田園の向こうの骨笛
FM番組「ブラボー!オーケストラ」2月分2本の解説収録にNHK404スタジオへ。
2月5日(日)放送分は、原田慶太楼指揮による「世界の音楽シーン from アメリカ」(2016年11月23日第70回休日の午後のコンサート)から、コープランド「庶民のファンファーレ」、ヴィグニエリ「アメリカの聖歌」、マルケス「ダンソン第2番」、ストラヴィンスキー組曲「火の鳥」。
2月12日(日)放送分は、」チョン・ミュン・フン指揮の東京フィル第885オーチャード定期からベートーヴェン交響曲第6番「田園」。+ちょっと珍しいヴィラロボス「ファンタジア」(ソプラノサックス:坂東邦宣、指揮:原田慶太楼。こちらは前記の午後のコンサートから)
最近読んだ人類史の本の中に、原始時代の(二足歩行を始めたばかりの)人類は弱い小動物にすぎず、猛獣の食べ残しのさらにハイエナやハゲタカの食べ残しの骨だけをしゃぶって骨髄を栄養源にして生き延びていたのでは?という記述があり興味深かった。
後に地球全土に君臨する霊長類となった我らがご先祖の姿としては黒歴史に属するが、実はこれが結構重要な行為になる。というのも、その骨髄をすすって空洞になった「骨」を吹いたら音がした…というのが「音楽」の起源のひとつなのかも知れないと思うからだ。いわゆる「骨笛」という奴である。
SF映画「2001年宇宙の旅」の冒頭では、その骨を「武器」として握りしめ、敵を叩きのめす(殺す)ことから人類の文明が始まる。でも、その骨を吹いて「楽器」にすることから文明が始まっていたら…人類の歴史はもっと美しいものになっていただろうと思わずにはいられない。
その世界では、創造主はこう唱える。
手は「武器」を持つためではなく、「楽器」を持つためにある。
そして、声はヒトを罵るためではなく「歌う」ためにあるのだ、友よ。
…「田園」を聞いていたら、一瞬そんな妄想の世界にTripしていた。
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