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2019年5月21日 (火)

海と霧のむこうに

Rk FM「ブラボー!オーケストラ」6月分1本の収録にNHK501スタジオへ。

今回は6月2日(日)放送分で、リムスキイ=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」。バッティストーニ指揮東京フィル(1月23日第914回サントリー定期より)。および4月の定期でアンコール演奏されたエルガー「威風堂々」の短縮版。

R=コルサコフは、20代は海軍の士官候補生として軍艦に乗って7つの海を駆けめぐった人。シェエラザードの見事な「荒海」の描写はそんな航海の経験から、そして見事な管弦楽の扱いは寄港地の都市で見聞きしたオペラやコンサートの体験から来ているのだそうで、なるほど作曲家を育てるのに海軍に入れるのもアリなのか…と納得。

結局30代を迎える前に海軍を辞め、音楽の道を邁進するのだが、そのまま海軍に居たら「シェエラザード」を書いた40代には軍艦の艦長クラス、50代を迎える頃には艦隊の提督くらいに出世していたかも知れない。とすると、バルチック艦隊を率いて日本海海戦を戦い(ちなみに連合艦隊側の東郷平八郎、バルチック艦隊側のロジェストヴェンスキー両司令長官は共に4つ年下)、もしかしたら勝っていた可能性も…と、妄想は日本海の荒波を駆けめぐる(笑

Ee もうひとつ、余談ながら、エルガー「威風堂々」の原題は「pomp and circumstance」(華麗にして仰々しい…というような意味)。英語タイトルだけで何の曲か分かる人はかなりの通だが、これはシェークスピアの戯曲「オテロ」第3幕のオテロのセリフ「pride, pomp and circumstance of glorious war」から取られているのだそうだ。

しかし、この部分、オテロが敵役イヤーゴの策略に嵌まって苦悩し「さらば、栄光ある華麗にして仰々しい戦いの日々よ。私オテロの全ては終わった」と嘆く悲劇的なシーンのセリフで、威風も堂々も「過去の栄光」ということ。わざわざこんな処から引用して行進曲のタイトルにしたエルガーの真意は何だったのだろう?。もともと、人名を暗号にした「エニグマ変奏曲」などを書いているような…シャーロック・ホームズばりの一筋縄ではいかないひねたインテリ紳士。何か、裏がありそうな気がする…と此処でも妄想がロンドンの霧の中を駆けめぐる。

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