本の過去・本の未来
ひさしぶりにちょっと分厚い「紙の本」を読むことになり、今まで感じたことのないショックを感じてしまった。なんとも「読みにくい」のである(笑。
十代の頃から「本虫」と渾名されるほど本漬けだったので、本来なら「やはり本は〈紙〉でなければ」と主張すべき世代の筈なのだが、還暦を過ぎた現在では、本や楽譜は電子版をモニタやタブレットで読むのがデフォルト。すると、アナログの紙の本や楽譜の紙面が「平面」でなく「歪んで」いることがすごく気になるようになった。
もともと「一枚の平面」に印刷されたものを複数枚束ね・それをめくりながら読むのだから、本というのは視界の中では非ユークリッド幾何学的多面体(?)な形状。それを頭の中で「補正」して平らな二次元的平面として認識していたわけだ。しかし、デジタルに慣れてその「補正」が外れてみると、本来の「歪み」が歪んだまま見えるようになった…ということなのだろう。
さらに、分厚い本になるとページめくりと本の端を押さえるのに両手総動員になること、小さい字や画面を簡単に拡大したりできないこと、気になる項目についてリンクや検索が出来ないこと、照明の具合で(横を向いたり寝転がったりして)紙面が暗くなると読めなくなること、などなどが(今まで60年以上「普通に」やって来たことなのに)「不便」と感じるようになってしまった。
困ったこと…なのかも知れないが、個人的には(むかしから何度か書いているが)、右脳・左脳にプラスして電脳が加わった「3つの脳」体制になった感じがして、〈理系〉の男のコが夢想した「未来」に居る気がするのがちょっと嬉しい。(それ以外は、ちっとも嬉しい未来ではないけれど…)