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2019年4月12日 (金)

ロシアとソヴィエトの記憶

Arampeter FM「ブラボー!オーケストラ」4月分2本の収録にNHK503スタジオへ。今回はロシアとソヴィエトの音楽。

4月14日(日)放送分は、ロシア時代を代表する作曲家チャイコフスキーの「ロメオとジュリエット」「弦楽セレナード」(第1楽章のみ)「序曲1812年」。広上淳一指揮東京フィル(2019年2月3日第79回休日の午後のコンサートより)

4月21日(日)放送分は、チャイコフスキー「スラヴ行進曲」のあと、ソヴィエト時代を代表する作曲家ハチャトリアンによるバレエ「スパルタクス」よりアダージョ、交響曲第3番〈交響詩曲〉。アンコールに「仮面舞踏会」のワルツ。プレトニョフ指揮東京フィル(2019年3月13日第918回サントリー定期より)

かつてはアメリカと並ぶ地球最大の国家として米ソ冷戦時代を作ったソヴィエト連邦(1917〜1991)だが、今では知らない若い人も多いのだそうだ。この国は、西欧で「現代音楽」の時代を迎えた20世紀初めに生まれたこともあり、「労働者階級の人民のための芸術娯楽としての音楽」いわゆる〈社会主義リアリズム〉を国是として掲げ、ショスタコヴィチやハチャトリアンと言った作曲家を(さまざまな葛藤や反駁に塗れながらも)国家規模で育成した。その「一般大衆に分かりやすい平明で民族的で明るい音楽」という理想は確かに間違ってはいないのだが、「(それを)政治家に言われたくない」というのが音楽家達の本音だったに違いないけれど。

ただ、「平明で民族的で分かりやすい音楽」の権化であるチャイコフスキーの曲というのも、考えてみればかなり「政治色」濃厚なものがある。例えば日本の作曲家が「大和民族行進曲」とか日本海海戦勝利を描いた「序曲1905年」などを書いたとして、世界のポピュラーコンサートで演奏できるとはとても思えない。(一方で「フィンランディア」や「我が祖国」など、治外法権的に許容されている作品もあるにはあるが、演奏される国を選ぶことは確かだ)。音楽で民族や政治に関わる…というのは一見理想的な姿に見えるけれど、竜の鱗(うろこ)に触れるような際どい行為だということは自覚すべきなのかも知れない。

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