チャイコフスキーの憂鬱
FM「ブラボー!オーケストラ」5月分の1本を収録するためNHK401スタジオへ。
今回は5月7日(日)放送分で、チャイコフスキー交響曲第4番@ミョンフン指揮東京フィル(2016年7月21日@第103回オペラシティ定期より)ほか。
チャイコフスキー(写真左が20代、右が50代)が同性愛者だったことは、今では「ふーん、そうだったんだ」くらいで終わる話だが、当時は社会的に抹殺されかねない(それが知られて自殺を強要されたのだという説があるくらい)誰にも言えないマル秘事項。交響曲第4番や第6番に聞こえる「秘めたる感情」や「謎めいた憂鬱」はそれなしに説明できないほどだが、さすがに楽曲解説などで表だってこの点に触れるのは今でも微妙な状態だ。
5年前、大河ドラマ「平清盛」で藤原頼長(悪左府)や信頼の衆道(男色)ぶりが話題(問題)になったが、非キリスト教圏の日本では(普通…とは言わないにしろ)貴族から武将・僧侶などの間で愛好?されていた一つの「文化」。男女間の恋愛や失恋がこれだけ多くの文学作品・音楽作品を生んでいるのだから、こっち系の感情が生んだ芸術作品もかなりの量になる筈。とりわけ三十代半ばくらいからのチャイコフスキーの旺盛な創作力と音楽に込められた熱気(特にこの第4番!)は、この嗜好(そして、それが秘密の背徳行為であるという意識)あってこそだと思えてならない。
ただし、当人にとっては相手が女性だろうが同性だろうが、知られちゃ恥ずかしい…超プライベートな話であるのは同じ。それを死後100年以上経ってネタばらしされ、したり顔で解説されてしまったりするのだから、間違っても大作曲家なんかには成るもんぢゃない。
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