フォト

Home page

お知らせ

  • 音楽館
    作品視聴…映像付き
  • 楽譜出版《ASKS.orchestra》交響曲,協奏曲,室内楽などのスコアを電子版(PDF)で販売中。海外向け→**
    出版作品一覧→***NEW
  • 《図解クラシック音楽大事典》(学研)イラストとまんがでオーケストラや楽典から音楽史までを紹介する掟破りの入門書。旧〈音楽大事典〉の超大幅改訂復刻版。
    作曲は鳥のごとく》(春秋社)自らの作曲家生活を綴った独学の音楽史@2013年3月刊
    《調性で読み解くクラシック》(ヤマハ)調性および音楽の謎を楽理・楽器・科学・歴史から読み解く文庫版入門書。

リンク

« 東京を観光する | トップページ | Finale ver.26 »

2019年3月22日 (金)

らららクラシック@フォーレ

LalafaNHK ETV「らららクラシック」フォーレのレクイエム回放送。

冒頭「レクイエムに詳しい人をお呼びしました」などと紹介され、ちょっと困ってしまったのだが、こと宗教がらみのことは(音楽にしろ)解説が難しい。同じキリスト教でもカトリックとプロテスタントは視点が違うので、どう説明しても「正確ではない」と言われる可能性があるからだ。そのため今回も、収録のあと専門家によるチェックをお願いした。

なので……レクイエムは正確にはカトリックの礼拝で行われる「死者のためのミサ曲」であり、「鎮魂曲」と訳すのはちょっと違う…とか、「怒りの日」というのは、「地獄は怖いぞ」と信者に恐怖を与え、罪を許して欲しかったら「免罪符」を買いなさい!と教会に献金を集めるCM音楽みたいなもの。それに抵抗する人たちがプロテスタント(抵抗する者という意味)として分離し、宗教改革になったわけで、バッハのようなプロテスタントの作曲家は「怒りの日」どころか「レクイエム」も書いていない。…というような身も蓋もない説明の部分は編集済み。

Lalaf厳密に言えば、「レクイエム」はラテン語の典礼文を遵守して作曲すべきで、勝手に「怒りの日」を抜いたり順序入れ替えたり省略したりはNG。そもそもカトリックの信者以外が「レクイエム」を書くのは異端。(なのでプロテスタントのブラームスは、ルター派の聖書からドイツ語で「ドイツレクイエム」を書いている)。ということは、フォーレが19世紀末の時点で「怒りの日」抜きのレクイエムを書いたのは、(いくら私的な作品とは言え)音楽的に斬新…というのを飛び越えてしっかり「異端」だったわけで、あの優しく穏やかな曲調からは想像できないほど怖いことをやっていたことになる。

ちなみに、現在では1960年代のバチカン会議で「怒りの日」や「レクイエム」に関する縛りはなくなり、カトリックの音楽家以外でも「レクイエム」を書くのは自由になった(のだそうだ)。

余談ながら、最後の美しい「イン・パラディスム」の演奏を聴いた後、「いかがでしたか?」と聞かれて思わず「いやあ、死にたくなりましたね」と応えそうになったのだが、それはさすがに自主規制(笑

再放送は3月28日(木)午前10:25から。

« 東京を観光する | トップページ | Finale ver.26 »

コンサート、放送」カテゴリの記事