急に川面が見たくなって、電車に乗ってふらりと多摩川へ。
川沿いの土手の小路を気の向くまま歩くうち、むかし通った松村禎三師の旧宅近くに来ていることに気付く。19歳(1972年)の晩秋、いきなり訪ねて行って弟子入りした思い出の場所だ。

当時は師匠43歳。買ったばかりのグランドピアノを狭い二階の仕事部屋にぎゅうぎゅうに押し込んで、ピアノ協奏曲(第1番)を書いておられた。あれから45年も経つのに足が覚えている。これも帰巣本能と言うのだろうか?
昔は、こういう処に来ると頭の中が音楽で一杯になったものだが、最近は…静かなものだ(笑)。音楽を書きたいとか聴きたいという執着がほとんどと言っていいほどなくなり…、自然に生まれればそれでもいいし、生まれなければそれまでのこと…という無色透明な気分。弓が何だか忘れてしまった弓の名人(中島敦「名人伝」)の境地
…なのか、ただの老人ボケなのか。
老人老い易く 楽鳴り難し
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