シン・ゴジラ
公開初日に映画を見に行くのは・・・何十年ぶりだが、暑い最中出向いた甲斐があった。
現代の東京に身長100mを超す生物が現れて突然街を壊し始めたらどうなるか?というストレートな作劇。膨大なセリフ(登場人物全員が怖ろしく早口!)による情報の洪水が息もつかさず問題の多角的な面をあぶり出し、最新CGでスケールアップした「怖さ」(そもそも今回のゴジラ、目が死んでて本当に怖いのだ!)の設定もいい。
ゴジラ上陸シーンは東日本大震災の津波被害を思わせるし、自衛隊の攻撃手順(や指揮系統の描写)は怖ろしくリアル。対戦車ヘリによる機銃掃射、次いで戦闘機からミサイル、地上から戦車砲…などなど現実の兵器が総動員され、SF風熱線砲などは出て来ない。
唯一、ゴジラを倒すための作戦(第1作のオキシゲンデストロイヤにあたるもので、エヴァンゲリオンのXXX作戦を思わせる)の現実味だけは「?」な気がしたが、そんなものは許してしまおう。
これだけ歴史的な(そして世界中に口うるさいファンが多い)作品ともなると、音楽(鷺巣詩郎)も大変だったと思うが、ゴジラの存在が圧倒的な場所では伊福部サウンドを投入し、随所にエヴァンゲリオン(の有名なティンパニの)リズムもちりばめ、コーラスを含む荘厳なストリングスで重厚感と悲劇性を描く…という絶妙なバランス感覚で文句なし。
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