田園のトォテテ テテテイ
NHK 502スタジオでFM「ブラボー!オーケストラ」5月分2本の収録。
5月10日(日)放送分は、ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」ほか。阪哲朗指揮東京フィル(第857回オーチャード定期より)
5月17日(日)放送分は、ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番「皇帝」より第1楽章(p:仲道郁代)、同:交響曲「ウェリントンの勝利」。飯守泰次郎指揮東京フィル(第62回午後のコンサートより)
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ベートーヴェンの第六交響曲…と言えば、なぜか思い出すのが宮澤賢治の「セロ弾きのゴーシュ」。彼が所属する町のオーケストラ金星音楽団が練習していたのが(おそらく)この曲で、冒頭、楽長(指揮者)が練習途中「トォテテ テテテイ」の処でセロが遅れたのでやり直し!と叫ぶところから物語は始まる。
さて、これは何処の部分なのだろう?というのが昔から気になっているのだが、以前は、第1楽章冒頭のテーマ後半(上)や第3楽章の同じくテーマ後半(中)あたりを思い浮かべていた。しかし、「チェロが遅れる!」と指摘されていることを考えると(どちらもチェロでは弾いていないので)どうも違う。それに、その前後ではトランペットもクラリネットも鳴っているらしい(原典参照)ということになると…。
おそらく有力候補は、終楽章の26〜27小節あたり(下)だろうか。その直前25小節からトランペットが登場し、チェロ・ヴィオラ・ホルン・クラリネットによるテーマ斉奏になる。この部分後半が「トォテテ テテテイ」。当然チェロが遅れれば目立つし、楽長が「今の前の小節(つまり25小節め)から」と振り始めるのも納得できる。さらに「このへんは曲の心臓なんだ。それがこんなガサガサしたことで」という指摘も有り得そうだ。賢治サン、如何?