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2017年8月21日 (月)

雑種の美学

Listadvorak

FM「ブラボー!オーケストラ」の収録にNHK504スタジオへ。

9月3日(日)放送分は、リスト:交響詩「レ・プレリュード」、ピアノ協奏曲第1番(p:阪田知樹)。渡邊一正指揮東京フィル。6月14日第110回オペラシティ定期より。+バーンスタイン:ウエストサイド物語セレクション(J.メイソン編)原田慶太楼指揮@第70回午後のコンサートより。

そして10月1日(日)放送分は、ドヴォルザーク:交響曲第9番〈新世界から〉@小林研一郎指揮東京フィル。2月4日第59回響の森クラシックシリーズより。+ブラームス:ハンガリー舞曲第1番・第5番。指揮:尾高忠明。2016年7月4日第1回平日の午後のコンサートより。

リストは、東欧ハンガリーから音楽の都ウィーンやパリに出て来て(ポーランド出身のショパンと共に外国人ゆえのハンデと戦いつつ)ピアノの超絶技巧派としてロックスター並みの人気を得たうえ作曲や指揮から後進の育成まで全人的な活動を果たした巨匠。一方のドヴォルザークは、東欧チェコから新世界アメリカに渡って黒人霊歌やネイティヴアメリカンの音楽に接しながら故国ボヘミアへの郷愁を交響曲(新世界から)に刻んだ庶民派の巨匠。

共に中央楽壇から見れば「異端」かつ「雑種」の存在だが、生物も音楽も雑種(ハイブリッド)の方が強い(そして生き残る能力に長けている)。個人的にも、正統派とか主流にはサッパリ興味を感じないが、雑種(西洋と東洋のちゃんぽんとかロックとクラシックの盛り合わせとか)や異端と聞くとわくわくする。自分自身が、雑種・独学の野良犬あがりのせいもあるのだろうか。

ただ、それゆえ逆に、ピュアで儚い純粋種に憧れるところも少し。昔、師匠(松村禎三氏)が「究極のマリア像を造って、誰の目にも触れない暗闇の洞窟の奥に置く」と言っていたが、誰にも聞かせず、ただ神に聴かせるためだけに存在する音楽もある。その頃は、そんな意識がなくても誰も聴いてくれないどころか演奏もしてくれなかったから、「自分の楽譜棚にはそういうマリア像が佃煮にするほどあるけどなぁ」と思ったものだが(笑)。

誰一人聴いていないが神だけは聴いている。百万人が聴いているが神は聴いていない。サテどちらがいい?…とその時は言われたが、神も人も誰もまったく聴いていない…というのもあるわけで(泣。まぁ、ピュアな雑種がいてもいいじゃないか、と。

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