったもので、これには困った。
京都に行っている間にMacのOSが10.10.3になり、写真の管理アプリ〈iPhoto〉が〈写真(Photos)〉になった。
京都に通い詰めながら実を言うと一度も見たことがなかった春の風物詩〈都をどり〉に行ってみた。
さすがに一人では恥ずかしいので(最近娘さんが京都の大学に合格して通うことになった)ピアニストの河村サンを呼んで、舞妓さんにお茶を点てて貰う二階席で鑑賞。「♪都をどりはァ〜」という甲高い歌声とコンコンチキチンという鉦のリズムが独特で、次から次へと色々な情景が繰り出す1時間を冥土の土産に堪能するも、音楽的には…舞妓ヘテロフォニーというか…かなり摩訶不思議な世界。
終わって外に出ると祇園花見小路は人の波。外人さん率かなり高し。…と言っても、こちらも(京都から見れば)いつまでたっても「おのぼりさん」なのであまり変わらない。
結局、昼は祇園白川のCOMFORでイタリアン、歌舞練場では抹茶に和菓子、そのあと円山公園横の長楽館で紅茶、夜は木屋町(佳久翠江)で和食&日本酒、その後BARでウォッカ…と和洋ランダム&シャッフル状態な京の一日。
サテ、 これで桜も見納めか。
ひと仕事終えたので、また仕事場の裏の路地を抜けてぶらりと京都へ。ちょっと肌寒いながらひさしぶりのいい天気で、遅い桜があちこち花盛り。やはり桜は青空がよく似合う。
鴨川を渡って琵琶湖疎水をそぞろ歩き、平安神宮の神苑をぐるりとひと回り。水面に映る桜が美しい。そのあと一之舩入の隠れ家カフェで一休み。
そして夜は先斗町で焼き鳥を肴に一杯。「次はどこで飲もうか」と思案しつつ先斗町や祇園界隈をぶらついている時ほどシアワセな瞬間はちょっとない(などと言い始めると気分はほぼボケ老人)
TBSラジオ〈夢★夢エンジン〉にゲスト出演(収録)。
舘野泉さんのために書いていた…左手ピアノ、語り、チェロという編成の8章からなる作品〈KENJI…宮澤賢治によせる〉ようやく脱稿。
声は付いているが歌う作品(歌曲)ではなく、セリフとのバランスとしては「ピーターと狼」に近いが、音楽劇…というほど筋書きはなく、語られるのは現代詩(もちろん宮澤賢治)ながら 「月に憑かれたピエロ」のように現代風ではない。むかし声楽の丹羽勝海さんとやっていた「モノドラマ」シリーズの姉妹作(実際、ベースは20年ほど前に書いたモノドラマ用台本)といった処だろうか。
東京のお花見ラストチャンスということで、ふらっと浅草に出かける。
曇り空でいまいち鮮やかさに欠けるが、桜は桜。
サテ、あと何回見られるだろう……というのは「年寄りがよく言うセリフ」と笑ってきたが、だんだん実感として迫ってくる。困ったものだ。
イギリスからの委嘱で書いていた短いトッカータが、6人の作曲家による組曲「ラフマニノフの墓(Le tombeau de Rachmaninov)」として早速出版されるそうだ。 (Music Haven, London)