朝、キース・エマーソン氏の訃報に接する。
先日、オケ版タルカスの再演(佐渡裕指揮東京フィル)を聞いたばかりで、来月(4月)には来日してコンサートという話があり楽しみにしていたのだが。享年71。

彼は、ちょうど3年前(2013年3月)、私の還暦コンサートに来てくれて「タルカス」のオケ版を一緒に聴き、ステージで「Happy Birthday」の即興演奏まで聴かせてくれた。

リハーサルの前にステージ裏で、ニヤリと笑って「誕生日のプレゼント!」とクシャクシャの5ポンド紙幣を呉れたのが初対面。CD用に作ったタルカス・フィギア(震災で破損してしまった)とも対面し、終演後のパーティではスピーチまでしてくれ、楽屋では冨田勲さんとの初対面も実現。凄い一夜だった。

タルカスは最初から「いつかオーケストラでやりたかった」そうで、EL&P時代にオーケストラとの共演も試みている(その時、ピアノ協奏曲も書いている!)。

ただし、オーケストラからの風当たりは強かったようで、日本のプロのオーケストラが一所懸命自分の曲を熱演してくれたのが(しかもコンサートマスターの荒井英治さんはキースを「神!」と言い切るプログレおたく)心底嬉しかったようだ。
のちの対談で、私の父が国際電話の技師だった事を話すと、彼の父親も電話技師だったと言い「それでムーグ(シンセサイザー)が気に入ったんだよ。ほら、あれって電話の交換機みたいだろ?」。

数年前から、神経系の病気で指が動かなくなることがあるのを気にしていたが、死因が(拳銃)自殺らしいと聞き、痛ましい思いと共に、音楽家(表現者)の心の底にある闇を改めて感じる。合掌。
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