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2019年2月 3日 (日)

追悼@丹羽勝海氏

Niwa丹羽勝海さんが亡くなった。日本を代表するテナー歌手であると共に、カウンターテナーの第一人者。クラシック音楽という枠に縛られない…奇才という名がふさわしい不思議な人だった。

彼と出会ったのは1984年頃。西村朗氏との共作による幻のオペラもどき「ロトの黙示録」を上演した後、80-90年代に10作の「モノドラマ」シリーズを制作・共演した。アングラ演劇のような…語りとピアノの即興伴奏が基本…の一発芸のような舞台で、(今なら簡単に動画にしてネットにアップもできただろうが、何しろVHSかカセットの時代)もはや永遠に再演も蘇演も出来ない「砂絵」のような作品群である。

Mrtraumaa
・トラウマ氏の一日(1985)
・ランダム氏の独白(1987)
・フラクタル氏の生涯(1988)
・コンポーザー氏の憂鬱(1989)
・ネオオペラ:セレスタ(1993)
・百物語より(1994)
・スプラッター氏の怖い話(1995)
・ナムウ氏の黙示録(1995)
・KENJI(1996)
・和聲草紙(1997)

最初は(とにかく予算がなかったので)丹羽氏が一人で語り演じ、私がその後ろでピアノやキイボードの即興演奏をする…というだけのシンプルなモノドラマ形式で始まった。基本的に下記のような↓、セリフに図形が書き込んであるだけの簡素な楽譜(落書き)で演じるのだが、そのうちパーカッションが加わり、色々な楽器(洋楽器・和楽器から電子楽器によるライヴエレクトロニクスまで)が加わり、さらに彼の生徒さんたち「あぽろんの会」の面々が加わり…と大きくなり、先斗町の歌舞練場や北とぴあ、1500人収容の市民会館(この時は、柴田恭兵さんに丹羽さんと共演して貰った)からイギリスの国際発声学会などの大舞台で上演したこともあった。
Monodramaa
いずれも目指す処はオペラではなく「寄席」。丹羽さんのユニークなキャラクターを全方位にわたって押し出した「泣き笑い」の世界が売りで、お客を「笑わせる」か「泣かせる」(時には「怖がらせる」)ということに全力を傾けた。実際、ステージ上で演奏しながら(セリフひとつ・音ひとつで)客席からの笑ったり泣いたりする反応をリアルタイムで感じられるという(密室で楽譜を書くだけの作曲家では味わえない)背徳的な快感をたっぷり体験させて貰った。

そもそも彼は、正統派オペラの主役や第九の独唱を務めながら、歌曲や現代曲の演奏も多数こなし、一方で映画「男はつらいよ」(第35作/寅次郎恋愛塾)に神父役で出演したり、ミュージカルで(マツコデラックスなみの)女装男性を演じたりする、ジャンルを超えた希代のエンターテイナー。モノドラマのシリーズでも、とにかく彼が出て来て中年男性の悲哀を愚痴るだけで客席が笑いに包まれる。恰幅のいい体から繰り出される低音からカウンターテナー唱法まで音域はとてつもなく広く、男性・女性・子供・動物・宇宙人・何にでも化けられる。おかげで、随分と想像(妄想)の翼を広げて色々なキャラクターを演じて貰い、好き勝手をやらせて頂いた。感謝。

Ring余談だが、丹羽さんは当時南箱根に別荘を持っていて、一度コンサートの後「これから行きませんか?」と誘われて伺ったことがあるのだが、「リング」というホラー小説の舞台がまさにそこ。偶然(本当に偶然にも)、その当時話題の小説と言うことで読んでいて、夜、熱海から車を走らせながら、小説の描写と同じであることに気付き、別荘に着くとまさに呪いのビデオの発生源であり床下に古井戸のある場所であると確信。これは怖かった。(のちに何かの番組で作者の鈴木光司氏とお会いして話をする機会があり、聞いてみたら本当にその場所だった。おっと、この話を聞くとモニターから貞子さんが…

…などなど色々思い出すことは沢山あるが、もはや細かい部分は記憶も定かで無い。こうやって「ああ、面白かった」という余韻だけを残して、すべては夢のように消えてゆくのだろう。音楽も、人生も、そして世界も。合掌。

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