KENJI リハーサル
銀座のスタジオで〈KENJI…宮澤賢治によせる〉のリハーサル。演奏は、ピアノ:舘野泉、ヴォーカル(語り):柴田暦、チェロ:多井智紀のみなさん。
昨日が初合わせだったのだが、舘野さんは開口一番「これ、泣かずに演奏するの大変ですよ」とおっしゃる(…確かに私も泣かずに作曲するのが大変だった)。宮澤賢治の作品から6つ…「やまなし(クラムボン)」や「オホーツク挽歌」「銀河鉄道の夜」など…をコラージュ的に並べたもので、別に悲しい話ではないのだが、気が付くと泣いている自分が居る。ことばの力は怖い。
リハーサル後、舘野さんと一緒にビルボードジャパンの取材を受ける。今回のコンサートは「左手の文庫(募金)」応援プロジェクトでもあるので、出来るだけ多くの人に左手ピアノの新しい音楽の誕生に立ち会ってもらいたいと熱く語る。
コンサートは6月3日(水)19時より東京オペラシティ(初台)。小山実稚恵(ピアノ)、二宮和子(クラリネット)、多井智紀(チェロ)さんとの共演で、coba 「Tokyo Cabaret」(チェロ)、エスカンデ「チェスの対局」(クラリネット)、「音の絵」(ピアノ三手連弾)という新曲が披露される豪華版。最後のトリが「KENJI」なので責任重大である。(詳細はこちら )

今回は、舘野さんにも弾き語り?で銀河鉄道の中の「セロのような声」を語ってもらうのだが、これは聞き物。ひとことの重さがすごい。語りの柴田暦さんも賢治の摩訶不思議な宇宙…川の底のカニの子や死んだ妹(とし子)そしてジョバンニとカンパネルラが浮遊する異次元空間…を多彩に表現して下さり、見事。チェロの多井智紀さんは、「賢治物だからチェロを加えましょう」という流れでの起用で、現代物が得意と聞いてあちこちに特殊奏法などをちりばめたのだが、これが上手い!。問題は、泣かずに聴き通すのが難しいということと、「30分くらい」と言ったのに40分を超えそうな大作になってしまいそうなこと。


それにしても…喜寿を超えてなお新しい曲ばかりを一晩で弾き切る挑戦的リサイタルを2週間後に控えているというだけで驚きなのに、「でも、その前に地方で4つリサイタルがあるんですよ」と笑顔で仰るバイタリティには感服。(私は還暦を超えただけで早くもポンコツ状態ですのに・(v_v)