田部京子リサイタル
浜離宮朝日ホールへ〈田部京子リサイタル〉を聴きに行く。
曲目は…
・モーツァルト:ピアノソナタ第11番イ長調
・ブラームス:2つのラプソディ
・シューベルト:ピアノソナタ第18番〈幻想〉
シューベルトの命日(11月19日)にちなんでのリサイタルということもあり、白眉は何と言っても18番のソナタ。冒頭の静寂の中から聞こえてくるかすかな旋律からもう「向こうの世界」に魂が吸い寄せられるような…あまりに透明な水の底を覗き込んだときの美しいと言うよりその深さに気が遠くなるような…ちょっと希有な体験をした。
彼女のシューベルトは、デビュー盤(21番)が既に作曲家晩年の闇と深淵を聴かせていたが、どちらかと言うと明るく端正な印象の18番でその深みを覗き込むことになるとは…。リアルに闇と深淵の只中に居る晩年の作曲家(私)にはちょっと怖い世界ではあるが、微塵も濁りのない澄んだ透明感で紡がれる音楽はどこまでも美しい。
作曲家が闇と深淵を描いても、演奏家がそれを優しく包み込む。「ファウスト」でいう「永遠に女性的なるものに救済される魂」…これは日本人の男である私にはさっぱり分からないロジックではあるのだが…が感性を通して身体に染みこんでくるような気が一瞬した。もしかしたらこれが彼女の会得したドイツロマン派の神髄?なのかも知れない。
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